第51話
# 第51章
風が山の麓にある首都の城の石のテラスを吹き抜けた。冷たく、鋭く。雪姫(ゆきひめ)が端に立ち、下を見下ろしていた。ツンドラの広大な平原が暗い塊に覆われていた——動かずに命令を待つ軍隊。
勇翔(ゆうと)が隣に立ち、手を背中に組んでいた。黙っていたが、視線は下のあらゆる動きを追っていた。少し離れたところに——将軍たち。五郎(ごろう)——白髪、左目に傷跡。匠(たくみ)——四十歳ほど、顔は厳しく、まるで石から彫られたかのよう。
零司(れいじ)が塔の入口に立っていた。黒い胸当てが光っていた——武(たけし)の球体から得たあのものだ。重いが、快適だった。
「奇妙な感覚…」
隣に——堅信(けんしん)と焔(ほむら)。
アーチの両側に——二つの騎士の甲冑。薄暗がりに立っていた。空っぽ。面頬が下ろされ、手は剣の柄に組まれ、盾が脇に。金属は鈍く、古い。しかし手入れされている——塵一つ、錆一つない。すべてがその姿で示していた——ここは軍議の間。
雪姫が目を細めた。軍隊を見ていた。
——何人いる?
五郎が近づいた。
——約二十万、陛下。もう少し多いかもしれません。
間。
——投石機。移動式のルーン柱。そして…——五郎が眉をひそめた。——何か巨大な塔。何か新しいものです。
雪姫が彼を見た。
——塔?
——はい、陛下。——匠が頷いた。——しかし他の都市への襲撃の報告には塔の話はありませんでした。
——つまり、今日知ることになる。
再び戦場を見た。軍隊は首都から一キロのところに立っていた。
——ルーン柱は遠い、——五郎が静かに言った。——どうやら私たちが壊すのを恐れているようです。
雪姫が堅信に振り向いた。
——つまり、この武は…——声がより固くなった。——彼が軍を間引いたのか?
堅信が頷いた。黙って。
雪姫が考え込んだ。
——つまり、彼がいなければ、私たちにはチャンスすらなかった…
沈黙。
雪姫が背筋を伸ばした。
——勇翔殿。すべて準備できているか?
——はい、陛下。
——何があっても彼らを街に入れてはならない。
——承知しました。
焔が入口に立っていた。軍隊を見ていた。会話を聞いていなかった。
「壁の内側のルーンがすべてを抑制する。ここでは役立たずだ」
拳を握った。
「しかしあそこ…敵の軍隊の中に…彼がいる」
「ただどうやって分かる?見つけたら何をする?何を言う?」
答えのない問い。
「何が起きたのか尋ねる?彼は覚えていない…」
苦さ。
「そして私は彼の記憶を取り戻せるのか?何かが記憶を取り戻せるのか?」
突然——衝撃。軽く、かすかに。焔が凍りついた。もう一度衝撃、少し強く。全員が振り向いた。また。また。また。雪姫が壁の切れ込みに向かって歩いた。下を見た。
投石機。
巨大。何十台も。レバーを巻き上げていた。岩を装填していた。
*ゴオオッ*
最初の弾が飛んだ。巨大な岩。弧を描いて飛んだ。それから二発目。三発目。何十発も。
軍隊が動き始めた。ゆっくりと。容赦なく。兵士たちが前進した。投石機は撃ち続けた。移動式の塔が壁に向かって転がり始めた。
*ドーン*
岩が壁に当たった。頂上が割れた。石が下に落ちた。
*ドーン*
また衝撃。また亀裂。しかし壁は立っていた。揺るぎなく。
雪姫が見ていた。何かに気づいた。
——投石機はマナ抑制域にあるのに、弾は…
焔が戦場を見ていた。突然——空に何か。人影。降りてきた。炎に覆われていた。明るい炎がすべてを包んでいた。マナ。巨大。密度が高い。ここからでも感じられた。焔が凍りついた。
「これは…彼か?」
心臓が激しく打ち始めた。
雪姫が焔を見た。
——あなたが一番マナが多いと聞いた、弾を処理できるか?
