この世界は使用中です
樫木佐帆 ks
青い空に流れこんだひこうき雲
飛んでけ
あなたが飛行機だと言うのなら
飛んでいくがいい
僕の心は捉えられない
あなたもまた同じだと言うのなら
青を最初に青と定義したのは神ではない
単なる光の波長の反射
ひこうき雲は人工の雲である
しかし僕らはそれに何かを見る
望郷なのか悲しみなのか
僕は何も思わない
ひこうき雲がただあるだけ
やがて風に引き裂かれて
白い線は薄くなり
青に溶けていく
溶けるという表現も正確ではない
ただ水蒸気が拡散しているだけ
僕は見ている
見ているという行為が
何かを変えるわけでもない
網膜に光が届き
視神経を通って脳が認識する
それだけのこと
あなたはもう見えない
飛行機も雲も
青い空だけが残る
いや、残るという言葉も違う
空はずっとそこにあった
僕が勝手に「残った」と言っているだけ
首が少し痛い
上を向きすぎた
僕は視線を水平に戻す
ひこうき雲は消えた
僕の中で何も変わっていない
何も変わらなかったことを
僕は確認する
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます