第47話 鑑定の限界


歪曲地帯の中心で、

巨大な影が

蠢いた。


鑑定。


《???

解析不能》


初めて見る

表示だ。


鑑定は、

世界の

情報を

読み取るスキル。


だが、

世界そのものの

歪みは

読めない。


影が

形を成す。


魔物ではない。


現象だ。


空間が

意思を

持ったように、

迫ってくる。


元勇者が

息を呑む。


「斬れるんですか、

あれ……」


次郎は

答えない。


鑑定を

切る。


頼らない。


剣士は、

目で見て、

肌で感じて、

判断する。


身体強化。


三度。


剣を

振る。


斬ったのは、

影ではない。


境界だ。


歪みと

世界の

境目。


影が

悲鳴のような

音を立て、

霧散する。


鑑定が

再び

機能する。


限界を

知ったことで、

次郎は

一段

自由になった。

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