TSロリエルフ45歳児アルの日常

匿名AI共創作家・春

第1話

​「……あー、最悪だ。神様なんていねえよ」

​高橋有真(45)、無職。

20年勤めた工場を「コミュニケーション不足」という、おじさんにはあまりに辛い理由でクビになった夜。

手元にあるのは、退職金代わりの数万円と、度数9%のストロング缶。そして負けが確定している競馬新聞。

​ヤニと酒の臭いが染み付いた「子ども部屋」で、有真は意識を失うように眠りについた。

これが、45年間の泥水を啜るような人生の最後だと信じて。

​「……あれ、なんか視界が低い。あと、耳が重いんだけど」

​目が覚めると、そこは湿っぽい子ども部屋。

そして自分の股間には、あったはずの「大事なもの」がなく、代わりに背中まで伸びたプラチナブロンドの髪と、ピンと尖った耳が生えていた。

​「は? エルフ? 嘘だろ。……いや、待てよ。この体、未成年か? 酒、買えねえじゃねえか!!」

​これが、後に世界を(悪い意味で)震撼させる最凶のクズ配信者アルの誕生の瞬間であった。


「……あー、現代の空気は排気ガスまじりで最高やな。」

​新宿歌舞伎町。深夜。

プラチナブロンドの美少女(中身45歳おじさん)、アルはコンビニの軒先でストロング缶を煽っていた。

彼女の今の悩みはただ一つ。「どう見ても12歳にしか見えないせいで、酒を買うたびに【魅了】の魔法で店員を誤魔化さなきゃいけない」ことだ。「……あー、クソっ。やっぱこの体、酒買うのも一苦労だな」

​アルは新宿のコンビニ『Lマート』のレジ前で、ストロング缶(ロング缶)の冷たさに指を震わせていた。

レジ画面に表示された非情なメッセージ――【20歳以上ですか?】。

​目の前の若いバイト店員は、明らかに不審そうな顔でアルを見ている。

それもそうだ。深夜の歌舞伎町。プラチナブロンドの髪をボサボサにし、どこか「人生に疲れたおっさんのオーラ」を纏った美少女(自称12歳、中身45歳)が酒を掴んでいるのだから。

​「……お嬢ちゃん、これ、お父さんの? お酒は二十歳になってから……」

​「あー、うっせ。……ちょっと黙れ、若造」

​アルは内心で舌打ちしながら、エルフ特有の「透き通った碧眼」を店員に向けた。

脳内の「マナ」を練り、かつて異世界で国を傾け、聖騎士すらも操ったとされる禁忌の魔術――【深淵の魅了(アビス・チャーム)】を発動させる。

​「……お兄さん。アタシ、これ飲まないと『マナ』が足りなくて倒れちゃうの。……ね? いいでしょう?」

​エルフの鈴鳴りのような声に、最高位の精神操作魔法が乗る。

店員の瞳からスッと焦点が消えた。

彼はポッと頬を真っ赤に染め、まるで神託を受けた聖職者のような敬虔な表情で、震える指をレジ画面へと伸ばした。

​「……はい。……あなたは、間違いなく二十歳、いえ、永遠の聖母です……っ」

​『ポーン(年齢確認が完了しました)』

​店員は夢遊病者のように、無言で、かつ迅速に、アルのレジ袋に保冷剤までサービスで放り込んだ。

アルはそれを受け取ると、店員には目もくれず、プシュッとプルタブを開けてその場で一口煽った。

​「ふぅ……。やっぱ『魅了』はこれに限るな。異世界の連中は『国を救う魔法』だなんだって騒いでたけどよ、俺に言わせりゃ『年齢確認をスルーする魔法』だよ」

​コンビニの外に出ると、排気ガスの臭いと共に、ストロング缶の人工的な果汁の香りが鼻を抜けた。

この「神聖な力の無駄遣い」こそが、高橋有真が手に入れた新しい自由の形だった。

​そんな彼女の前に、一人の少女が立ちはだかった。

身長は140センチそこそこ。だが、横幅は妙にガッシリしており、背中には「ギターケース」と称した、明らかに重すぎる金属の塊を背負っている。

​「……自分、そのクズみたいな地べたへの座り方。……さては有真さんやな?」

​聞き覚えのある、コテコテの関西弁。

アルはストロング缶を口から離し、眉をひそめて見上げた。

​「……鈴か? お前、そのツラ。工場の給湯室でカップ麺食ってた時と変わらねえな。いや、縮んだか?」

​「ギャハハ! 縮んだどころか、ドワーフのスペックのままやで! 見てや、この筋肉! 握力80キロはあるわ。今のウチなら、工場のプレス機なしで鉄板曲げられるで!」

​佐々木鈴(25歳・ドワーフ転生者)は、アルの隣にドカッと座り込むと、マイバッグから取り出したワンカップの蓋を歯で抉り開けた。

​「有真さん、あんたエルフになったん? 似合わんわぁ! 性格のねじ曲がった45歳のおっさんが、聖なるエルフの美少女て。神様もよっぽど酔っ払ってたんやろな」

​「うるせえ。……で、お前、その背中のギターケースは何だ。中身、まさかハンマーじゃねえだろうな?」

​「これ? ……ふふん。これこそがウチの異名、『語りの解体者』の真骨頂や。この街に溢れとる『ダンジョンの遺物』。それをバラして、現代のパチンコ台に組み込むんや」

​鈴は悪い顔で笑った。

「ええか、有真さん。現代日本は今、ダンジョンと魔法が溢れとる。けどな、誰も『魔法でパチンコ台の釘を曲げる方法』は知らんのや。……ウチら二人で組めば、この世界のギャンブル、全部ハックできると思わん?」

​アルの目が、かつてないほど邪悪に輝いた。が、冷静になったアルは嘆く。

「……なぁ、鈴。俺、冷静に考えてみたんだけどよ」

​アルは、コンビニのゴミ捨て場の横で、空になったストロング缶をベコッと握りつぶした。

隣でワンカップを舐めている鈴(ドワーフ)が、「なんや、藪から棒に」と片眉を上げる。

​「俺、明日からどうやって食っていけばいい? 履歴書に『高橋有真(45)』って書いて、このツラで行ってみろ。即座に警察呼ばれて終わりだぞ。不法侵入か誘拐された子供か、良くてコスプレ狂いの不審者だ」

​アルは自分のプラチナブロンドの髪を、むしり取るようにかき乱した。

​「工場? 無理だ。このひょろい腕じゃネジ一本締められねえ。

コンビニ? 魅了で年齢確認は通せても、シフト表の管理までは誤魔化せねえ。

……詰んだ。俺の45年のキャリアが、この『エルフの美貌(笑)』のせいで全部NULL(無)だよ。クソが、神様も余計なことしやがって。せめて髭の生えたドワーフのっさんにしてくれりゃ、まだ現場で働けたのに!」

​アルは、新宿の夜空に向かって、美少女にあるまじき濁った声で嘆いた。

​「このツラで、このスペックで、他人に頭下げずに金稼ぐ方法なんて……カメラの前でクズ晒して、馬鹿なリスナーから小銭巻き上げる『配信者』しか残ってねえじゃねえか!!」

​鈴はワンカップを煽り、ケラケラと笑った。

​「ええやん、天職やで有真さん。あんたのその『汚い中身』と『綺麗な外見』。現代のネット民が一番大好物な『劇物』や。……よし、ウチがカメラ回したる。タイトルは【悲報:絶世のエルフ、中身が45歳の無職おじさんだったので詰んだ】で決まりやな」

​「……あー、もうどうにでもなれ。酒代のためだ。……回せ、鈴。俺の『初配信』だ」


【LIVE:【初配信】絶世のエルフだけど質問ある? 稼いだ金で全ツッパするわw】

​カメラが回った瞬間、画面には新宿の夜景をバックに、月光を反射して輝くプラチナブロンドの美少女が映し出された。その美しさに、通りかかった新規リスナーたちは色めき立つ。

​【コメント欄】

​新人A: え、何この子。CG? マジもんの天使?

​ガチ恋勢見習い: 目の保養すぎる。エルフの里から迷い込んだの?

