第六話 その偉大さ
プラスチックの袋の中には、腰を回しながら体内よりひねり出されたことで奇麗に巻かれた、茶色のアイスクリームがあった。まだ出して間もないからか、天に昇る竜のごとく、ホカホカと湯気が立ち上っている。しかも臭い。よく見ると、昨日食べた鍋のエノキが、消化されず形そのまま茶色のアイスクリームに埋もれていた。果たしてこれは食べられるのだろうか。消化されず排泄されたコーヒー豆を抽出して飲むと聞いたことがある。しかも高値で取引されているらしい。夢が広がる。
エノキを取っておこうか悩んでいた私は、汚れた穴を拭おうとして、そこで初めて紙がないことに気が付いた。危機に陥ると、当たり前のことが抜け落ちてしまうのだなと、しみじみした。している場合ではないので、私はどうしようか悩んだ。汚い状態でズボンをはくのは、漏らすにはいるのだろうか。ここで漏らすの定義を再確認しよう。漏らすとは、着衣の状態で、排便することである。そのため、今そのままはいたとしても、漏らしたことにはならないだろう。通常の場合であっても、出した後にズボンをはくから、順序はあっている。しかし今回は、本来その間に挟まるべき拭うという行為が欠けているのだ。ここで視点を変える。漏らした場合、服が汚れる。今回も、このままはけば、間違いなく服が汚れる。そう、私は今、漏らすと出すの狭間に存在していると言えるのだ。漏らしていると言えばそうだといえるし、漏らしていないと言えばそうだともいえるのだ。
私は寒かった。約十分間、はくかはかないかで下半身を露出し続けていたのだから。そう、ぶらぶらソーセージだ。このままでは第二波が来て、今度は液状化現象が起こるに違いない。諦めるしかない、そう思って、狭間の汚れを受け入れて、漏らしたと出したの狭間を受け入れようとした。
そのとき、ふと薄く積もった雪が目に入った。白く、純粋な色をしていた。私は無意識のうちにその純白を右の手のひらで包み、体温で融かした。そしてその透明で汚い穴を濡らし、茶色を溶かした。汚れてしまった純白を捨て、下げたズボンを上げた。
私は、漏らすと出すの狭間から脱した。無事野外でのお漏らしを完璧に拭いきれたのだ。清々しい気分で、片手に冷え切った茶色のソフトクリームをもって、帰路についた。冬で良かった。雪が積もっていて良かった。純白は、私の汚れをみそぎはらい、身代わりとなってくれたのだ。私は少しだけ、雪が好きになった。
しまぼしさんのうんち日記 しまぼしさん @Shimaboshi_3
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