第22話 夜に戻る自分へのためらい



気づいたら、

また夜の世界に

戻ってきてしまっていた。


昼の余韻は、

玄関を出たところで

置いてきたはずなのに。


ネオンが光る。

人の気配が増える。

足が、自然に前へ出る。


——違う、って

分かっているのに。


「何やってんだろ、私。」


声に出すほど

強くは言えない。

でも、

胸の奥で小さく鳴る。


帰ろうと思えば、

帰れるはずだった。

立ち止まることだって、

できたはずだった。


それでも、

私は歩いている。


夜は、

何も聞かない。

何も責めない。


——だから、

逃げ込んでしまう。


一歩、

また一歩。


ためらいは、

足音に消えていった。

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