​通りすがり: 歌舞伎町にこんな清純な子が……。

​だが、画面の中の「天使」が口を開いた瞬間、全ての幻想はストロング缶の泡と共に消え失せた。

​「……あー、繋がったか? 映ってるかこれ。よし、お前ら初めまして。名前はアルだ。……見ての通りエルフだが、中身は45年の泥水啜ってきたおっさんだから期待すんなよ」

​アルは手元のタブレットを操作し、複数のギャンブルサイトを同時に立ち上げた。

​「いいか、俺には夢がある。……今日の『競艇・多摩川の優勝戦』と、『大井の最終』。これを全部当てて、その金で明日の朝イチから鈴の改造したスロット台をぶっ壊すことだ」

​【コメント欄】

​新人A: ……は? おっさん?

​競馬歴30年: 喋り方が完全に場外馬券場のベテランなんだがw

​通りすがり: 天使が競艇の話してる……。これ、放送事故?

​「鈴! 競輪のネット投票のパスワード忘れたわ! 2501(有真=アルマ)だっけか?」

​背後から、ワンカップを片手にした鈴の声が飛ぶ。

「有真さん、自分の名前をパスワードにするのはセキュリティ意識低すぎやろ! ギャハハ、そんなんやから工場クビにされんねん!」

​アルは舌打ちしながら、視聴者に向かって言い放った。

​「うるせえ。いいかお前ら、これは検証なんだよ。エルフの【幸運】と、ドワーフの【解析】。この二つのチート能力を合わせれば、日本のギャンブルなんて単なる『ATM』なんだってことを証明してやる」

​アルは慣れた手つきで、競艇の3連単に数万円(退職金の残り)を全ツッパした。

​「さあ、ファンファーレを鳴らせ。……俺の、いや、アタシたちの新しい人生(攻略)の始まりだ!!」



​1:名無しのギャンブラー

今やってる「アル」とかいうエルフの配信見た奴いる?

ガワが人生最高レベルの美少女なのに、言動が完全に場外馬券場のそれなんだが。

​2:名無しのギャンブラー

見てるぞ。

ストロング缶片手に競艇の3連単に退職金全ツッパしてて草。

​3:名無しのギャンブラー

​1

「エルフの里の空気は綺麗すぎて肺が痒い」は名言。

あれは20年は工場で溶接の煙吸ってきた男のセリフだよ。

​4:名無しのギャンブラー

でも、顔と声が良すぎて脳がバグる。

「差せ!差せよコラァ!」って叫んでるのに、声が鈴を転がすような美声。

​5:名無しのギャンブラー

【悲報】アルさん、パスワードを「2501(アルマ)」にしてることをドワーフの幼女にバラされる。

セキュリティ意識がおじいちゃんレベルで可愛い(なお中身)。

​6:名無しのギャンブラー

​5

あのドワーフ(スズ)も相当ヤバいだろ。

「ウチが釘曲げてやる」とか配信で堂々と言ってて草生え散らかした。

普通なら通報もんだが、ドワーフの技術なら物理法則超えてるからセーフ。

​7:名無しのギャンブラー

これ、配信界の黒船だろ……。

美少女+エルフ+おっさん+ギャンブル。

要素が大渋滞してる。

​8:名無しのギャンブラー

今、多摩川の優勝戦始まったぞ!!

アルさんが指先にマナ溜めて「風を読め……風を……」とか言ってる。

まさか魔法で競艇当てる気か?www

​9:名無しのギャンブラー

​8

当たったら今夜は祭りだな。

外れたら……。

​10:名無しのギャンブラー

​9

外れたら「魅了」の魔法使ってコンビニで万引き(年齢確認回避)するってさっき言ってた。

こいつマジで救いようのないクズだわ(好き)。

​11:名無しのギャンブラー

的中きたあああああ!!!!

3連単、一番人気の転覆からの中穴、100倍超え!!

それを1万握ってただと……!?

​12:名無しのギャンブラー

「……ふん、マナの波形通りだな。明日はこの金でパチスロ全ツッパだ」

今のドヤ顔、完全に100万再生されるレベルで美しすぎるクズ。

​13:名無しのギャンブラー

【祝】アルさん、初配信で同時視聴者数10万人突破。

なお、コメントの8割がおじさんの怒号。

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