世界を救えなかった勇者たちの冒険譚

社会の猫

2/16~2/30

 ※この物語は、世界を救えなかった勇者たちの物語である


 名前:エルファ


 3457/2/16


 今日から魔王討伐までの日々を日記形式で記していこうと思う。

 理由は単純。旅が終わった後に売れば儲けれるでしょ?


 今日は私以外の勇者、剣士、僧侶との顔合わせがあった。

 国が選んだ最強の人間。いったいどんな人物たちなのだろうと期待に胸が膨らんでいたが……


「どーも。俺が勇者だ。なんか聖剣に選ばれちまった。よろしく」

「我は剣士のドゥードゥと申す!よろしく頼むぞ!」

「そ、僧侶の……メリーって言います!よ、よろふぃ……すいません!よろしくお願いします!」

「……魔法使いの、エルファ。よろしく」


 明らかにやる気のない勇者。うるさい剣士。あざとすぎる僧侶。

 もう、やっていける気がしない。

 これからこんな人たちと一緒に旅をするのかと思うだけで憂鬱だ。


 だが、決まってしまった分は仕方がない。私はこいつらと一緒に魔王を倒しに行かないといけないのだ。

 なるべく距離を置いて、適当に魔王だけパパっと討伐してしまおう。


 今日は王都の宿に泊まって、明日から出発らしい。


 これからが心配すぎてあまり寝れそうにない。


 3457/2/17


 今日は王都を出発した。

 魔族領までヒウマ種の馬車で二週間。道中では剣士がただひたすらに暑苦しくて厄介だった。


「ふははは!皆の衆、こんな狭い馬車の中だからこそ仲良くしようではないか!どれ、我が一つすべらない話を……」

「剣士おめーうっせーよ。俺は暇な時間は寝てーんだ。小さい声でやってくれ」

「(じゃあ、今からすべらない話を……)」

「ふふふっ……」

「…………」


 剣士のつまらない話は省略しようと思う。あれを世界中に晒してしまうのは流石に可哀想だ。

 どのくらいつまらないかというと、僧侶の顔がひきつるぐらい。

 これがあと二週間……

 私の気が狂わないか心配だ。

 そういえばだが、私はこのメンバーが”最強”だと聞かされただけで実際の戦闘を見たわけじゃない。

 本当に強いのだろうか?こんな奴らが……

 特に勇者。

 こいつ、本当に聖剣に選ばれたの?



 3457/2/25


 今日まで何もなくて書く気も起きなかったので何も書かなかった。

 ただひたすらに窮屈な旅路なんて誰も興味が無いだろうし、割愛だ。割愛。


 今日は、初めての戦闘があった。

 泊まっていた村に魔族が出たのだ。

 そこまで強い敵ではなかった。見た目だってちょっと人間に近いだけの弱い個体だったし。


 夜、悲鳴で目が覚めた。

 結果として、私たちは魔族に勝つことができた。

 でも……


「おい剣士。お前、俺と攻撃のタイミングずれすぎ。僧侶……あーお前はいいや。魔法使い。お前は俺に攻撃当てそうになってだろ。気を付けろよ」

「うむ……すまなかった」

「はぁ!?なによあんたその態度!元はと言えばあんたが射線に入るから……」

「あーそうか悪かった悪かった。お互い気を付けよーな」

「は、はぁ……?」

「まぁお二人とも落ち着いて……」


 思い出すだけでほんと無理ほんと無理ほんと無理!!

 二人ともそこまで強いわけでもなかったし、勇者に至っては一般人レベルじゃなった!?

 早く魔王倒したい。やだ。このパーティー。




 3457/2/30


 今日はやっと魔族領の森に着いた。

 これからは徒歩で魔王城へ向かうらしい。

 当然、道中の魔族は増えるから気を付けないと。

 私が何とかすればどうにかなるんだから。こんな奴ら守りたくないけど、魔王を倒すには聖剣がないとダメなのだ。

 大丈夫、私なら大丈夫。

 幸いなことに、今日は魔族に出会わなかった。

 この調子ならあと一か月ぐらいで魔王城に着けるかな?

 あと一か月、このメンバー。

 あぁ、ひたすらに不安だ……

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