学園の機関士2

大和りょう

学園要塞駅『豪血』

第1話札幌到着!!

 オホーツク海が水平線上すいへいせんじょうに広がり、静かな波が海全体をつつみ込んでいた。

 そこに朝日が出てきて、光で水面すいめんがキラキラと光り始めた。

 その光景を、横目にC621型蒸気機関車がたじょうききかんしゃはす』は、断崖絶壁だんがいぜっぺき線路せんろを通って札幌さっぽろまで向かっていた。

「ブォッブォッブォッブォッ!!」

 蒸気のき出す音が、規則的きそくてきなのは、機関車の特徴だ。

「これが学校だなんて、まだ信じられませんよ」

 車窓しゃそうから見える海をながめながらつぶやいた。

「怖ぁ…よく落ちないですね」

 窓を開け、身を乗り出し車窓しゃそうから下を見ながら言った。

 やがてトンネルが見えてきた。

「崖に穴をった感じなんですね」

 私は窓を閉め、椅子から立ち上がり部屋を出た。

「篠原さん。いますか?」

(何〜?)

 部屋の中から声がしたと思えば、ドアが開いた。

 なぜか、篠原さんの顔はニマニマしていた。

「どうしたの?私に会いたくなった?」

「あ、いえ別にそう言うのじゃないです」

 すると、篠原さんは急にほほふくらませた。

「ちぇ…」

「何か言いましたか?」

「別に〜」

 そして、直ぐに札幌のイメージについて聞いた。

「札幌?ってどういう所なんでしょうね」

「う〜ん。分からないけど、寒そうな名前だよね」

「あ、それ分かります。

 それに、古い歴史とかもたくさんありそうです」

「確かに!!」

 私たちは、話に花を咲かせながら機関車がトンネルから出るのを待った。


 ――『次は、札幌さっぽろ札幌さっぽろ〜。降りるお客様は、速やかに安全に降りてください』

 客車内に放送がはいる。

「もうすぐトンネル抜けそうですね」

 ゴォォォ――ガタン、ゴトン…。

 トンネルを抜けると広がっていたのは、時計台とけいだいやさっぽろテレビとうといった観光名所かんこうめいしょ数々かずかずだった。

「自分の個室こしつにあるブラウンかんテレビで見た通りだ…」

 私は、感激かんげき語彙力ごいりょくを失っていた。

 となりに目をやると、篠原さんも目をかがやかせて外を見ていた。

「すごい、すごい!!本当にあったんだ!!」

「すごいうれしそうですね?」

「当たり前だよ、ほかの町だよ!!気にならない方がおかしいって!!」

 篠原さんの食い気味口調くいぎみくちょうに私は、一瞬いっしゅんたじろいてしまった。

 すると左隣ひだりどなりの二つの部屋から、夕さんと芽衣さんが出てきた。

「ここが札幌!!」

そう言って、篠原さんみたいに目を輝かせている夕とは対照的たいしょうてきに、

 芽衣さんは「す、すごいけど…何か怖い」

と怖がっていた。

「すごいですよね、私たちが住んでる町以外にもこう言う町があるんですから」

 そう呟くと、夕さんが私の方に寄ってきた。

「なぁ〜務。ラーメン食いに行こうぜぇ〜」

「いいですよ、札幌ラーメン?でしたっけ。私も楽しみだったんです!!」

「だよな!!バターの上に乗るあの豚骨スープ。

 コーンやほうれん草のいろどり最高だぜ」

「もしかして、全部テレビですか?」

「ああ!!」

「よく覚えてますね…」

「あたぼうよ!!飯のことなら何でも覚えてるぜ!!」

 私は、少し苦笑いしながらも、夕さんがご飯の時だけ発揮するその記憶力きおくりょくは普通にすごいと思った。


 ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…。

 プシュゥゥゥゥゥゥ。

すると

 機関車が駅に止まった。

 周辺は、住宅街じゅうたくがいが立ち並び、緑色のがそよ風と共に揺れていた。

「止まりましたね」

「楽しみだぜ!!」

 札幌に心躍らせながら話していると、

