愛を手に入れたら、なんでもよかったんだね。

櫻絵あんず

A

 ピンク色のクッションを抱えた私は、最近の彼とのマンネリ状態の中で果たして今回はどのように身をもっていくのか考えながら、テーブルへと動いていた。いつもとは違う、サテンのクッションは質感も異なり、そのことはマンネリの解消の期待よりもさらに失敗への恐怖を植え付けてくるものでいたけれど、切なく十分に甘いとかんじたから、私は心を開く準備を整え始めていた。


 10年近く前に確かに手に入れていた愛は、時を経てなかなか登場頻度が少なく

鈍ついていただけであって、掌を入れてあげたらすぐにぴちぴちと甘酸っぱさをとりもどしてくれたから、私は感謝していた。そして、嬉しかった。

 

 瞬間移動した時が降り立ったのは、公と私と過去と今がミックスした残存物の静けさで。おもわずふたりで飛び起きながら公を整えた。そして、それ以上は内緒だ、教えない。


 そんな私と彼に企業は愛人をつきつけてくる。

 何て愛のない話だ。



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