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__その十分後。




グループトークに写真を送ってから数分経たないうちに男二人の所在が分かり、旧校舎の屋上まで連れ出して問い詰めるやいなや。


答える気配がなさそうなので、俺は莉子を抱きかかえていた男の胸ぐらを掴み、そのままフェンス際まで引き摺り出した。

 

「おい、離せ!俺達は坂上に金で雇われただけで、それ以上のことは何も知らない!」


命の危険を察知したのか。

男は急に焦りだし、必死で弁解するも、俺はそいつの話を右から左へ聞き流す。


そして、胸ぐらを掴んだまま男を片手で持ち上げると、フェンスの外に放り出し、宙に浮かせた状態で男を静かに睨み付けた。


「このまま死ぬか?」


「ぎゃああああ、ごめんなさいっ!吐きます!全部吐きます!だから、殺さないで下さい!」


地面が見えた瞬間、男は発狂し出し、涙ながらに懇願してくる。


ここは三階建てだから、手を離せばおそらく無事では済まないだろう。


その恐怖で我を失った男は先程と打って変わり、坂上のこと、車に乗っていた男達はやはり暴力団員であること。

それから、暴力団事務所の所在地など、宣言通り洗いざらい話してくれた。


ただ、肝心の莉子を連れ去った場所までは本当に知らないようで。

俺は舌打ちすると、男をフェンスの内側に引き戻した瞬間、コンクリートの床にそいつの体を叩きつけ、そのまま強く胸板を踏みつけた。


「ああああの櫂理さん、おおおお俺全部話しましたけど?」


未だ解放されないことに男は尋常じゃない程震え出し、まるで悪魔を見るような目で俺を見上げる。


「何言ってんだ。ここからが本番だろ?」


どうやら、話せば終わりだと思っていたこの男の戯言を俺は鼻で笑い飛ばすと、骨を折る勢いでこいつの胸を足で圧迫させた。


その光景に怖気付いたもう一人の男は、隙を見てこの場から駆け出した直後。

側で立っていた優星に背中を思いっきり蹴られ、勢いよく地面に倒れ込む。


「俺らから逃げるなんて良い度胸してるね」


そして、間髪入れず圭はそいつの前に立ちはだかると、ニヒルな笑いを浮かべ、着ていた学ランを床に放り投げた。


それが合図となり、俺は踏み付けている男をボールのように蹴り飛ばすと、そこから俺達の容赦ない制裁が始まったのだった。








「…………やっぱり、あんた達って正真正銘の悪魔だわ」



それから暫くして男達が息絶え絶えになった頃。

ある程度気が済んだ俺は、ゴミのようにそいつらを床に放り投げると、終始柱の陰に隠れていた莉子の友人が、震えながらようやく姿を現した。


「とりあえず、莉子を拐った奴らが分かったから、あとは警察に……」


「直に殴り込むに決まってんだろ」


そして、ここで話を終わらせようとしたので、俺は即座に遮る。


「は?相手は暴力団だよ?高校生がどうこう出来るわけないでしょ。下手したら半殺しの目に……」


「遭うと思うか?こいつが」


女は納得いかない表情で更に抗議してきたところ、優星の一言により、今度は即座に黙った。


「警察に通報するのは君にお願いするよ。後のことは俺達に任せてくれればいいから」


そう言うと、圭は床に放置されていた学ランを拾い上げ、やんわり微笑んでから女の頭をなでる。


「はい!分かりました!」


その効果はかなりあったようで、女は骨抜き状態になると、首がもげそうな程力強く頷き、教師達の元へと一目散に駆け出していった。




「そういうことだから、お前もここで引けよ」


女が立ち去った後、俺はこの場に残った優星を一瞥する。


圭は聞くまでもないだろうけど、こいつにはそこまで付き合わせる義理はない。


だから、さっさと突き離して次に進もうとした時だった。


突然胸ぐらを掴まれ、今にも殴り掛かりそうな勢いに、俺は咄嗟に身構えた。


「見くびるのも大概にしろ。莉子を助けるのはこの俺だ」


そして、蔑むような笑みを浮かべると、掴んでいた手を離し、明らかな挑発を仕掛けてくる。


「上等だ。敵諸共お前も潰す」


それにまんまと乗せられた俺は、暴力団よりもよっぽど危険なこの男を睨み付け、宣誓布告を叩きつけたのだった。

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