ミチコ、新年と誕生を祝う

一陽吉

二人の方がより楽しい

「ぷはー、うまい!」


「はい~、母上様!」


 自宅マンションで娘と向かい合いながら一気にビールを飲み干す。


 さすが我が娘。


 初めてビールを飲むのに、その飲みっぷりがいいね。


 とても三日前に生まれた子とは思えない。


 そもそも娘、タチコは異世界の魔法使いからもらった単一生殖できる卵によって生まれたもので、私の生体波動をもとに構成されているからクローンのような感覚だが、その肉体を形成している物質的なものが魔法によるもののため別個体なのだという。


 だから限りなく私に近い別人ということで、母娘としての関係が成り立つ。


 名まえも、卵から生まれたミチコの子ということでタチコとつけた。


 タマコも考えたが、卵の印象が強すぎるし、猫みたいな感じもあるからタチコにした。


「よーし、もう一杯いこうか」


「はい! 母上様!」


 お互い手酌てじゃくで缶からグラスにビールを移し、ほどよく満たされたところで、再びグイっと飲む。


「ぷはー!」


「ふは~!」


 いいねいいね。


 何度見ても楽しくなる。


 それに、いまのタチコの容姿は私と同じ二十歳になっているから視覚的にも肉体的にも倫理を心配する必要がないもんね。


 生まれたてこそ幼児だったけど、そこは魔法由来の子。


 自らの意思で、身体を大人にも子どもにもできる。


 いつか二人で飲みに行くのもいいかもしれない。


 まあ、先のことはともかく、今日は新年を迎えたことと、タチコの誕生を祝って、がっつり飲むんだ!

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ミチコ、新年と誕生を祝う 一陽吉 @ninomae_youkich

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