第49話

冷たい風が顔を打った。武史は冷たいツンドラの上を飛んでいた――果てしない広がり、苔と低木に覆われている。下に疎林。まばらな木々、風で捻じ曲がっている。両側に――山塊。灰色、鋭い、まるで歯のよう。


雪姫の王国への最も近い道の一つ。


武史は見回した。


「どうやって彼らを見つける? これが彼らだとどうわかる?」


眉をひそめた。


「鈍った…」


ため息。


「町民の集団を探そう。それが探している者たちであることを願う」


さらに飛んだ。風が耳で口笛を吹いた。寒さは球体の黒い覆いのおかげで貫かなかった。


突然――下で動き。止まって空中で静止した。巨大な騎兵隊――長い脚、速いダチョウ馬。何百もの騎手が鎧を着て誰かを囲んでいた。武史は注意深く見た。人々の集団、約三十人が輪の中央に、互いに押し付けられている。そして後ろに――さらに大きな軍隊。ゆっくりと、しかし容赦なく迫っていた。


「これが彼らの残りすべてか?」


下に飛んだ。


-----


零司は集団の前に立っていた。隣に――健心。二人ともかろうじて立っていた。騎兵隊が彼らを密な輪で囲んだ。ダチョウが足踏みをし、鼻を鳴らした。騎手たちが降りた。ゆっくりと。確実に。


「彼らに触らないで!」群衆から女性が叫んだ。子供を抱きしめていた。「私たちは降伏します! 子供たちには触らないで!」


老人が膝をついた。


「お願いです! 慈悲を!」


兵士たちが笑った。誰かが老人の方に唾を吐いた。


零司は拳を握りしめた。火花が指を走った。弱い。かろうじて見える。


「くそ…まだ回復していない」


数日経ったが、指はまだうまく握れなかった。呼吸が重い。


健心は兵士たちを見ていた。手に剣。しっかりと握っていたが、手が震えた。


「生き残らない生き残りだが、戦わずには降伏しない」


兵士の一人が前に出た、広く、不気味に微笑んでいた。手が燃え始めた。火は最初弱い。それから明るく。さらに明るく。


「さて…」彼は言った。「誰が最初に温まりたい?」


笑った。他の兵士たちも笑いに加わった。


零司は手を上げようとした。魔力が従わなかった。稲妻がちらつき、消えた。


「くそ!」


兵士が近づいた。手の火がより強く燃え上がった。突然――静寂。兵士たちが石化し、その場で固まった。


零司は理解できなかった。


「何が…」


*ドォン*


*ドォン*


*ドォン*


*ドォン*


上から、隕石のように、四つの人影が落ちた。土の。石と泥からの複製。地面に激突した。轟音。埃が柱のように。一秒後――もう一つの人影。よりゆっくりと。より落ち着いて。武史が着地した。群衆の人々は衝撃を受けた。誰かが安堵で泣いた。


「救われた!」誰かが叫んだ。


「神に感謝!」


零司は彼を見た。認識した。


「武史…」


しかし何かおかしい。右腕がなかった。焼けた切り株。粗く包帯が巻かれている。健心も気づいた。目が見開かれた。


武史は見回した。零司を見た。健心を。彼らの背後の人々を。


「お前たちは焔の友人か?」彼は冷静に尋ねた。


零司と健心が顔を見合わせた。


「彼がお前をそうしたのか?」零司は息を吐いた。


武史は冷笑した。


「無作法…聞いたことあるか?!」


零司をより注意深く見た。


「お前は、どうやら、稲妻の属性か? テレポーテーションは学ばなかったか?」


零司は眉をひそめた。


「お前たちの緑髪が麻痺させた後、まだ完全に回復していない」かすれた声。「体がまだうまく従わない」


武史は笑った。短く。


「芳禍らしい」


手を伸ばした。複製の一つが震えた。その胸から球体が飛び出した。黒い。頭ほどの大きさ。武史の手のひらに直接飛んだ。彼は捕らえ、一瞬目を閉じた。球体がまるで振動したかのよう。弱く。目を開けて零司に投げた。


「これで何をすればいい?」零司は理解できなかった。


武史は彼を見た。


「念のため…道は安全ではない」


間。


「今これはお前のものだ。蓄積装置として機能する」均等な声。「魔力を蓄える、お前の本来の体が収容できる分だけ。一対一で――お前は魔力の容量へのボーナスとして使用できる。俺の魔力が終わったら――球体はお前に適応する」


