美人幼馴染は、週末になると俺の家でサシ飲みをしたがる〜酒が弱いくせに沢山飲むので本音がダダ漏れです〜

水水

第1話 本音

 俺には、一生の運をそこで使ったのではないか。そう思う程に美人な幼馴染がいる。

 そして何とも不思議な事に、俺達はまだ連絡を取り合ったりしているのだ。


 どれだけ前世で徳を積んだんだ?

 なんて問うてみても答えは得られるわけもなく、適当に前世の俺に感謝しつつ、楽しい日々を送らせてもらってる。


 そして今。

 俺は疲れに疲れた体で車を運転中だ。

 なんとも最悪な事に今日は残業が長引いて、ついさっきまで仕事をしていたのだ。


 「……なんつーか。この会社もブラックに片足突っ込んでるよなぁ〜」


 まぁ、前の会社よりは全然マシだけどな。

 アレなんて片足どころか全身突っ込んで真っ黒けっけ。最悪もいいところだ。しかも社長のバカ息子が幅を利かせて、パワハラにモラハラもして。この時代の地雷を踏み抜きまくって、会社内の雰囲気なんて戦場だ。いつ拳が出てもおかしくなかった。


 ……でも何も起きなかったのはやっぱ、皆がちゃんとした大人だからなんだろう。

 拳を振るうことにより自分だけでなく、大事な人までも巻き込む可能性があった。あそこにいた人達は、ほとんど一家を支える大黒柱だったからな。その責任の重さも分かっていたんだろう。


 「………拾ってもらったから、この会社には文句言えねぇな」


 そんな事を独り言ちながら、自分が住むマンションの近場のコンビニに停車した。

 目的は安酒とつまみだ。仕事の疲れを落とすには最高だからな。


 ルンルン気分で店内に歩を進め、お目当ての品を手に入れるのだった。


 


 そうして帰ってきた俺は、スーツから着替えてソファに腰を下ろした。

 静けさが立ち込める家はちょっと嫌いだから、見るわけでもないテレビをつける。そして聞こえてくるお笑い芸人の声を背景に、缶ビールのプルタブに指を掛けた。


 プシュッ。


 聞き慣れた音と共に現れた飲み口。

 唇をつけて流し込んだ。喉を通る時に感じる炭酸の刺激とほのかな苦み。

 

 「あぁ〜………美味い」


 傍から見れば、おじさんだと思われるくらい渋い声が出た。意識してやってるわけでもないから、酒ってそういう効果があるのかもしれない。


 そんな事を思いながらもう一口いこうとした時、急に電話が掛かってきた。


 「なんだ?」


 画面を覗き込むと、天瀬あませ真昼まひると名前が表示されていた。俺の幼馴染だった。


 「ゔぅん」と、声を調整し電話に応答する。


 「もしもし。どうしたんだ真昼。急に電話なんてしてきて」


 「………あぁ〜。その、ね。今から飲み行かない?」


 「今から? ………俺もう飲んじゃってるし、歩きで行けるとこなら良いよ」


 そう言うと沈黙が返ってきた。それから言葉が紡がれるのを待っていると、真昼は意を決したかのように息を吸い込んだ。


 「じゃ!じゃあ!!りつの家で、一緒に、飲もうよ………。良い?」


 「……俺は良いけど」


 「やった!!」


 顔は見えないけど、喜んでいる顔が容易に浮かんだ。


 「じゃあ待ってるから」


 「うん!!待ってて!!」


 

 電話を終了し、それから三十分後————。


 俺に抱き着いてくる真昼がいた。


「ね〜え〜りつ〜。聞いてるぅ〜?何で律はそんなかっこいーの?めっちゃ好き〜。……でもちょっぴり嫌い!!全然意識してくれないし〜!!」


 「…………」


 どうしてこうなった?

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