ひまわりの里殺人事件

近藤タクゾウ

第1話 枯れた花びら

 宇都宮の夏は、逃げ場のない熱気に満ちていた。

​ 元東武署の刑事、日向隼人ひなたはやとは、古ぼけたセダンの運転席で、ひび割れたダッシュボードに視線を落としていた。手元には一通の匿名の手紙がある。

『ひまわりの里で、時計の針が動き出した。2015年の続きだ』

​「2015年……」

​ 日向の脳裏に、土砂降りの雨の中で冷たくなっていた青年、木下時生の顔が浮かぶ。当時、事件は「不慮の事故」として処理された。ひまわり町を支配する木下貞子町長の圧力と、警察内部の「配慮」によって。その結果、日向は組織を追われた。

​「相変わらず死んだ魚のような目をしているな、日向」

​ 助手席のドアが断りもなく開き、男が滑り込んできた。黒武者明慶くろむしゃあきよし。仕立ての良いスーツを纏い、ヤクザでありながら警察の裏工作を請け負う「公認の毒」だ。

​「……黒武者。お前の顔を見ると、腐った街の臭いが鼻につく」

「言葉が過ぎるぞ。俺はこれでも、宇都宮署の宇喜多課長から『掃除』を頼まれている身だ」

​ 黒武者は不敵な笑みを浮かべ、一枚の写真を取り出した。

「ひまわりの里で死体が出た。ひまわり畑の真ん中で、首を吊っていたそうだ。木下貞子の秘書だよ。……2015年、時生を最後に見届けたと言われていた男だ」

 ​現場のひまわり畑には、既に警察の車両が並んでいた。

 宇都宮署の若手刑事、伊藤和馬は、立ち入り禁止テープの前で苦渋の表情を浮かべていた。

​「伊藤、状況は?」

 背後から声をかけたのは、巡査部長の水野光希だ。彼女は警察内部の腐敗を嫌いながらも、組織の端っこで真実を拾おうとする数少ない日向の協力者だった。

​「ひどいもんです。加納と宮の先輩方が、もう『自殺』で処理するよう上から言われてるみたいで……。宇喜多課長が直々に現場に来てるんですよ。ありえません」

​ 伊藤が指差す先、黒塗りの車から降りてきたのは、冷徹な目をした宇喜多智和だった。彼はひまわり畑の奥、遺体がある場所を一瞥すると、傍らに控える加納と宮に短く命じた。

「余計なものは見なくていい。速やかに片付けろ。町長への報告は私が行う」

​ その光景を、日向は少し離れた丘の上から見ていた。

 ひまわりが太陽を向くように、誰もが権力に頭を垂れる。だが、日向だけは違った。

​「貞子さん。あんたが10年前に隠した『種』が、毒の花を咲かせたようだな」

 ​日向はタバコを地面に捨て、ゆっくりと歩き出した。

 警察、ヤクザ、そして町を支配する女。三つ巴の渦巻く「ひまわりの里」の闇へと。

​今後の展開案

​物語をより面白くするために、以下のような展開はいかがでしょうか?

​日向と伊藤の極秘協力: 組織の犬になりきれない伊藤が、元先輩の日向に情報を流し始める。

​黒武者の真の目的: 警察の味方に見えて、実は2015年の事件で失った「個人的な貸し」を貞子に返そうとしている。

​時生の死の真相: 単なる事故ではなく、町全体の利権を守るための「生贄」だった可能性。

​この続きのシーンや、特定のキャラクター同士の対話(例:日向と宇喜多の対決など)を詳しく書き進めることも可能です。どう進めましょうか?

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