零司は球体を握りしめた。感じた――温かさ。内部に魔力。巨大。密集している。


「そして重要なのは」武史は付け加えた。「誰かにこの球体を渡すことができるのは自発的にのみだ」


振り返った。地平線の方を見た。


「さあ、ここから消えろ」


零司が前に出た。


「お前は?」


武史は振り返らなかった。


「俺はお前たちに時間を稼ぐ」


間。


「それに…俺には返済していない借りがある。走れ」


零司は球体をより強く握りしめた。健心に頷いた。


「行こう」


彼らの後ろの人々が走って続いた。誰かが振り返った。誰かが泣いていた。零司は最後に振り返った。武史は一人で立っていた。果てしないツンドラを背景にした小さな人影。そして地平線に――軍隊が迫っていた。巨大。暗い塊。十万以上。


-----


武史は立っていた。軍隊を見ていた。足元の地面を感じていた。


「魔力抑制の柱…軍隊の内部のどこかに。すべてが保護下にあるわけではない」


軍隊の一部が前に突進した。本体から離れた。柱の作用範囲を離れた。


「よし」


しゃがんだ。地面に手のひらで触れた。集中した。地面が揺れた。そこから巨大な岩が上昇し始めた。それぞれ家ほどの大きさ。次々と。数十。武史は立ち上がり、手を振った。岩が軍隊に向かって飛んだ。柱に直接。


兵士たちが見た。叫んだ。


「盾を!」


しかし岩は大きすぎた。速すぎた。


*ドォン*


最初の岩が隊列に激突した。数十の兵士を押し潰した。血が飛び散った。


*ドォン*


二つ目。三つ目。柱が壊れ始めた。次々と。軍隊の前部で魔法文字が消えていった。


武史は感じた。冷笑した。


「さあ始めよう」


しかし突然――岩が空中で止まった。静止した。土と風の属性を持つ兵士たちが手を出した。岩を横に押しのけた。軌道を変えた。


「前進!」誰かが叫んだ。「これはたった一人だ!」


軍隊が武史に向かって突進した。四つの複製が迎え撃つために突進した。


最初の複製が地面を打った。地面からの波が立ち上がった。巨大。兵士たちに向かって転がった。何千を覆った。押し潰し、埋めた。


二つ目の複製がゴーレムを作った。巨大。石と粘土から。それらは軍隊の密集地に突進した。すべてを破壊した。


三つ目の複製が砲撃を始めた。圧縮された石が砲弾のように飛んだ。鎧、肉、骨を貫いた。


土の属性を持たない兵士たちは、複製が近づくと石化した。その場で固まった。倒れ、粉々に砕けた。


土の属性を持つ者たちを、複製は手で壊した。


「武史だ!!」兵士たちが叫んだ。「土の属性を持たない者は――後方から砲撃! 前に出るな!!」


一つの複製が鉄の鎧を着た兵士たちを玩具のように投げた。腕を、脚を掴んだ――回し、群衆に投げた。ところどころ鎧を圧縮した。鉄が割れた。肉に食い込んだ。


別の複製が拳で打った。打撃に圧縮された魔力の力で、骨が乾いた枝のように割れた。胸郭が陥没した。頭蓋骨が破裂した。


突然――巨大な者が複製の一つに迫っていた。高さ二メートル。数百キロ。筋肉が石のよう。石化せず、雄牛のように動いた。突き刺す意欲を持って。


複製は体を強化した。跳んだ。空中から頭への直接打撃。


*ドォン*


巨漢はまるで壁に出会ったかのよう。しかし倒れなかった。頭を振った。うなった。


武史は遠くから見ていた。


「誰かを思い出す…」


首を振った。


「より効率的に魔力を使う必要がある」


兵士の誰かが剣を振った。風の属性。複製の頭を切断した。頭が飛んだ。落ちた。しかし体は止まらなかった。首が回復した。頭が再び生えた。武史の複製は殺し続けた。


兵士たちは恐怖に陥った。


「彼らは再生する!」


「どうやって殺す?!」


複製は頭、腕、脚を失った。瞬時に回復した。軍隊を圧迫し続けた。


武史は後ろに立っていた。草のある地面がわずかに上昇した。座る場所のようなものを形成した。座って、空を見た。


「昨夜雨が降ってよかった…」


再び地面に手のひらで触れた。そこから細い蔓が芽生え始めた。細い。先端に蕾。蔓が兵士たちの足元で速く成長した。草、苔を突き破った。蕾が開き始めた。次々と。花は明るく、美しい。そこから花粉が散った。空中でかろうじて見える。


