第14話 離婚の理由

 年も明け、昭和49年 谷津遊園


 智也と香は、隆二が谷津遊園に連れて行ってくれると言うので甘えて連れて来てもらっていた。

 隆二は、清一から車を借り、二人を乗せて来た。

 暫くは、アトラクションを3人で楽しんだ。

メリーゴーランド、観覧車、コーヒーカップなどである。

 「隆二さん、食事くらい出させて!」と香は3人分の食事と飲み物を買いに行った。

 隆二と智也は、二人でベンチで待っている。

隆二は、「智也?智也のお父さんってどんな人?」と香の居ないところで尋ねた。

智也は、「ボク、お父さん知らないんだ!お母さんに聞いても教えてくれないし、写真も見たことない」と下を向いて答えた。

隆二は、「あのさ‥香さん、お母さんってどんな人がタイプかな?例えば芸能人だとさ‥」と智也に探りを入れた。

「沢田研二かな?いっつも沢田研二がでると、テレビ見てるもん!」と言った。

「沢田研二‥沢田研二か!ちくしょう!こりゃ脈ないかな‥」と沢田研二には、決して似てない隆二は落ち込んだ。

「隆二兄ちゃん!お母さんに惚れてるの⁈」と

目を丸くして、聞いた。

「シー!」と香がまだ戻らないか、確認して

「智也!例えばだぞ!例えばの例えばだぞ、隆二兄ちゃんがお父さんになったらどう思う?」と小さい声で聞いた。

「隆二兄ちゃんが、お父さん!‥うーむ、例えば僕がウルトラマンごっこしたいって言ったら〝怪獣〟やってくれる?」と聞いた。

隆二は胸を叩き、「やってやるさ!ゴモラでも、レッドキングでも」と鼻の穴を広げた。

智也は、「ふ〜ん、隆二兄ちゃんっ〝甲斐性〟あるの?」と聞いた。

「〝甲斐性⁈〟どこで覚えたんだ?そんな言葉?

甲斐性っていわれてもな‥一応公務員だからな‥」と言葉を濁した。

智也は、「一応、アタックしてみたら、僕がウルトラマンごっこやりたい時にやってくれるなら!」と笑った。

隆二は、「お前は、ませているのか?子供なのか?よくわからんな?」と言った所で、「お待たせ!」と香が、ホットドッグや飲み物を持って帰って来た。「何の話してたの?二人で?」と聞くと、智也は、「甲斐性の話!」と答えた。

「〝甲斐性⁈〟え?何それ!」と香は笑ったが、

隆二は額に手を当てた。


 石橋商店街


 一台のリムジンが商店街に入り、古川雑貨店の前で止まった。

 リムジンの後部座席から、白いスーツを着た。

美形の長髪の男性が降りたった。

 男性は、「ごめんください!」と言って古川雑貨店のガラス戸を開けた。

 婆ちゃんが、奥から出て行くと、男性は、胸から一枚の写真を出した。

 婆ちゃんが写真を覗き込むと、それは〝香〟であった。

男性は、「私の妻なんです!蒸発してしまって探しているんです!」と言った。

婆ちゃんは、男性の身なりや瞳を注意深く見た。


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