第6話 微笑みの裏側

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「すごい、雨宮君!どの絵もみんな綺麗だね。またコンクールに挑戦するの?」


「いや。引っ越したばっかりだし、今はまだ。落ち着いたらまた挑戦する予定」


「そうなんだ。というか、雨宮君は美術部入らないの?私、雨宮君の絵実際に見てみたいなー」





__雨宮君が転校してから数日後。



あれから彼とは大分打ち解けてきて、休み時間はこうしてお喋りする仲まで進展した。


始めは怖かったけど、席が私の真後ろということもあり、勇気を出して話しかけてみたら意外に穏やかな人だということが分かり。


最初の印象が強烈過ぎただけに、それ以降は割と普通で、気付けば気軽に話すようになっていた。



そもそも、櫂理君や圭君以外の男子とここまで話せるのは雨宮君が初めてかもしれない。


みんな背後にいる櫂理君を怖がって、私と深く関わろうとしないから、気兼ねなく話せる人が出来たことに少しだけ嬉しい気持ちになる。




その時、突然教室の扉が勢いよく開き、何事かと振り向いた矢先。


入り口には血相を変えて仁王立ちしている櫂理君の姿が見え、足早にこちらの方へと向かってくる。



「優星!部屋に来いって言っただろ。シカトしてんじゃねーぞ」


そして、私達の間に割って入り、雨宮君の首元を掴むとその場から引き摺り出した。


「ったく。莉子の弟って本当に面倒くせーな」


「てめえ、いつの間に呼び捨てしてんだよ!?」


「宇佐美じゃ紛らわしいだろ。てか、そのウザ過ぎる独占欲なんとかしろ」


それから、いつもの口喧嘩が始まったけど、これも最初の頃に比べると刺々しさが大分マシになってきたと思う。


何だか側から見ているとお兄ちゃんと弟が小競り合いをしているようで、ほっこりとした気持ちになれる。



こうなったのも、雨宮君があの最上階部屋の仲間入りになったことがきっかけだ。



櫂理君曰く、私に手を出さないよう監視目的であの部屋に引き連れたとは言っていたけど、おそらく心のどこかでは雨宮君を認めていると思う。

じゃないと、どんな理由があってもあの部屋には絶対に入らせないから。



最上階部屋を狙っている人は未だごまんといるけど、櫂理君達に太刀打ちできなければ先ずは選定される資格すらないし、その人が信頼出来るかどうかも大きく関わってくる。


たがら、雨宮君が転校して早々に最上階部屋に行けたことはかなり異例のことで、そこから彼の知名度は更に上昇し、今では校内トップ3の位置付けとなった。



それから、二人は仲良く(?)教室を出て最上階部屋へと向かって行く。


なにはともあれ、櫂理君にまた一人お友達が出来たことは凄くいいことだと思う。


こうしてどんどん輪が広がって、学校生活がもっと楽しくなってくれれば、姉として安心……


「ねえ、莉子くらいだよ。あの三人と平気で喋れるの。」 


その時、背後から突然美南の顔が現れ、不意をつかれた私はビクリと肩が小さく震えた。


「そんなことよ。櫂理君も圭君も雨宮君もみんな優しくていい人だよ?」


そして、聞き捨てならない話に頬を膨らませる。


「弟君は身内だから分かるけど、木崎圭はああ見えて中学時代一人で不良グループを潰した人でしょ。それに加えて雨宮君は転校初っ端から弟君とやり合ったし。大抵の人は怖くて近寄れないよ。顔はみんな爆イケだけど」



すると、即座に反論してきた美南の話に私は目を丸くした。



いつも温厚で優しくて、櫂理君のお守り役でもある圭君にそんな過去があったとは。



確かに、櫂理君は圭君のことをあまり話さないので、彼の詳しい事情はよく分からない。


櫂理君と同じぐらい頭が良いのに、何故うちの学校にいるのかとか。

これまで圭君が喧嘩しているところなんて一度も見たことがないのに、何故我が校No.2のポジションにいるのかとか。


改めて思い返すと、色々と謎なところが多いかもしれないけど、圭君は圭君だし特段気にしなくてもいいと思うけど……。

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