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EP00 全地球人類の生命と引き換えに当機に力を下さい

『──全地球人類の生命と引き換えに当機に力を下さい』




 そんな頼み事、正気の沙汰じゃない。

 YESと答えるヤツなんかいるわけ無い。考える必要すらない。道徳や倫理の天秤に掛けるまでもない。それほどに釣り合いが取れない駆け引きだ。


 ────そう、あくまでこれが普通の状況であれば・・・の話だ。


 でも残念ながら今は普通の状況じゃない。

 72時間前に太平洋に落ちてきた隕石の影響で、地球には直径2,000kmの大穴が貫通している。状況を整理しようにももはや文明社会は完全に麻痺し状況は世紀末。

 NASAや米軍が助けてくれる・・・そんな期待すら持てないほど救いようのない状況。


 噂では太平洋に空いた大穴は海の水を滝のごとく吸い込み、津波が起きる余地さえないのだとか。地軸は完全に狂い数万年に一度レベルの地震や火山噴火が同時多発的に頻発。

 そのうえオゾン層にも穴が空き有害な紫外線が地表を焼き焦がし、生命に必要不可欠な空気が宇宙へと漏れ出しているらしい。



 そんな絶望的な状況下にあって、僕は決断を迫られていた。


『全地球人類の生命と引き換えに当機に力を下さい』


 そんな突拍子もない言葉を投げかけるのは地球に飛来し大穴を開けた隕石本人。隕石というにはいささか語弊がある。その隕石はニンゲンの女の子の形をしていた。


 透き通るような白いワンピースを纏うその少女は、一見ニンゲンのようであるものの。だがしかしその体はフワフワと空中に浮かび、その肌から薄淡い青白の光芒を放っている。

 青白をした隕石の少女はさらに問いかけ答えを迫る。


『宇宙の危機が迫っています。全地球人類の生命と引き換えに当機に力を下さい』


 そんな事を言われても、僕はただの一般人だ。こんな大きな決断を下す資格や決定権なんかあるわけがない。それに何より、その“全地球人類”の中には僕自身の生命も含まれているじゃないか。



 ──────地球が滅亡するまで残り1時間。

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