青春男と十二の女神〜どの女子も可愛いいからと悩んでるその少年は春風に舞う〜
空花凪紗~永劫涅槃=虚空の先へ~
第一章 白髪の姫
第1話 運命の再会
春、それは出会いの季節。高校一年生が始まる。
僕は朝、目指めると、日課のタロット占いをした。3枚引き。
【運命の輪】
【恋人】
【世界】
えっ。こんなに良いカードが同時に出るなんて。しかも全部正位置だと。これは今日、運命の出逢いがあるに違いない。
僕は朝食のバナナを食べながら支度をする。水筒、財布、筆記用具。スマホ、生徒証、鍵。薬、ノート、教材。よし。行こう!
◇
横須賀学園高等学校。中高一貫。開成高校と肩を並べる全国トップクラスの名門校。僕は中学からいるので友達はいるが、高等部からは外部生も交じる。僕のクラスはA組。成績トップ30人のクラス。
今年は18人が内部進学。内男子15人、女子3人。外部生は12人が全員女子らしい。珍しいことだ。そんなことを考えながら登校していると、前から声がかかる。
「おはよう、未来くん」
「ああ、おはよう」
黒髪ボブを春風に揺らしながら、自信なさげに立つ。彼女は藤原小春。登校中に幼馴染の小春と会う。よくあること。これは朝の占いの内容ではないだろう。
「課題やった?」
「うん! 未来くんは?」
「もちろん。数学と物理は2周したよ」
「流石学年一位だね。行こ!」
二人で一緒に歩く。いつものこと。だが、突然、僕の手を掴む存在がいた。
「久しぶり。そして、おはよう。未来」
そこにいたのは絶世の美少女。白雪のような美しい白髪はボブヘア。その毛先は空色に染まっている。まるで小春と対のような容姿の彼女は同じ制服を着ている。つまりはこの横須賀学園高等学校の生徒ということ。
「あれ、未来くんの知り合い?」
小春はその女子生徒に尋ねる。
「ええ」
僕は彼女を知らない。誰だろうか。僕はたまらず問いかける。
「君は?」
「私はヘレーネ・ルイス・クリスタル。あなたの許嫁よ」
彼女は気高く名乗り、胸元に手を当てて、お辞儀をした。そして、さらには自身を僕の許嫁と名乗る。
「未来くん?」
「いやいや、知らない。僕には許嫁なんて」
「私の母、アナスタシア・ベレット・クリスタルはあなたの両親と大学時代の旧友」
「横須賀国際宇宙大学?」
「はい。私の母は、とてもあなたの家族と懇意にしていました。あなた様のご両親、晴仁様、美波様のことはお気の毒でした」
「僕の親の名前。本当に?」
「はい。そして、あなたのことをクリスタル家が全面的に支援することも約束しています。あなたとの婚約のことも」
覚えていない。ヘレーネ?
「もしかして、昔会ってる?」
僕はさらに問いかける。ヘレーネは髪をさらっと手で撫でる。やはり気高く、高貴に。
「はい。どうやら未来様は、健忘症のようですね」「僕の病気のこと、知っているのか」
「はい」
その時には周囲に十数名の生徒が僕たちの会話を聞いていた。
「あれ誰?」
「やば、めっちゃ可愛いじゃん」
「外国人?」
「話してるの学年一位の未来くんだよね」
「藤原さんもいるし修羅場?」
などなど聞こえる。僕は二人に提案する。
「そうか。まぁ、あれだな。歩きながら話そう」
「はい。そうしましょう」
「そうしよう。未来くん」
その後は沈黙。ヘレーネは何も語らない。学校まで直ぐだしいいやと思っていたら、次は車のクラクションが鳴った。
「おーい、ヘレーネ! 運命の人とは会えたのか?」
「あ! レオン!」
高級車から出てきたのは赤髪ロングストレートの女子生徒だった。勝ち気に笑うその女子生徒は僕のもとまで来ると、急にハグしてきた。
「よろしく、未来!」
「あ! レオン! 私まだハグしてないのに!」
「ハグは親しみを込めた挨拶だよ。私の故郷じゃ、そうだっただけのこと。行くぞ、ヘレーネ。外部生は先に説明があるから早く行かなきゃだぞ。車乗れ」
「分かったわ。じゃあね、未来様。そして――」
「ああ、私は小春。藤原小春です。よろしくお願いします」
「小春さんね。素敵な名前。また会いましょう」
この日から勉強一筋だった僕の日常がバラ色に染まっていく。
青春男と十二の女神〜どの女子も可愛いいからと悩んでるその少年は春風に舞う〜 空花凪紗~永劫涅槃=虚空の先へ~ @Arkasha
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