兵士たちが吸い込んだ。気づかなかった。数秒後――倒れ始めた。一人。もう一人。数十。数百。喉を掴んだ。喘いだ。膝をついた。息をするのをやめた。


「空気が…汚染されている!」兵士の誰か。


指揮官の一人がこれを見た。目が見開かれた。武史の複製がますます深く突進した。ますます多くの兵士が倒れた。


「水の属性! 速く!」


豊富な冷たい雨が降り始めた。水が血と混ざった。泥と。遺体と。花粉は速く洗い流された。


指揮官は息を吐いた。


「さあ前進!」彼は叫んだ。「この敵を踏みつぶせ! 彼はお前たちより少しも優れていない! 彼の首を私に持ってこい!」


兵士たちはさらに突進した。


武史は彼らを見た。冷笑した。


「さあ。今始められる…」


地面からすぐに巨大な蔓が現れ始めた。太い。巨大。棘に覆われている。兵士たちに向かい、掴み、巻きつき、引き裂いた。果物の果肉のように圧迫した。小枝のように折った。悲鳴、うめき声、骨が砕ける音。蔓は根のようにすべての隙間に入り込み、内側から引き裂いた。


指揮官の後ろに突然人影が現れた。海翔。


「お前たちバカか!!」氷のような声。「誰の命令で雨を?!」


指揮官は振り返った。何か言おうとした。海翔は、彼を見ずに、髪を掴んだ。鋭い動き。指揮官の体が引き裂かれた。内側から破裂した。血が四方に飛び散った。兵士たちに。地面に。海翔には――一滴も。海翔の手には――頭だけ。目がまだまばたきしていた。地面に投げた。


「バカども」彼はより静かに繰り返した。「この雨をすぐに止めろ!」


遠くを見た。武史を。


「ということは、寝返ったのか?」


冷笑した。


「そこで何に買収されたんだ? 興味深い…」


蔓が大きくなった。太く。長く。海翔は遠くから観察していた。


「近づくことはできない」


拳を握りしめた。


蔓が軍隊に向かって成長した。根元から上に上昇し始めた。三つの巨大な蔓。ゆっくりと絡み合った。高く上昇した。より高く。さらに高く。海翔は注意深く見た。蔓の一つに――シルエット。遠く。かろうじて見える。まるで、つかまりながら、蔓と一緒に高くなっているかのよう。怒りが燃え上がった。海翔は拳を握りしめ、震えた。深呼吸。手のひらを前で組んだ。彼の周りに水が集まり始めた。空気から。水たまりから。流れに圧縮した。発射した。


*ヒュゥゥ*


流れが突進した。数キロメートルの長さ。瞬時に蔓のシルエットの頭を切り落とした。同時にすでに太い蔓の頂上を切り落とした。切断された部分が下に落ちた。大きな轟音。しかしシルエットは回復した。頭が再び生えた。判明した――弱い武史の複製。内部に球体なし。上から主要な複製を調整するため。


武史自身はこれらの蔓の内部にいた。隠れた。ほぼ暗闇。隙間から差し込む光のきらめきだけ。顔に――微笑み。


「海翔、お前はなんでそんなに怒っている?」


蔓が軍隊に向かった。掴んだ。引き裂いた。圧迫した。根のようにすべての隙間に入り込んだ。内側から引き裂いた。蔓の別の部分が上に向かった。絡み合いながら。


「第二段階…」――内側から武史。


複製がまるで地面を引き寄せたかのよう。兵士たちと一緒に。ゆっくりと高くなった。サイズが増加した。地面の巨大な球が形成され始めた。内部の球体――核。外側の地面――殻。成長した。ますます大きく。ますます高く。


突然――両側の山から炎の蛇龍が降りてくるかのよう。四つ。巨大。空中で曲がりくねった。地面を蓄積している球を飲み込もうとした。火は内部の球体を破壊できなかった。


武史は冷笑した。


「親父も現れたか…」


「忘れたか? それらは耐火性だ」


海翔はどこか前方に翔を見つけた。叫んだ:


「もっと早く始められただろ!!!」


炎の蛇龍は球体に何もできなかった。球は地面を吸収し続けた。高く上昇し続けた。


突然――上から。別の炎の蛇龍。巨大。他より数倍大きい。まるで雲の上を泳いでいるかのよう。影だけが見える。ゆっくりと武史の方に向かって進んだ、雲の中で蛇のように曲がりくねりながら。