焔が振り向いた。顔が緊張していた。頭の中に何百もの考え。父と話せればいいのに。
——お望みなら。
雪姫が頷いた。
——ここは高い。心配しなくていい。主なことは——ルーンの範囲から出られること。
焔が空の甲冑の一つに近づいた。盾を取った。鉄が指の下で冷たかった。振り向いて、テラスの端に走り、跳んだ。冷たく鋭い風が顔を打った。彼は速く落ちていた、角度をつけて。前方に飛びながら、盾を下にしっかりと持っていた。壁を通り過ぎた。地面に近づいた。ほとんど触れた。
「もう少し…」
感じた——マナが戻った。内側から溢れ出した。炎が周囲に燃え上がった。すべてを覆った。軌道を変えて戦場に向かって飛んだ。
勇翔が雪姫を見た。
——陛下、私は堅信と壁に行きます。
雪姫が頷いた。
——いいだろう。私も一緒に行く。
勇翔が凍りついた。
——それはできません。陛下が最優先です。
雪姫が彼を見た。固く。
——いや。最優先は私の民だ。そして私は、彼らが私のために命を捧げている間、隠れているつもりはない。
勇翔が反論しようとした。
零司が前に踏み出した。
——では、お供させてください。
雪姫が彼を見た。頷いた。
——いいだろう。
-----
*ドーン*
*ドーン*
*ドーン*
久志(ひさし)の軍が迫っていた。何千もの兵士。盾を持って。突撃梯子を持って。前方に——移動式の塔、兵士で満たされていた。巨大。壁と同じ高さ。下に——コモド・サイ。巨大で、馬具をつけていた。ゆっくりと重く内側から塔を押していた。
塔が転がっていた。近づいていた。さらに近く。梯子を持った兵士たちがより速く走った。叫んだ。吠えた。壁から矢が飛んだ。
*ヒュッ*
何千本も。一斉に。最前列を覆った。兵士たちが倒れた。一人。また一人。何十人も。梯子を運んでいた者たちも倒れた。梯子が落ちた。しかし彼らの代わりに新しい者たちが立った。拾い上げた。さらに運んだ。足元に死体。地面に血。叫び声。うめき声。
破途(はと)が後方に立っていた。腕を組んで。見ていた。顔は静か。感情がなかった。隣に翔(かずと)が着地した。
——すべて順調。
破途が頷いた。
突然——宮殿から何かが落ちていた。地面に達する前に、燃え上がった。炎が人影を覆った。軌道を変えた。破途に向かって真っ直ぐ飛んでいた。途中で久志の兵士たちを焼き払った。炎が触れると——体が倒れた。炭化して。破途は動かなかった。
——翔。
翔が手を伸ばした。炎が触れなかった。まるで彼らと周囲の兵士を迂回するかのように。通り過ぎた。地面に焦げた跡だけを残して。人影はさらに先に飛んでいった。投石機に向かって。
焔が飛んでいた。空中の弾を見た。巨大な岩。弧を描いて飛んでいた。壁に向かって。手を前に。爆発。
*ドーン*
*ドーン*
*ドーン*
一つの弾。また一つ。三つ目。爆発がとても強力で、岩が軌道を変えた。戻って落ちた。久志の兵士たちの上に。
*ゴオオッ*
岩が兵士の集団に落ちた。血が飛び散った。地面に赤い染み。
また一つ。また。
焔が弾の間を飛び回った。次々に撃ち落とした。
破途が見ていた。冷静に。翔が隣にいた。怒っていた。拳を握った。破途は空の人影から視線を逸らさなかった。
——片付けろ。
翔が頷いた。剣を抜いた。地面を蹴った。飛んだ。
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二つの重力障壁が衝突した。翔が押していた。焔をルーン柱の方に押し出そうとした。焔が抵抗した。押し返した。ルーンのある範囲に近く飛んでいた。螺旋を描いて。
——待て!——焔が叫んだ。——話がしたい!
