図書館で100冊以上の本を借りる方法

辺根除音

第1話 はじまり

 このタイトルで興味持ってくれたあなたは、多分読書が好きな人ですね?


 もちろん図書館のことは先刻承知で、いまさら紹介されるまでもないと思っているのかも知れません。ですが、半年前に学生時代の知人に雑談がてら話題にあげたところ、それなりに面白がって聞いてもらえました。なので、参考になるかどうかはともかく、珍獣観察する程度の軽い気持ちで読んでいただけたら、そして少しでも参考になる部分があると良いなと思って書いてみました。


 まずは自己紹介から。

 愛知県尾張地方、名古屋周辺市町村に住むもうすぐ還暦のおっさんです。

 数年前から親の介護で短縮勤務を開始、自分の持病やら何やらが重なって早期退職しました。カネは無いけど一足早く老後を迎えて、暇だけはある状態です。昨年、なんとか最後まで自宅で看取って、なんとか子の責任は果たせたかなとホッとしているところです。


 メモによると、始まりは2021年でした。

 脊椎の圧迫骨折で親が入院したのですが、ちょうどコロナの流行り始めで世間がドタバタしていた頃ですね。面会は厳禁なのですが、洗濯物などの交換で1-2日程度の感覚で病棟に通う日々が始まります。いろいろと心配ですが、洗濯物などの受け渡しにナースセンターで看護師さんに様子を聞くくらいしかできません。骨折前は自宅で三食用意するなどで結構忙しかったのですが、それが済んでしまえば出来ることはもうありません。コロナで営業自粛だらけですし仕方がないのでまっすぐ家に帰ります。


 そうなると、結構ヒマを持て余すようになりました。

 介護の合間にポツポツと本を読んでいましたが、ヒマが増えると本が足りなくなります。治療費や入院費も心配なので、あんまり本をバカスカ買う気にもなりません。そんな事を考えながら通院していたとき、通り道沿いの近くに地元図書館があったことを思い出します。小学生時代に通ったものの、あまり規模が大きくないのでニッチな分野の蔵書は少なく、いつの間にか行かなくなってしまいました。ダメ元で一度見てみるかと帰り道に寄り、改めて利用者登録と貸出カードを作成します。


 小学生時代のお気に入りの、ジュール・ベルヌ『神秘の島』福音館書店版などを借りて懐かさを味わったりしたものの、やはり蔵書数の少なさから選択肢の狭さは否めません。もう少し色々な本が読めないものかと考えていたところ、そういや学生時代は名古屋市の図書館も使っていたっけ、と思い出します。あの当時は、たしか利用者資格は名古屋市市民か、名古屋市に勤務・通学してるか、の2択でした。今はどちらも該当しないなぁと思いつつ、何気なくホームページで利用案内を見たところ、利用者資格が『愛知県在住』になっているではありませんか。これはイイモノを見つけたぞ。


 最寄りの支所を確認し、カードを作成しに行きます。こじんまりとした分館で蔵書は少なめですが、予約で名古屋市全館の蔵書を取り寄せ受取が可能です。全国的にみても規模の大きい図書館で、その合計の蔵書量は膨大です。自宅からOPACで検索して予約を入れ、到着のメールが届いたら読み終わった本を返して予約本を借ります。


 しかし、この借り換えループを数回転したところ、かくれた欠点に気付きます。回転速度が遅いな、と。


 図書館は一般に、あまり複本を置きません。複数の分館で同一書籍を所蔵している場合もありますが、原則として各1冊までです。なるべく多様な本を揃えるために同じ本を複数置かない方針はなるほどと理解できますが、名古屋市図書館は利用者も膨大で、人気の本は予約件数もえらいことになります。貸出期間が2週間、予約の取り置きが1週間なので、順調に回っても予約1件あたり3週間程度かかります。蔵書1冊に対して予約が10件の場合、順番が回ってくるのは恐らく1年後になるでしょう。それしか読む手段がない本ならば待つしかありませんが、予約枠が一年間一つ潰れたままになるのは、これも回転速度の低下につながります。ううむ、残念。


 ここで、蔵書の少ない地元図書館が再浮上します。

 ある程度メジャーな本なら、小規模図書館でも蔵書がある場合も。そして、複本を嫌う図書館の傾向から、利用者数が10倍違う図書館でも、蔵書冊数は同じ1冊であることも多いのです。これは、確率的に予約待ち件数が1/10になることを意味します。つまり、小規模図書館にも蔵書があれば、待ち時間が1/10になる、かもしれないと。


 これが、私の図書館活用の旅の始まりでした。





 

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