1章

「……あのー」

「…………のわっ!?」

恐らくきっとイケメンの部類なのだろう、という顔面つよつよ男に起こされた。

「大丈夫でしたか?こんなところに寝そべってるなんて」

「あっ大丈夫ですお気遣い感謝します私はこれで」

早めに帰宅したい、おう氏に連絡してないし、じゅんじゅん不足で既に死にそう。せめてじゅんじゅんの顔を1ミリでも拝めたら恐らくHPは80%は溜まる、残りの20%は動いてるじゅんじゅんを見ることで満たされるわけだが。

「……ここ、どこですか」

「マール王国で郊外の丘だね」

「まあるおうこく?」

世界にそんな国あったのか。じゅんじゅんがロケで行った国しかわからない。でもとにかく日本ではない、ということは。

「じゅんじゅんとの距離が……」

やばいほんと泣きそう無理。じゅんじゅんと同じ国土を踏んでいることが生きがいの1つなのに。

「ジュンジュン?というのは誰だい?君の恋人か何か?」

「恋人っていうか……婚約者?」

「婚約者」

「来世の」

「来世の」

「今世では結ばれないんです。何かの手違いで神様が私の造形を女にしたばかりに」

私は今まで美男美女に惹かれたことがないため、性的指向がどう、とかはわからない。ただじゅんじゅんガチ恋勢ではある。あんなに可愛い子いる?いやいない、どの世界を探したってじゅんじゅんが世界一かわいいし、本当に幸せにしたい、私の嫁、婚約した。

「ジュンジュン?さん?は素敵な人なんだね」

「あっはい、でも、私の嫁なんで見るのは禁止ですからね、じゅんじゅんを視界に入れていいのは私だけです」

「……すごい溺愛っぷりだ」

若干引かれた。初対面の男に。

「とにかく、こんなところに寝ていたら風邪を引いてしまうよ。王宮まで案内しよう」

「結構です、あ、空港はどこですか、日本に帰国してびっくりコンテスト観なきゃならないんですけど。じゅんじゅんが出るので」

男は首を傾げた。

「ニホンって国なんて、あったかな」

「……は?」

「それに、クウコウってなんだい?」

「……ご冗談を。空港は空港ですよ。それくらい日本人なら……」

そこで、改めて男の容姿を見た。

洋風の甲冑。金髪碧眼。流暢すぎるくらい流暢な日本語。

おかしい。嫌な予感がする。まさか、そんなことがあるわけない。こんなのアニメとか漫画とかの世界だ。高校のときのクラスのヲタク男子たちがこぞって読んでたやつにしか出てこない。そんな展開、あるわけがない。

「……名前を、教えてください。スペルも」

「ああそうだよね、不審な者に思われたかもしれない。先に自己紹介すべきだったかな。私はマール王国近衛兵 リューク・スライザー。スペルはリカル、ウー、キー、ツヴィ・ウーこれでリューク、ファミリーネームの方は……」

「ああそれで結構です」

やっぱり。恐らく、ここは異世界、という場所。つまり、この世界に、じゅんじゅんはいない。

「……死のう」

「なぜ!?」

そんなこんなで私の異世界生活は幕を開けることとなった。

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