第14話 【強制排泄】「バグ魔力」を身体に取り込み、ヒロインを通じて『浄化(イか)』せて排出する。……帝さん、これ放送して大丈夫ですか?


「おい帝、見てるか? お前の自慢のペットがどうなるか、特等席で拝ませてやるよ」


『ハッ、虚勢を張るなよ! 触れれば終わりのバグに、何ができると言うんだ!』


 スピーカーから帝の嘲笑が響く。バグ魔物が、歪な口を開けて迫ってくる。 俺は逃げない。 レナとミナの手を握り、3人で正面から迎え撃つ。


「今だ! 掴め!」


 俺の合図で、レナとミナが魔物の黒い身体に直接触れた。  


ジュゥゥッ……!  


 皮膚が焼けるような音。だが、消滅はしない。 俺が展開した【魔力中和皮膜】が、ギリギリで侵食を防いでいる。


「――パス接続(コネクト)。対象:『変異種(バグ)』」


 俺は自身の精神を、魔物の内部へとダイブさせた。  瞬間。  脳内に流れ込んできたのは、単なる情報のエラーではなかった。


『いたい』『たすけて』『くらい』『おかあさん』


「――ッ!? ぐぅ……ッ! 重いな……!」


 想定外の無数の「声」だ。 絶望、憎悪、悲しみ。それらがドロドロに溶け合い、出口を求めて渦巻いている。 こいつは、ただのバグデータじゃない。 何者かの「意志」や「魂」のようなものを、無理やり継ぎ接ぎして詰め込んだ、悪趣味なゴミ箱だ。


「いやぁぁっ! ユウト、なんか入ってくる! 声が、聞こえるぅぅ!」


「気持ち悪い……! 誰かが……お腹の中で泣いてるみたい……っ!」


 リンクしているレナとミナが悲鳴を上げる。 魔物の汚染魔力が、俺を通じて彼女たちの清浄な回路へと逆流していく。 まるで、見知らぬ他人の怨念に内側から犯されるような、生理的な嫌悪感と恐怖。


 だが、だからこそ――俺がやるしかない。 こんな澱(よど)んだ流れは、俺たちの「生」のエネルギーで吹き飛ばす。


「耐えろ! 今、回路を組み替えてる! こいつの抱え込んだ『呪い』を、全部『快感』に変換して浄化(あら)い流す!」


 支援術師の奥義、【属性変換(コンバート)】。 死の淵にあるような重苦しい魔力を、爆発的な生命力へと精製する。 そのプロセスは、最強の生命力を持つSランク美女たちの肉体を使って行われる。


ドクンッ……!


 黒かった魔力が、彼女たちの丹田を通った瞬間、眩い黄金色に変わる。 その瞬間、彼女たちを襲っていた不快感が、爆発的なエクスタシーへと反転した。


「あ……ッ!? あひぃぃぃぃっ!?♡♡」


「んぎィッ!? 変わった……! 汚いの、気持ちいいのに変わったぁぁぁっ!!♡」


 レナとミナが、白目を剥いて絶叫した。それは今までで一番激しく、動物的な喘ぎ声だった。 体内に溜め込まれた莫大なエネルギーが、出口を求めて暴れまわる。まるで、限界まで我慢した尿意を一気に開放するような、恥ずかしくも抗えない排泄感(カタルシス)。


「だ、だめぇ! もう入らない! 溢れる! 出ちゃうぅぅぅ! は…恥ずかしいぃいいいい♡」


「ユウト様ぁ! 壊れるぅ! 中から全部、出ちゃいますぅぅぅ! 汚くないよね、綺麗だよねえええ!?!?!?」


「出せ! 全部出して、こいつを楽にしてやれ!」


 俺が叫ぶと同時、二人の身体から黄金の閃光が放たれた。


「「んあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!♡♡」」


 ――【魔力放出(マナ・バースト)】。


ドゴォォォォォォォォン!!


 浄化された高純度の魔力が、レーザーのようにバグ魔物を内側から貫く。それは破壊の光ではない。 澱みきった下水を、清流が一気に押し流すような「救済」の光だ。


『ア……ガ……ァ……アリ……ガト……』


 光の中で、魔物が溶けていく。その断末魔は、どこか安堵したような、泣き声のような響きを含んでいた。黒いノイズが、黄金の粒子に包まれて霧散していく。  


 「存在の削除」? そんな理屈は、圧倒的な「生のエネルギー(絶頂)」の前では無力だった。


『な、なんだその光は!? バグが……浄化されているだと!?』


 帝の狼狽する声が聞こえる。光が収まると、そこには跡形もなく消滅した魔物の痕跡と、荒い息を吐いてへたり込む二人の美女だけが残っていた。


「はぁ……はぁ……っ♡ 全部……出ちゃった……」


「すごかった……。身体の中、空っぽにされたみたい……♡」


 レナとミナは、汗と(色んな汁で)ぐしょ濡れになりながら、恍惚の表情で抱き合っていた。 その光景は、神々しくもあり、背徳的でもあった。


 そして――。  その一部始終は全世界に流していた。


『うおおおお! バグ魔物を倒したぞ!』

『ユウト君、何したんだ!? 魔法使い超えてるだろ』

『てか、レナ様とミナちゃんの顔www 完全にアヘ落ちしてるwww』

『帝のチャンネル乗っ取られてて草』

『帝さん、これ「見せしめ」じゃなくて「ユウト君の宣伝」になってますよ?』


 コメント欄はユウト称賛と、帝への煽りで埋め尽くされている。 本来なら俺が処刑されるはずだった放送枠で、俺たちは最高の勝利を飾ったのだ。


「……さて」


 俺はドローンのカメラを覗き込み、ニヤリと笑った。


「どうだった? 帝さん。……君の自慢の実験場、俺たちが『更地』にしといてやったよ」


『き、貴様ぁぁぁ……! ただで済むと思うなよ……!』


 帝の悔しげな怒号と共に、スピーカーがプツンと切れた。 勝利だ。 業界最強の男の鼻を明かし、俺たちはその名をさらに轟かせた。


「……ユウト。かっこよかった」


「ユウト様……一生ついていきます……♡」


 二人の美女が、トロトロになった身体を引きずって俺に擦り寄ってくる。 その瞳はハートマークになりかけで、今すぐにでも俺に飛びかかってきそうな熱を帯びていた。


(……やれやれ。こりゃあ、帰ってからの「アフターケア」も大変なことになりそうだな)


 俺が苦笑して、二人の肩を抱き寄せようとした――その時だ。


 カラン……。


 消滅したバグ魔物の黒い粘液の中に、乾いた音が響いた。 何か、硬質なものが落ちた音だ。


「……ん? ドロップアイテムか?」


 俺はふと視線を落とした。 魔石にしては輝きがない。装備品にしては小さすぎる。 泥にまみれた「それ」を見た瞬間、俺の背筋に冷ややかな違和感が走った。


「……おい、待てよ」


 俺は二人の抱擁を優しく解き、その場に屈み込んだ。 勝利の熱狂が、急速に冷えていく予感がした。


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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

#15は、1月9日22:20に公開です!


現在、1月8日273位→1月9日233位です!

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