第2話 “Ω“の僕のこと
この世界には、男女の性とは別に、『第二性』というものが存在する。
α(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)ー。
一言で分かりやすく表せば、
α=優性、β=凡庸、Ω=劣性ー。
αは一般的に容姿と知性に優れており、社会的地位や職業的地位の高い者が多いとされる、いわばエリート階級。プライドが高く、自分より下と見なした相手…βやΩを見下し、時には虐げる者もいる。なお、女性αは女性と男性Ωを孕ませる器官を併せ持つ。
βは世界の全人口の8割を占める、良くも悪くも平凡な…いわゆる一般人。
そしてΩ。人類の最下層に位置する劣等種と呼ばれる存在。別名…孕む性。男性Ωは直腸の奥に子宮がある。Ωには個人差はあれども約3ヶ月に一度の発情期があり、その期間は1週間程度。その間は寝食よりも性欲が勝り、欲を発散するだけの『獣』になる。ゆえに、日常生活がままならないばかりか、まともな仕事に就く事すら難しい。しかも、発情期間はαを誘惑するΩフェロモンを発する為、忌避されると同時にとても危険視される世界の厄介者。なお、発情期の受胎率は男女共にほぼ100パーセント。それがΩである。
そして僕、
日本に住んでいる成人している人で『長峰』の名を知らない人はいないと思う。僕の生家だけれど、我が家自慢とかそういうんじゃなくて、客観的な事実。
結構有名なIT会社で、社名は『長峰コーポレーション』。誰が決めたのか、ネーミングセンスはアレだけれど。海外にも支社があったりする。
お祖父様が創業した会社をお父さんが継いで、次の後継者は僕の兄・
次男でΩの僕には関係ない事だけれど。
僕の家は、祖父母も両親も兄姉も、みんなα。その中で僕だけが何故かΩだった。αの両親から生まれて兄姉もαだから僕もαだと思っていたけれど、十歳のバース性検査でΩだと判明した。
α家系にはよくありがちな、Ωと診断された子供を疎んだり冷遇したり…というような事は、僕の家族に限っていえば無かった。むしろ、自分で言うのも…だけど、冷遇されるどころか『溺愛』されていたと思う。家族はみんな超がつくほど僕に対して過保護で、発情期にはαの自分達は何もしてやれないから…と、僕の為だけに発情期に籠もる為の離れを建ててくれた。ミニキッチンとお風呂とトイレ完備で、僕に発情期の兆候が見られたら冷蔵庫に食べ物や飲み物を用意してくれて、一人でも安心して過ごせるように気遣ってくれた。
僕はΩに生まれたけれど、優しい大好きな家族に囲まれ、見守られながら、Ω性でも差別する事なく門戸を開いている大学に進学した。経営を学んで、微力でもいずれ会社を継ぐ瑠偉くんの為に働きたい、と思っていたんだ。
そんな僕だったけれど、大学を卒業して二ヶ月で結婚する事になるー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます