再稼働のためのアイドリング運転
【まず最初に】
話の進行をする羽鐘司令の言葉は「」、スマホ少尉の言葉は『』で表示します。
――――――――――
作品支援部隊司令室で、羽鐘司令はシガレットチョコを咥え、ブラインドを曲げて窓から外を見る。
目の前には山と川。
いつ見ても同じ景色だ。
変わらない日常に触れ、羽鐘は物思いに耽る。
自分としてはダンディズムを気取っているのだが、第三者が見れば脱走犯が外の様子を窺っているようにしか見えない。
『何をしているんですか? バカみたいなバカ面で』
「その例えはなんだ? 同じことを言っているじゃないか」
『バカひとつじゃ足りないので』
「一個でも多いよ。あのさ、しばらく間隔あったじゃない? ちゃんとできるか心配でね。紹介作品は用意できたけど、失礼があっちゃ迷惑になるからさ」
『存在が全生命体に対して失礼ですから気にしても無駄です。しかし、確かに不安はありますね』
スマホはスクリーンの中で顎に手を当てて考える仕草をした。
羽鐘の癖が伝染していることに気付いていない。
「今も読書は続けているし、支援砲も撃っている。しかし、作品の核を捉えているか不安を覚えることはある」
『司令はミジンコ同然の脳ミソですが、読む力はかろうじてあると思ってますよ』
「逆に言えば、ミジンコの文章把握能力は目を見張るものがあるな……。まぁ、考えても仕方ない。今期で紹介する作品の傾向はどうなっている?」
『時期的に、短編長編に限らず、カクヨムコンにエントリーしている作品が多いです。作品のカテゴリーは相変わらずバラバラです』
スマホは紹介作品リストをスクロールさせていく。
ただし、スクロールが早すぎて羽鐘は全く読めていない。
「現段階で16作品が決定しているな。掲載を許可をしてくれた作家の心の広さに感謝したいところだ」
『そのとおりですね。司令のような不審者からの申し出なんて、特殊詐欺みたいな印象しかないですからね』
「詐欺なんか働かないよ。しかし、本当に有難いよ。期待に応えるように紹介しないといけないな」
『読んだ人が支援砲を撃ちたくなる、そんなものにしなければいけませんからね。面白くなかったら八つ裂きにしますからね』
「せ、せめてビンタマシンで勘弁して……」
スマホの声のトーンが冗談に聞こえず、羽鐘は首を縮こまらせた。
『さて、第二期最初の紹介作品は決めたのですか?』
「あぁ、決めた。我々の原点から始める」
『まさか、我々が常駐している、あの作品からですか?』
「そうだ。挑んでいくぞ、今回も」
『わかりました! 支援砲の準備をしっかり整えます!』
意気揚々と支援砲の準備を始めたスマホの姿に、羽鐘は目を細めた。
そして、支援作品をモニターに映し出した。
原点に立ち返りつつ、改めて作品が無事に支援されることを祈り、シガレットチョコを噛み締めた。
次回予告
作戦名 :灰の世界に立ち向かう者たちに敬礼を
支援作品:灰の傭兵と光の園
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