【問一】何故、貴方に触れたのでしょうか?

 ある秋の日。僕は友人と体育館へ移動する為、階段を降りていた。すると首元を誰かに触れられた。すごく冷たい手の温度が首筋に伝わり、一気に鳥肌が立った。

「な、なんだよ!!急にやめろよ!」僕はどこのどいつがやったのかも見る事なく、そう叫んだ。どうせくだらん奴なんだろう。

「さぁ?何故でしょーか?」悪戯いたずらな声が僕の耳のすぐ近くで囁く。つい先程、冷たくなった僕の首筋はその声の主の吐息で今度は生暖かくなった。「ひぇ?!」僕は情けない声を出し振り向く。

 

 声の正体は同じクラスの奈世さんだった。


 奈世さんはサラサラとしたボブ髪と綺麗な二重をパチパチさせ、その一言だけを僕の耳に残し早歩きで去って行った。

「あいつ、何て言ってたんだ?」友人が問いかけてきた。

「さぁ…、俺には何て答えれば良かったのかさっぱり分からんかった。」


 悶々としている僕とは逆に、友達と合流しぴょんぴょん楽しそうに跳ねる奈世さんの姿が遠くに見えた。


 その日の夜、奈世さんの行動が気になった僕は『女子 触れてくる』で検索した。すると『それは脈アリのサインかも!?』や『好きな人にする行動』などと期待させるような事ばかり書かれていた。

 

 ピュアな僕は妄想する。クラスの中でも上位を争うほどの可愛さである奈世さんが僕の事が好きであった場合の事を…。


 いかんいかん!期待しすぎると違った場合に倍の悲しさが押し寄せてくる。第一、こんなパッとしない僕を好きになるはずなんかないんだ。僕はそうピュアな自分に言い聞かせ、眠りについた。


【徳野、問一答え】奈世さんの距離がバグってるだけだからだ!!

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