翔は答えなかった。さらに強く押した。焔が急に押し返した。上に飛んだ。翔が彼の後を追った。
雲の上に上がった。空中で、互いに向かい合って止まった。風が高所を吹き抜けた。冷たかった。雲が通り過ぎた。焔が荒く呼吸していた。翔を見ていた。
——聞いてくれ!——声が裏返った。——私の母は雀(すずめ)だ!覚えているか?!そして君は私の父だ!私は生きている!分かるか?!
翔が見ていた。感情なく。
——坊主、俺は誰がお前の母で誰がお前の父かなんて知ったことじゃない。——声が冷たかった。——戦うか、殺されろ。
翔の背中から炎の尾が飛び出した。蛇-龍。巨大。空中でうねった。焔に向かって飛んだ。
焔が歯を食いしばった。手を横に。彼からも炎の尾が飛び出した。
衝突した。
*ドドドン*
爆発。炎が四方八方に広がった。大きな轟音。地上でも聞こえた。空が輝いた。明るい光が雲を突き抜けた。焔が怒っていた。激怒が押し寄せた。
——聞いてくれってば!!!
*ドドドン*
彼からさらに多くの炎が飛び出した。ほとんど空全体を満たした。翔は動かなかった。
突然、翔が手を伸ばした。炎が彼に向かって流れた。まるで渦の中の水のように。吸収した。すべて。焔が凍りついた。
「彼は私の炎を吸収できるのか?!」
翔が最後の波を吸収した。手が燃えていた。明るく。眩しく。剣を掴んだ。鞘から抜いた。剣が燃え上がった。炎が刃を包んだ。明るく。密度が高く。オーラが外に飛び出した。強力。圧迫的。地上でも感じた。兵士たちが一瞬止まった。顔を上げた。
焔が見ていた。
「これが…火の魔人、翔」
翔が剣を振った。長い炎の光線が空を切り裂いた。焔がかろうじて避けた。光線が通り過ぎた。下に向かって飛び、地面に当たった。
*ゴオオッ*
深く長い溝。地面がまるで溶けたかのよう。攻撃範囲に入った兵士たちが瞬時に蒸発した。
焔が飛び回った。避けた。翔がまた振った。また。光線が飛んだ。次々に。地上からは——まるで空の蚊を捕まえようとしているかのように見えた。しかし光線が地面に触れると——長い溝。溶けた石。灰。
一つの光線が城に到達した。ルーン柱に。見えない壁に当たった。通過しなかった。壁から雪姫たちがショックで見ていた。
——誰だ?——誰かが尋ねた。——そして誰と戦っているんだ?
-----
焔にうんざりした。手を前に出して、反撃の炎の光線が飛んだ。光線が中央で衝突した。エネルギーが蓄積し始めた。出口を見つけられなかった。増えた。大きくなった。エネルギーの球体。明るい。脈動している。大きくなった。さらに。さらに。
*爆発*
巨大な衝撃波が両者を反対方向に投げ飛ばした。地面まで明るい閃光が届いた。大きな轟音。地面が震えた。
-----
梯子を持った兵士たちが壁に突進した。矢が飛んだ。誰かが倒れた。新しい者たちが同じ梯子を拾って前進した。
移動式の塔が壁に到達した。止まった。
*バキッ*
開くときの大規模な扉が数人の弓兵を押しつぶした。大きな音。そこから兵士たちが溢れ出した。何百人も。壁に駆け出した。道にいるすべてを殺した。
塔から破途が出た。後ろから——大きな轟音。振り返った。空に——爆発。炎。光線。
「翔はまだ楽しんでるな…俺も始めないと」
盾を取った。前に進んだ。
破途が剣で兵士の喉に直撃。兵士が倒れ、喘ぎながら首を掴んだ。次。横から。盾で顔に打撃。
*バキッ*
鼻を折った。剣で首に。素早く。正確に。
もう二人。一緒に。最初が振り上げた。破途が受け流した。剣を横に逸らした。盾で胸に打撃。兵士が吹き飛んだ。二人目が上から打った。破途が盾でブロック。一歩前に。刃先を脇腹に。引き抜いた。
破途が彼らを黙って見ていた。凍りついた顔。空っぽな目。叫びもなく見ていた。激怒もなく。かつてないほど冷静だった。まるでかつて失った心の安らぎを取り戻したかのよう。
*ヒュッ*
頭を横に。素早く。矢がこめかみの横を通り過ぎた。弓兵が再び装填していた。久志の兵士が彼に駆け寄った。壁から突き落とした。下に。石の上に。破途は変わらず冷静だった。上を見上げた。城に。
「俺は、どうやら、あそこだな」
-----
焔が爆発から吹き飛んだ。突然——何か近くに。明るい。長い。速い。
「何が…」
翔の技。真っ直ぐ腹に向かって飛んできた。焔は反応する時間がなかった。
「間に合わない…」
覆いが自ら燃え上がった。黒い炎。技が当たったが、貫通しなかった。
「これは…何だった?」
自分を見た。黒い炎がすべてを包んでいた。
「つまりこの覆いは炎もブロックする?」
雲から翔が飛び出した。自分の技が効かなかったのを見た。剣を振った。光線。覆いに当たった。貫通しなかった。
「彼の剣にうんざりだ!」
翔が怒った。再び攻撃した。爆発。次々に。空を飛んだ。焔を追いかけた。焔が避けた。飛んだ。方向を変えた。覆いが炎をブロックした。しかし爆発の衝撃波は——ブロックしなかった。ダメージはなかった。しかし方向感覚を失わせた。苛立たせた。
翔が追いかけた。後ろから。離れなかった。焔が怒った。黒い炎の尾。急に。翔に向かって。剣を狙った。しかし計算ミス。追跡。爆発の騒音。尾が剣に触れた。裂いた。続いて翔の脇腹に当たった。爆発が止まった。
翔が凍りついた。剣が手から落ちた。突然——マナが燃え上がった。内側から。炎が外に飛び出し、その道のすべてを覆おうとした。
「何が起きている?!なぜ彼のマナが制御を失った?!」
マナが暴れた。制御不能。しかし傷から数秒で燃え尽きた。落ち始めた。
焔がショックを受けた。
「俺は…そんなつもりじゃなかった!」
彼の後を追って飛んだ。速く。地面近くで掴んだ。かろうじて間に合った。降ろした。優しく。
翔が速く、喘ぐように呼吸していた。傷から血が止まらずに流れていた。頭を向けた。焔を見た。焔が叫んでいた、涙が顔を流れていた。
——父さん、俺だ、焔だ!母は雀だ!頼む、思い出してくれ!俺は生きてる!生きてるんだ、分かるか?!
翔が瞬きした。ゆっくりと。
——雀…——声が弱かった。——焔?
間。
——お前…生きてるのか?
涙が頬を流れた。
——お前…お前はこんなに成長したんだな。
手が震えた。上げようとした。左手首に——赤い糸の銀の鈴。静かに鳴った。
指が震えて、結び目を解こうとした。
——持っていけ…——声がかすかだった。——持っていけ…
焔が父の手を掴んだ。解くのを手伝った。鈴が掌に落ちた。冷たい。小さい。
——これは…これはお前の…——翔が目を閉じた。——お前の母が…お前にくれたんだ…
もう一つの涙。
——すまない…許してくれ…雀…許してくれ…
一秒後、焔は既に息のない体を腕に抱えていた。戦場から数キロ離れた場所で。
久志の兵士たちは既に首都の壁を取っていた。侵入し始めていた。そして焔は音もなく涙を流し、歯を食いしばり、震える腕の中に——父の体を抱えていた。
章の終わり。
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