非モテだった俺が、イメチェンしたら職場の空気が変わりすぎなんだが

@naga51552

第1話 今日も一人

朝の電車はいつもと同じ顔ぶれで、いつもと同じ匂いがした。

人混みに押されて、肩がぶつかるたびに小さく謝る。


けれど、誰も僕を見ていないしこの声が届くこともなかったようだ。

いや、見ているのかもしれないけど、目が合うことはない。


「……今日も一日、普通にやり過ごそう」


胸の奥で小さくつぶやいて、自分に言い聞かせる。

普通にやり過ごす。それだけ。

それだけでいいはずだった。


僕の名前は黒崎翔。27歳、営業職。

特徴がない事が最大の特徴。

まさに平凡の極みだと思う。

同僚に話しかけられることは滅多になく、女子から笑いかけられることもほとんどない。

それどころか、社内の誰かが冗談で僕をからかっても、

誰も注意してくれないくらい目立たない存在だ。


「おはようございます」


朝の挨拶をしても、返ってくるのは無言か、無表情なうなずきだけ。

そのたび、心の中でちょっと凹む。

それでも、今日も仕事が待っている。

今日も会議がある。

そして、今日もランチはひとり。


デスクに座ると、隣の席の同期たちが話す声が聞こえる。

当然、話に混ざる事はない。



笑い声がすると、心の中で小さく嫉妬する自分がいる。

僕もあそこに混ざれたら、きっと楽しいだろうな、なんて思うけど、そんな勇気は僕にはなかった。

きっと声をかけると変に思われるから。


「……やっぱり、今日も一人か」

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