第11話 遠い記憶の先に
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「莉子!またあいつらにやられたのか?」
「……う。櫂理君」
小学校からの帰り道、私は泣きながら歩いていると、後ろから慌てて駆け寄ってきた櫂理君に声を掛けられ、咄嗟に振り返る。
これで彼に心配されるのは何度目になるだろう。
この頃の私は引っ込み思案で、いつも物事をはっきりと言えなくて。
それをいいことに、クラスの男子から意地悪をされて、こうして何も言えず泣きながら帰る。
お姉ちゃんだから、もっとしっかりしなきゃいけないのに。
いつも見られたくない所を櫂理君に見られてしまい、毎回とても気まずい。
「お願い櫂理君。お父さん達には内緒にしてくれないかな?」
とりあえず、見られたものは仕方ないので、私は涙を手で拭い、無理矢理笑顔を作る。
「は?またそれかよ?なんでだよ?莉子がこんなに苦しんでるんだから、いいだろ?」
すると、櫂理君は全然納得いかない表情で、頬を膨らませてきた。
「お父さん達今お仕事で忙しいの。だから、余計な心配させたくないんだ」
そんな彼には何を言っても無駄な気がするので、ここは強行手段に出るしかない。
こうして一生懸命頼めば、なんだかんだお願いを聞いてくれるので、私は目をうるわせながら、櫂理君を見つめる。
「………………分かった。莉子がそう言うなら……」
それから、暫く口を閉ざしていた櫂理君は、渋い顔をしながらようやく首を縦に振ってくれて、私はほっと胸を撫で下ろす。
「俺が莉子を守る」
「…………へ?」
けど、返ってきた答えは思っていたものと全く違っていて、意表を突かれた私はつい変な声が出てしまった。
「守るって、相手は年上だよ?櫂理君よりも体大きいし。それに、そんなことしたら櫂理君が危ないよ」
彼の気持ちはとても有難いけど、向こうは四年生にしては体格が良いし、三人グループだし、とても敵うような相手じゃない。
だから、私は必死に止めようとするけど、櫂理君の意思は想像以上にとても固かった。
「それじゃあ、絶対に怪我するようなことは止めてね。危なくなったらすぐ逃げるんだよ。約束」
「分かった!怪我しなきゃ良いんだな」
結局、彼の勢いに押された私は頷くことしか出来ず、代わりに条件を示すと櫂理君の表情は一気に明るくなり、首を縦に振った。
それから、その日を境に学校から帰ると櫂理君の姿が見えないことがしばしばあった。
クラブ活動は特に入っていないので、いつも帰りは私と一緒か先に家で待っていたりするのに。
帰ってきたと思ったら、全身痣だらけの時があったりして、早速約束を破ってしまったのかと問いただしても、そうじゃないの一点張りで何も教えてくれない。
櫂理君、一体どうしちゃったんだろう……。
普段はいつもと変わず私の後ろをくっついて笑ったり甘えてきたりして、何かあったような雰囲気は特に感じないけど。
強いて言うなら、最近櫂理君は暇さえあれば、よく筋トレをするようになったってことくらい。
そんな必死な姿を見て凄く嬉しいけど、なんだか少しだけ不安になってくる。
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