「ねぇ、それ私たちも札幌ラーメンについて行っていい?」

 篠原さんは、芽衣さんの腕につかまりながら聞いてきた。

「いいですよ。みんなで行きましょう」

「やったぁ〜!!」

 篠原さんが腕を上げるとそれにつられて、芽衣さんの腕も上がった。

「うわぁ!!」

「あ、ごめん芽衣ちゃん…」

「大丈夫ですよ。少しびっくりしただけですので」

 芽衣さんの笑った顔を確認し、私は胸をなで下ろした。

「ついたようですね」

 そういった瞬間――

 ジリリリリリ!!

 けたたましくベルが鳴ったと思えば、停車した駅がエレベーターみたいに降下こうかし始めた。

「どうなってるの?」

 篠原さんは、廊下の車窓を開けて外をのぞく。

「私たちを下へ運んでるんですかね?」

 私は、上へ上へと通り過ぎていくオレンジ色の光を眺めながら言った。

 正直、『もう何が起きても驚かないだろうな』と思った。

 

 ガコォン!!

 パラパラパラパラ…。

『札幌〜札幌〜お出口は左側です』

 車内アナウンスがなる。

「着いたみたいですね」

 私は、すぐさま客車の出口に向かった。

 扉を開け辺りを見回すと、プラットホームが一つあるだけであとは何も無かった。

 壁?は、ランタンで照らされ天井から落ちてくる水滴をもらしていた。

 右手の方を見ると、石をそのまま改造かいぞうしたような給水きゅうすいタンクがあり、その下で先に降りた同学年どうがくねんたちが話している。

「寒…」

 腕を組みながら客車の出口で止まっていると。

「つっとむぅ〜、行こうぜ!!」

 夕が背中をバシッと押して私を外に出した。

「ちょっと、夕さん危ないじゃないですか」

「わりぃ、わりぃ」

「まったく、反省してるのですか?」

「してる〜、してる〜」

「絶対してないですね…」

 押した張本人ちょうほんにんの夕さんに呆れながらも話していると、篠原さんと芽衣さんも客車から出てきた。

「寒い…」

 芽衣さんは、体を小刻こきざみみにふるわせながら言い、

「わぁ!!夏なのにここだと白い息が出る!!」

 と篠原さんはこの状況を楽しんでいた。

「取り敢えず外へ出ましょう。話しはそこからです」

 私は、夕さん、篠原さん、芽衣さんに言った。

「「「そうだね!!」」」

 皆、同意してくれたので出口を探すことになった。

 しかし、芽衣さんが

「あ、生徒の集まりとかは?」

 と思い出したように言った。

「大丈夫、夏休み中は関係ないらしいですよ」

 説明するように私は、芽衣さんに言う。

「なら良かったです」

 芽衣さんは、胸をなでおろした。

「それじゃあ出口を探しましょう。札幌ラーメンはその次です」

「「「うん!!」」」


 ――とある基地。

 黒フードの男がモニターを見ていた。

 そこには、日本地図にほんちずが映し出され、機関車がある所ににピンが立っていた。

「ふふふ、奴らは札幌か…。おい!!は?」

「それが…」

 そう言ってほかの黒スーツの男が見せたのは破壊はかいされた例のアレだった。

「は!?壊れてんじゃあねえか!!」

「す、すみません!!新人隊員がトチってしまって…すいやせん!!」

 黒スーツの男が頭を下げた。

「はぁ〜。まぁ、いい」

 黒フードの男は、後ろ頭をきながら言った。

「だったらST-回収装置かいしゅうそうちを持っていけ」

「は!!」

 黒スーツの男は、敬礼けいれいをして部屋を出ていく。

「待ってろよ蓮、これで貴様きさまも終わりだ」

 基地内きちない甲高かんだかいい笑い声がひびわたった。

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学園の機関士2 大和りょう @kuhumaiku

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