第2話 お勉強の時間ですわ

 この世界では"称号"というものが力を持っています。

 "称号"が人間の力を決め、将来を導くのです。


 国王陛下であれば"国王"、王妃様であれば"王妃"、王子様は"王子"とか"王太子"です。

 これは地位がそのまま称号になっていますね。

 

 他にも"勇者"とか"聖女"とか"竜騎士"なんかがあります。

 これは自ら望んで手に入れるようなものではなく、何がしかの行動であるとか周囲の評価、神の加護などによって得られるものです。


 "加護"を得ると、力を得ます。

 魔法だったり、決断力のようなふわっとしたものもあります。


 私の場合は遊戯者プレイヤーの効果によって"この世界に関する情報"やいくつかの魔法を得ました。


 とりあえずこれを使って今の状況を変えるしか私には道がないのは間違いないです。

 これはチャンスかもしれませんわね。

 一瞬の幸福の後の絶望という道しかなかった。

 それが変わり、全員を叩き直すことができそうです。


 覚悟してくださいね。


 苛立たしい婚約者さん。

 私が性根を叩き直して差し上げますわ。


 クズな王子様。

 私が性根を叩き直して差し上げますわ。


 甘えた家族たち。

 私が性根を叩き直して差し上げますわ。折れても問題ないですし。


 ということで次に行ってみましょう。







「エラフィナ……ハードリス様?」

「ごきげんよう。メルテナ・ランドローズ様」


 翌日、私は婚約者様を訪れました。

 訪問の理由を気にしながらも会っていただいたことは感謝します。

 私だったら『この泥棒猫!』って水でもかけてお帰り願いますから。


 だから、協力してあげましょう。

 状況的には『地味だから嫌』なんていうお子ちゃまな王子のせいで可哀そうな状況に陥っているだけでもあります。


 将来、"聖女"を得るということは神さまに認められる行動や思考を持っているということですから。


 ということで……。


「すみませんが、ここに入ってくださいね」

「えっ?」


 異空間に放り込んでいっちょあがり。

 ランドローズ家の方々には申し訳ありませんが、王子と話しをしてくると告げて退室しました。

 



「何をしに来たんだメルテナ……って、エラフィナも?」

「バインド」

「ぎ……」


 あぶないあぶない。

 王城に響き渡る王子の悲鳴なんてものを残してしまってはまずいのです。


 レオナルド王子の偽物を配置して……完璧です。


 これも遊戯者プレイヤーのスキルで、『キャラ作成』というようです。

 ランドローズ家でもメルテナ様の姿かたちの偽物を作って連れてきたので問題なかったのです。



 ということで、私は自宅に帰りました。



 さぁ、お勉強の時間ですわね。





「エラフィナ!? なにをしているんだ!?」

「エラフィナ! どういうことなんだ!?」

「エラフィナ! すぐに私たちを戻しなさい!」

「エラフィナ様……その、なぜ私も?」

「……」

「zzz」


 順番に父、王子、母、メルテナ様、執事長、兄ですわね。

 バカ兄はなぜまだ寝ているのでしょうか?


「エラフィナ……ダメだよそんなことをしては……あっ……zzz…………ぐぎゃ~~~~」


 何の夢を見ているのか知りませんが、不快さマックスだったので踏みつけておきました。

 どこをとは言いませんが。



「問答無用ですわ。このままでは全員破滅……メルテナ様は違いますが、私たちが死なないように強制的に協力していただきますわ」

「なっ!?」

「なにを言って……」

「"消音"……? 不思議な魔法ですわね」

「……………………………………」


 うるさいので音を封じました。

 これは便利ですね。

 まだなにか言ってますが、聞こえません。


「お勉強の時間ですわ」

「……………………………………」


 机と椅子が現れて全員座らされた。その前には厚さは違うけど、冊子が置かれている。

 なんだこれは? みたいな顔をしてるけど、ぼーっとしてる時間はないわよ?


「全部読んでくださいね。そこに本来あなたたちがやらなければならなかったことが書いてあります」

「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」


「最後にテストをします。不正解だとここから出られませんので」

「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」


 そう言い残し、"消音"を解除して退室しました。

 私の自由な空間なので、出入りは自由です。私だけは。








 そろそろ時間かなと思ってやってきたら、 こいつら舐めてやがりますね。


 たぶん、読んだのはメルテナ様だけ。

 彼女だけは殿下になにか呼びかけていますが……。


「殿下、どうか私の話を聞いてください」

「うぜぇ~~~」


 うぜぇじゃねぇよ、クソ王子!?


「「「「「「うっ……!?!?!?!?」」」」」」


 ほら、ステップが進んでしまった。


「"消音"。みなさん、ちゃんと頑張らないと死にますよ?」

「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」


 どうやら私のことを舐めていたようです。

 驚いた顔でこちらを見ています。


「勉強をしない悪い子はお仕置きを受けるのが当然です。真面目にやらないとどんどん魔力が薄れていきます」

「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」


 そうなるとどうなるか。

 それくらいはわかるでしょう。


 この世界の人々は呼吸によって空気中にある酸素を取り込むのと同時に魔力も取り込んでいます。

 これがないと死にます。

 この世界とか思うってことは、これは遊戯者プレイヤーによってもたらされた知識のようですね。


「なんでそんなことを!? みたいな顔をしていますが、このままではどうせ死んでしまうんです。今死ぬか、あとで死ぬか。選びなさい」

「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」


 いや~~~~みたいな顔。ちょっと面白くなってきました。


「じゃあ、勉強しなさい。そして課題をクリアしなさい。そうすれば生きて外に出れますし、あとでも死にません」

「「「「「「!!!!」」」」」」


 勢いよく冊子を読み始めました。

 それでいいのです。

 素直に頑張りなさい。



 そう言い残し、"消音"を解除して退室しました。

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