「全員後退! お前たちの無価値な命はまだ必要だ!」海翔が指揮した。


武史は感じた。


「もう少し時間が必要だ…」


周囲の蔓を強化した。魔力の新たな注入で強化した。蔓がますます大きく。ますます太く。武史の周りで強化された。


雲の上の炎の蛇龍がまるで下に飛び込んだかのよう。すべての上に現れた。武史の真上に。巨大な蔓の中に隠れた彼の。枝や冠のない巨大な木のように成長した。龍が口を開け、下に突進した。


武史はより強く強化し、手のひらを出した。


「ああああああ!!!」


火が蔓を飲み込んだ。サイズが増加した。絡み始めた。高さを増した。雲に達した、まるで炎の竜巻のよう。


翔はゆっくりとこの竜巻に向かって歩いた。手のひらが開いている。両側に。兵士たちが逃げた。火が増加し続けた。逃げる時間がなかった者さえ焼いた。


兵士たちが走って翔の近くを通り過ぎた。熱い火からわずかに焦げている。翔に到達すると、火は彼も覆った。しかし手は覆わなかった、翔自身のわずかに後ろにあった。火はまるで彼の手がある境界線を越えなかったかのよう。炎の巨大な竜巻。そして翔の手が突き出ている。


翔はわずかに前に手のひらを出した。まるで火が越えない境界線を構築したかのよう。翔自身が現れた。火が彼を迂回し、触れることを恐れた。炎が彼の前で分かれた。感情のない顔。恐怖なし。血への渇望なし。何もない。


炎が形を得た。今、翔がそれを強化した。火が柱となって空に舞い上がった。長い。激しい柱。雲に達した。広がり始めた。上から空を覆った、ドームのように。炎が雲の上をあらゆる方向に広がった。


火が蔓を焼き尽くした。巨大な熱が武史に到達するのが見えた。まぶたがすでに燃えていた。口から唾液の蒸気が出た。唇が乾いた。すでに血を流していた。焼け焦げていた。髪が焦げた。彼はところどころ燃え始めた。しかし逃げなかった。体がまるで自分の汁で焼かれているかのように感じた。皮膚が煙を出している。


「お前は俺を誇りに思うか、母さああああん!!!!!」


翔はさらに強化した。そしてさらに。竜巻が回転した。何キロメートルも見える。熱で石が溶けた。さらに数分。翔は手を離した。火がゆっくりと消えた。海翔が微笑んでいた。


突然――火が消えると、上から火の中からまさにあの球が現れたかのよう。あまりに巨大で、すぐに影が現れた。巨大。球体の周りにできるだけ多くの地面を集めて巨大になった。兵士たちに直接落ちた。一部の者は、すでに夕方になったと思った。しかしこれらは巨大な球が彼らに落ちていたのだ。


「ああああああああ!!!」海翔は怒っていた。唇の端が怒りで震えた。


三つの地面の球が軍隊に直接落ちた、逃げる時間がなかった。翔と海翔が上を見た。それぞれの上に直接飛んでくる球の一つずつを切断した。海翔は水の流れを使った。翔は――炎の光線。


球が真っ二つに破壊された。翔と海翔の異なる側に落ちた。彼らの近くのすべての兵士たちに触れた。翔自身には――重力の障壁。海翔には――水の覆い。何万もの軍隊が少なくとも半分に減った。海翔は怒っている。激しく呼吸していた。


-----


時間が経った。


兵士たちは、集まって、行軍を続けた。完全に焦げて真っ黒になった蔓の近くを通り過ぎた。蔓の部分が崩れた。地面に到達する前に、灰に変わった。彼を覆っていた隠れ場所から、すでに残った壁のわずかな部分だけが見える。


真ん中に――遺体。足を組んで固まっていた。武史。全身が黒い。焼け焦げた。皮膚がひび割れた。まるで炭化した木のよう。頭が下に下がっている。手が開いた手のひらで胸に固まっていた。体は乾ききっていた。炭に変わった。死んだ。


ゆっくりと、一歩ずつ、破途が近づいていた。真ん中の彼を見ていた。周りに――くすぶる灰。真剣な顔で見ていた。


「約束を守ったんだな」破途は静かにささやいた。


後ろからダチョウ馬。ゆっくりと近づいていた。破途は振り返らなかった。騎手が止まった。降りた。鎧での重い足音。


久志。


破途に近づいた。武史の焼け焦げた遺体を見た。


「さて…」嘲笑的な声。「友人のために泣く時間をやろうか?」


破途は黙っていた。


「感動的だ」


間。


「もうすぐお前も不要になる…」


地平線を見た。遠くの首都の方向に。


「止まるな! あと少しで首都だ」


*章の終わり*

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