事実日記2026
雅ルミ
1月1日
年が明けて、2026年のはじまりの日。
今日から毎日、1日を振り返る日記をつけていくことにした。
大晦日までの365日分続くことを祈るが、正直その自信はない。
友人Aに誘われ、初詣巡りをすることに。
最寄り駅から始発に乗り込み、片道1時間を掛けて秋葉原駅へ。
目的地は神田明神。
道中、腹が痛くなり下車、トイレへ駆け込む。
20分程度到着が遅れることをAに連絡すると、Aもトイレの為に途中下車していた。
結果、6:30頃に秋葉原駅に到着。
Aも5分程度の時間差で到着、無事合流。
神田明神へ向かうと、帰ろうとしている参拝客とすれ違った。
これから参拝をする客よりも、帰りがけの客の方が多かったような気がした。
ほとんど並ぶことなくするりと参拝できた。
財布の中には五円玉が2枚、そして一万円札が数枚。
「賽銭に万札入れた時の人間の感情ってどんなもんだろうな」
僕がAに尋ねると、
「取り返しつかないから一年頑張ろうと思えんじゃね?」
だそうだ。
僕は五円玉を賽銭箱に投げ入れ、二礼二拍手一礼。
仕事が上手くいくように、趣味で副業の執筆を「成果はさておき、楽しんで長く継続できるように」と祈った。
健康も祈ろうと思ったがやめた。
それに相応しい生活をする自信が無いからだ。
Aと一緒におみくじを引いた。
Aは大吉、僕は小吉だった。
おみくじに書かれていた内容の詳細は忘れたが、大体「待ちの姿勢で行け」のようなものだった気がする。
先に言ったように初詣巡りなので、次の神社をスマホで探した。
神田明神から徒歩10分程度のところにある、湯島天満宮に向かうことにした。
参拝、2枚目の五円玉を投げ入れた。
お祈りの内容はまったく同じ内容、1回目より素早く参拝できた気がする。
おみくじを引いた。
またもや小吉、今年は小吉で間違いないのかもしれない。
しかし神田明神の小吉と比べて、前向きな内容が書かれていた。
詳細は覚えていない。
ところで、秋葉原は喫煙所が少ない。
吉野家で腹を満たしたAと僕は、喫煙所を探して秋葉原の街を練り歩いた。
やはり健康について祈らなくて正解だったと思う。
少なくとも神様に健康を祈ったその脚で喫煙所を探すのは、神様と自分への不義理だと思うから。
秋葉原駅から総武線に乗って亀戸へ。
3度目の初詣は、亀戸香取神社で。
五円玉の在庫が切れていたから、十円玉を捧げた。
数にして2倍、ご利益も2倍で然るべきだろう。
亀戸香取神社は、スポーツの神様が祀られていた。
Aも僕もスポーツなんてやっていないから、神様も困惑したことだろう。
しかも2つの神社でお参りをした奴らである。
それぞれの神様同士が相殺してご利益が消えてしまわないか、少し不安になった。
ところで、スポーツという概念が無い時代では、この神社の神様はどんなご利益をもたらしていたのだろうか。
何でも良いのだが、近代に入り「このご利益も足しとくか」的な感覚で増やしたのであろう「スポーツのご利益」には少々、疑いの目を持たざるを得なかった。
おみくじは大吉。
その割に内容は消極的なところがあり、やや物足りなさを覚えた。
さすがに大吉は財布にしまった。
ふと見上げた空は青々と晴れていた。
つい先日、FGOの2部終章をクリアしたばかりなため、青空を見ると胸がいっぱいになった。
さて、Aも僕も疲れた。普通に。
次の神社で最後にしようという話になり、それならば帰路の道中になる場所にある神社に向かうことにした。
皆中稲荷神社。
JR大久保駅からほど近い場所にあるこじんまりとした神社である。
ちなみに皆中の読みは「みなあたる」であり、ご利益は、何やらよく分からないが「よく当たるようになる」というものらしい。
初詣の1/1がここだとしたら、このご利益では少々心許ないが、まあ1/4とするのならこれくらいのもあって良いだろう。
最後までやはり、仕事の成功と執筆の安定継続を祈った。
「当たる」としたら小説賞などの公募だろうか。
しかしご利益で当たるようなら、その小説賞の審査員の目は節穴だと思う。
是非ともプロの矜恃を持って審査に臨んでいただきたいばかりだ。
賽銭は十円玉を。
やはり万札を入れる勇気は無かった。
最後のおみくじは末吉。
4枚のおみくじを振り返ると全体的に下振れた年だった。
そんな自分の引きにしっくりきてしまったのが虚しく切ない。
なんだよスポーツの神様からだけ大吉って。
新宿まで歩き、西武新宿駅前の喫煙所で一服。
歩き通しで小腹も空いたため、TOHOビル前の通りにあるルノアールに入った。
Aはアイスカフェオレとなんとか鶏の照り焼きサンドイッチを、僕はアイスレモンティーとピザトーストを注文。
ルノアールは席で加熱式タバコが吸えるからお気に入りだ。
1時間ほど店に居ただろうか。
Aとは長い付き合いになるが、それでも未だに会話が途切れることはない。
それだけAは僕を知らず、また僕はAのことを知らないのだろう。
あるいは、案外に人生というものは新たな話題に溢れているのかもしれない。
どんな話をしたかは然程覚えていないが、Aは思い出を物に残すのが好きで、僕は嫌いだという話をしたことだけ覚えている。
Aは楽しい思い出の記憶を呼び起こすきっかけを傍に置いておきたいのだろう。
僕がそれを嫌う理由は、楽しい思い出がひとつの物質に集約、記号化されることを危惧してしまう癖があるためだ。
このままではいつまでもルノアールに居座り喋り続けてしまうから、勇気を出して席を立つことにした。
そして解散、時刻は正午過ぎ。
疲労と満足感から時刻を導き出すなら夕方くらいの感覚だったがそんなことはない。
1日は思っていたより長いらしい、時間という概念はなんてマイペースなのだろう。
僕は最近ハマった「sympathy」というガールズバンドの楽曲を聴きながら、帰りの電車に乗った。
自宅の最寄り駅に着く頃、Aから「パチスロで3,000円負けた」という報告が届いた。
二度と皆中稲荷神社には行かないと心に決めた、2026年はじまりの日であった。
事実日記2026 雅ルミ @miyabeee-rumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。事実日記2026の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます