悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最狂犬の独占欲が強過ぎる~

Kore

第1話 最強のボディーガード

1


「あ、あの……。宇佐美さん好きです!付き合って下さい」


放課後の閑散とした校舎裏。

よく知らない隣クラスの男子に話したいことがあると声を掛けられ、とりあえず言われるがままに付いてきたところ。

予想通りの展開となってしまい、私はどう返答しようか頭をフル回転させる。


「えっと……。気持ちはとても嬉しいんですけど、今はまだ誰とも付き合うつもりはないというか……。あなたを危険な目に遭わせたくないというか……」  


「え?ごめん。言っている意味がよく分からないんだけど。それって、つまり期待していいってことかな?」


一先ずやんわりと否定はしてみたけど、どうやらこの人はハッキリ言わないと通じないらしい。


誰かを傷付けることは極力言いたくないのだけど、こればっかりは仕方ない。


「あの。そうじゃなくて、私は……」


そして、慎重に言葉を選んでから、早くこの場を切り抜けようと口を開いた矢先。


「私は世界一可愛い弟の面倒で手一杯だから、お前みたいな虫ケラなんか眼中にねえって言ってんだよ」


どうやら、既に手遅れだったようで。

いつの間にやら、背後には鬼のような形相をした櫂理かいり君が立っていて、突然男子の胸ぐらを掴むと、空高く持ち上げてきた。


「櫂理君、投げちゃだめ!」


それから、今まさに彼がしようとしている事を瞬時に察知し、私は慌てて櫂理君の腕にしがみ付く。


「分かった。じゃあ締め殺す」


「そういう意味じゃないっ!」


必死で訴えるも虫の居所が相当悪いみたいで、櫂理君は私の制止を無視して、男子の胸ぐらを掴んでいる手にどんどんと力を込める。


そのうち男子の顔面は青白くなり、泡まで吹き始め、猛烈な危機感が襲ってきた。


「早く離さないと今日の夕飯は櫂理君だけカップラーメンにするからね!」


そして、ここは最終手段と。

彼に効きそうな脅しをかけてみたら、効果覿面だったようで。

櫂理君は胸倉を掴んでいた手を離すと、怖気付いた男子は咳き込みながら一目散にこの場から逃げて行った。




「莉子は甘いんだよ。てか、莉子の背後に俺が居ることをまだ知らない奴がいたとはな」


「本当に、その言葉通りの意味でびっくりしたよ」


男の子に声を掛けられたのは、ほんの数分前の出来事だったのに、一体櫂理君はどうやってここが分かったのだろう。


毎度告白される度に、召喚されたみたいに的確なタイミングで現れてくるので、GPSでも仕掛けられているのではないかと疑ってしまう。


「俺を誰だと思ってるんだよ?莉子に関する情報は速報しろって指示してるんだから逃すわけないだろ」


そう自信満々に話す櫂理君の表情は頗る悪人顔をしていて、改めて感じた弟の凄さと恐ろしさに思わず身震いしてしまった。




確かに、櫂理君に逆らう人なんて、おそらくこの学校では誰一人としていないと思う。



だって、彼は校内だけに留まらず、この地域一帯で一番最強であり、最恐だから。



そして、そんな彼に今日も私は異常な程愛され、守られている。

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