君との人生を2回したい
@chiru-san2121
君との人生を2回したい
私は社会人になってから毎日日記を書いている。
自分の気持ちが整理できるし、何より後から見返した時に面白いと思ったからだ。
私は今日、俗に言う運命の人に出会ったのかもしれない。
カフェで本を読んでいると、隣に男子が座ってきた。
鏡越しに映るその凛々しい顔に私の心臓は動揺した。
私は、思い切って声を掛けた。
「すいません。そこにしおりありませんでしたか?」
「え。そうですね。見当たらないですね。一緒に探しましょう。」
しおりごときで一緒に探してくれるなんて、なんていい人なんだと思った。
3分ほど探したところで、
「大丈夫です!ありがとうございます!もし見つかったらこちちに連絡をお願いしたいです。」
「分かりました。」
1時間後連絡が来た。
「しおりありましたよ。どこにいらしゃいますか。」
「まだ近くにいますので、そちらに行きます。」
先程のカフェで合流をして、お礼をした。
そこから、少し会話をして、息も会ったのでそのまま夜ご飯を食べた。
彼も乗り気で2回デートを重ねて、付き合うことになった。
すると彼から
「実は俺、一目ぼれしててあそこに座ったんだ。」
私は驚いたが、恥ずかしくて俯くことしかできなかった。
付き合って3年が経過する頃、私たちは結婚した。
しかし、58歳になったころ私が病気で倒れた。
癌であると診断され、医師からはもってあと2年だろうと言われた。
癌を患っても元気に外に出れたので、いろんな場所に出かけてた。
毎日の思い出を日記に綴った。
こんな日々が一生続いてくれればいいのにと思った。
私の上着には気が付きと濡れていた。
私が60歳になると1人では起き上がることができなくなり病床での生活が当たり前になった。
直哉も朝から晩まで毎日お見舞いに来てくれている。
「恵理、愛してる。」
毎日伝えてくれるその言葉が私を今日まで生きさせてくれる。
しかし、段々指に力が入らなくなり、日記も数行程度しか書けなくなった。
私は今日死ぬ。
ついにこの日が訪れたのだと理解した。
「もうダメみたい。」
「大丈夫。俺がいるから。」
「自分の死に際くらい分かるよ。」
「直哉。直哉に出会えて本当によかった。私はこの30年間本当に幸せだったよ。」
「俺、理恵がいないと嫌だよ。」
直哉は初めて私の前で涙を見せた。
こんなに表情を崩しているのは初めてだった。
私は最後の力を振り絞ってこれまで書いてきた日記の1冊を彼に渡した。
「これは私が直哉に出会ってから書いてきた日記なの。
この日記を1日1ページずつ見返して。
そうしたら私と過ごした日々をもう一度やり直せる。
私も、もう30年生きれる気がするから。」
火葬場で化粧をされた理恵は昔と変わらずとても綺麗だった。
俺は理恵の横に俺自身が30年間書いてきた日記を添えた。
君との人生を2回したい @chiru-san2121
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます