第4話 お姉様!人間界の姫を攫ってきたの

私は誇り高きブルースター家の現当主、マリア・ブルースター。

今日も私は人間の生き血……


「おねーさまー!」


「……あら、フローラ。どうしたの?」


「見て!人間の姫!」


「何やってるの!?」


私の妹、フローラ・ブルースターが連れていたのは、すやすやと眠る人間の姫。


「人間の姫を攫ってきたの」


「なんで!?」


「なんとなく」


「なんとなくって何よ」


なんとなく……。

何そのサラみたいなセリフ。


「いい?フローラ。人間の姫はなんとなくで攫ってはいけないの」


「なんで?」


「人間界の法律的に犯罪になるからよ」


フローラは、ムッとした顔で言った。


「でも、お姉様は人間の生き血を吸いまくるじゃない。それは犯罪にならないの?」


「……っそ、それは……。そ、それに!魔族と人間の関係が悪くなっちゃうでしょ!」


「昔から争ってるじゃん」


「そ、そうだけど……」


「ねっ?」


そうだけどそうじゃないのよね……。

姫を攫うと勇者が助けに来るっていうのがお決まりの世界なのよ、ここは。

私が勇者の相手をするとか……めんどくさすぎるのよね、ハッキリ言って。


「大丈夫!私が責任を持ってお世話するから!」


「ペットかなにかかしら?」


思わず突っ込んでしまった。

フローラは気にせず続ける。


「ちなみにね、この人間の姫はステファニーっていうんだって。ステファニー・ポピー。かわいいよね!」


「そうね……」


名前……そのまんまなのね。

寝てるからポピーなのね。

白いポピーって、花言葉、眠りと忘却だものね。

物忘れも激しいのかしら……。

未だに姫寝ているし……。


「お姉様、声に出てるよ」


「あら、そうだったかしら?」


「うん。それとね、そんなにすぐ花言葉思いつく人いないから、そのまんまの名前じゃないと思うよ」


「そう……」


「それに苗字だしね」


「……それもそうね」


私は、そういえば、と話をきり出す。


「勇者の相手をしなくちゃいけないのは、もちろんわかってるわよね?」


「……あ」


フローラは、途端に青ざめる。


「勇者のこと、忘れてたのかしら……?」


「うっ……」


フローラは、少しの間、明後日の方向を見ていたが、何か思いついたようで、ぱっと顔を輝かせる。


「わかった!一度姫を返してきて、戻ったよーってさせるの。それで、魔術師に頼んで記憶をいじらせてもらって」


そんな有能な魔術師、すぐに見つかるとでも思ってるのかしら。


「みんな姫を知らないって思わせてもう一度攫えばいいんじゃないかしら!」


「だから攫うなってば!」

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とある館の初雪草 まな板の上のうさぎ @manaitanoue

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