第67話 史上最悪の敵
慎との確執、そして新田一族の亡霊との再会に揺れる変美だったが、彼女の「鼻」の噂はついに国境を越えた。
宇都宮の路地裏から、戦場へ。CIA(中央情報局)が、中東のテロ組織が隠し持つ「極秘バイオ兵器」の貯蔵庫を特定するため、変美を強引にスカウトしたのだ。
■ ミッション:硝煙の砂漠
「……最悪だわ。砂漠の熱風に乗って漂ってくるのは、『焼けた砂』と、『大量の火薬』。そして……逃げ場のない**『死の予感』**の匂いだけ」
変美はCIAの特殊部隊と共に、武装地帯の最深部へとヘリで送り込まれた。しかし、着陸直後に待ち受けていたのは、歓迎の握手ではなく、凄まじい大音響だった。
ドォォォォォン!!
「ヘリが撃墜された!? ……この匂い、『対空ミサイルの燃焼ガス』と、『ヘリの燃料(JP-8)が飛散する独特の臭い』!」
■ 蹂躙:最新兵器のフルコース
火の海と化した墜落現場から這い出した変美を、さらなる地獄が襲う。
「伏せて、変美さん!」
武尊が叫ぶ。遠くのビルから放たれたのは、スナイパーの超長距離射撃。
弾丸が変美の耳元をかすめる。彼女の鼻は、1キロ先から漂う**『銃身を冷やす冷却スプレー』**の微かな匂いをキャッチした。
さらに、地響きと共に現れたのは旧型の主力戦車。
「……っ! 戦車の排気ガスと、『砲身から放たれる熱せられた鉄の匂い』。……右よ! バズーカの予備動作が入ったわ!」
変美は、バズーカの弾頭に使われる**『高性能爆薬RDX』**の匂いを嗅ぎ分け、爆発の1秒前に遮蔽物へ飛び込む。だが、着地した場所が悪かった。
「……カチッ」
「……嘘でしょ。足元から、『地雷のバネが錆びた金属臭』と、『信管が作動する瞬間の火花の匂い』……。私、宇都宮のオリオン通りで餃子を食べていたかった……!」
■ 覚醒:極限の「嗅覚回避」
戦車砲、バズーカ、そして頭上を旋回する攻撃ヘリの機銃掃射。まさに四面楚歌。
しかし、変美は極限状態で鼻を研ぎ澄ませた。
「……見つけたわ。この戦場に漂う凄まじい悪臭の奥に隠された、**『バイオ兵器が保管されている地下施設から漏れ出す、冷たい腐敗臭』**を!」
彼女は地雷の圧力を絶妙に逃がしながら(かつての黄金の座薬で鍛えた体幹を駆使し)、弾雨の中を駆け抜けた。
「ヘリの排気ガスの流れを見れば、地下への吸気口がどこにあるか丸わかりよ!」
■ 逆襲:スマホで精密爆撃
変美は、激しい爆風でボロボロになりながらも、スマホを取り出した。
もはやドラクエウォークのレベル上げどころではない。CIAの衛星通信アプリに、バイオ兵器の「匂いの座標」を直接打ち込む。
「……この座標に、全火力を叩き込みなさい! この腐った匂い、地球から消し去ってやるわ!」
数分後、変美の指摘した地点に空爆が命中。地下施設ごとバイオ兵器は霧散した。
■ エピローグ:砂漠に咲く金木犀
戦火が収まり、CIAの担当官が変美に歩み寄る。
「驚いた。君の鼻はレーダーよりも正確だ。報酬は望むだけ出そう」
だが、変美はボロボロになったスーツの襟を正し、冷たく言い放った。
「……お金なんていらないわ。今すぐ私を宇都宮に帰して。今の私の鼻が求めているのは、CIAの札束の匂いじゃない。……家の庭に咲いているはずの、**『息子が嫌がっていた、金木犀の匂い』**だけよ」
ヘリに乗り込む変美。
そのポケットの中では、ドラクエウォークの通知が鳴り響いていた。
『目的地:宇都宮市・自宅。……メガモンスター:反抗期の息子が出現中』
CIAの依頼を終え、変美は再び「家庭」という戦場へ。
母子対決: 自宅に帰ると、慎が新田の遺産を継承して「新・嗅覚探偵」を名乗っていた。
CIAの執着: CIAが変美を解放せず、今度は「宇宙ステーションの異臭」を嗅ぎに宇宙へ行けと言い出す。
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