第3話魔王城に電話してみた
「なあ」
俺は王様を見た。
「魔王の居場所、分からないんですよね」
「うむ」
「でも連絡は取れるんですよね」
「うむ」
「じゃあ先に話し合いません?」
広間がざわついた。
「話し合い……?」
神官が首を傾げる。
「戦わずに済むかもしれないじゃないですか」
「その発想はなかった」
「今まで何してきたんですか、この世界」
王様は少し考えてから、後ろを振り返った。
「通信係ー!」
「はーい!」
奥から出てきたのは、なぜか黒電話だった。
「……電話?」
「魔王城直通だ」
「文明どこから来たんですか」
「異世界はだいたい混ざる」
受話器を取らされた。
「え、俺がかけるんですか?」
「勇者の仕事だ」
「雑用ですよね?」
「似たようなものだ」
俺は渋々ダイヤルを回した。
……ジリリリ。
『はい、魔王城総合受付でーす』
「出た」
『ご用件をどうぞ』
「えっと……勇者です」
『少々お待ちください』
保留音が流れた。
なぜか陽気なリコーダーの音だった。
『お待たせしました。魔王様はただいま会議中です』
「何の会議ですか」
『会議です』
「内容は?」
『決まってません』
「決めてから会議してください」
後ろで王様が頷いている。
『ご用件は?』
「えーっと……倒しに来ました」
『あー』
明らかに面倒くさそうな声になった。
『今日ですか?』
「今日です」
『今日はちょっと……』
「ですよね」
『明日も無理です』
「でしょうね」
『来週ならワンチャン』
「軽いな」
電話の向こうで紙をめくる音がした。
『あ、すみません。魔王様から伝言です』
「はい」
『「急がないで。世界は逃げない」』
「世界観が緩すぎる」
電話を切ると、広間は妙に静かだった。
「……どうだった?」
王様が聞いてくる。
「来週ならワンチャンだそうです」
「余裕があるな」
「余裕しかないです」
魔法使いが手を挙げた。
「じゃあ、それまで何します?」
俺は答えた。
「とりあえず、飯食いましょう」
全員が深く頷いた。
この世界、
魔王より予定調整の方が難しいらしい。
異世界に召喚されたけど、全員ちょっとバカだった なおや ゆかり @naoya06
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