転生JK!最強スキルは料理W(ワラ)・ゲラの諸国漫遊記

咲森 こう

第1話・異世界はとってもかわいいものにあふれてました♪

『まひる。まひる。』


うーん。お母さん、お願い。

あと1分…。


『朝日まひる。時は来ました。

さあ。覚醒しなさい。』


目覚ましー…。スヌーズ切ってー…。


何度も名前を呼ばれたけれど、

わたしはどうしても起きれなかった。


だって眠くてねむくて……。


『朝日まひる。』


だけど次の一言は、

わたしがどんなにお寝坊でも


絶対に飛び起きる一言だったの。


『まひる。


選ばれたあなたには特別に、

異世界で生活してもらいます。』


「………。

い………異世界ーーー?


わ……!!」


飛び起きたわたしが見たものは…。


「わぁー…!」


壁も床も。

なにもかもが真っ白しろの世界!


『ようこそ、はじまりの部屋へ。』


「…はじまりのへや…?」


わたしは緩やかなすり鉢状の部屋の中を、身体ごとゆっくり回してぐるりと観察する。


もちろんこんな部屋に入った覚えはなく、なんならわたしはついさっきまで…


「…お料理してたんだよね…?」


確か…ついさっきまで

いつもの放課後と同じように、調理室で小芋のコロコロ味噌煮っころがしを作っていたはずだもん。


なのになんで??


「わたし…

なんでこんな所にいるの…?」


『それはあなたが、新規ユーザーとして

この世界に転生したからです。』


「んえ??」


急に直ぐ後ろから降ってきた声に

驚いて変な声出た…。


驚きのまま振り返るとそこに居た…

ううん。


そこにあったのは、

すごくきれいな女の人の像。


見上げるほど大きくてピカピカで。


教会とかにありそうな

マリア様の像をまーっしろにした感じ。


「…わぁー…。きれいー…。

女神様みたい……。」


『新規ユーザー起動確認完了。』


さっきから聞こえてきていた声は

この女神さまから流れていたみたい。


さっきに比べて、うまく説明できないけど…うーん…。


変な温度差?みたいなのを感じながら

じーっと女神像を見つめていると

また声が流れ出した。


『それでは登録プロセスを開始します。

ユーザー名を入力して下さい。』


「ユーザー……めい?」


はて?なんで??

と小首を傾げたわたしの目の前に、


「わっ…!!」


透明で変な…


例えるならばゲームスキルを確認する時に

使うウィンドウ?みたいなものが

物凄くなめらかに突然出てきた。


「えー?なにこれ?

魔法みたーい…!」


自然と口から言葉が出て、

興奮から頬っぺたがぽっ、と熱くなる。


これどういう仕掛け?

分かんないけど、なんかこーゆーの

すっごくワクワクする…!


早速顔を近づけてよく見てみたら

空欄のスペースの下になにか文字が書いてあるのに気づいた。


『ご注意下さい!!


ユーザー名は異世界での名前となります。


その為、現実世界で使用していた

名前とは別のものを使用される事を推奨します。』


「ユーザー名と…名前…。」


なんだかゲームを始める時にやる

キャラクター作成の作業をやってるみたい。


そう思うとそうなのかな?って思うんだけど、

なにしろこんなのはじめてで…。


『ユーザー名を登録して下さい。』


「…!は、はーい…。」


考えるのは一旦ストップ!!


このままだと永遠にユーザー名の

登録求められそうなので、


わたしは言われる通り

目の前のウィンドウ?に集中する事にした。


えーとユーザー名、ユーザー名……

名前以外の…あだ名。


「……。あ。」


気づいた瞬間、

わたしは迷わずそれを入力した。


登録ボタンをぽちっと押して、

ほんの少しの間が空いたけど直ぐに


『…ユーザー名、ゲラ。

………。確認しました。』


女神さまがそう言った。



ゲラっていうのはね?

わたしのあだ名。


私の長所のひとつ。

『明るくたくさん笑う』にちなんで、

大切な親友がつけてくれたあだ名。

だから気に入ってるの!


『ユーザー登録完了。』


よしっ!完了かんりょー♪

なんかこーゆーのって、

登録完了って言われると変にほっとしない?


……のんきなわたしは、

何に登録されたのかよく分からないまま、

ちょっとほっ、としかけたんだけど


『ユニークスキル生成プロセスを開始。


内部スキニング開始まで、3…2…1…』


『え…!なになに…??』


急に始まったカウントダウンに

焦って怖くなって…。


辺りをキョロキョロしていたら


『ほわんっ♪』


キラキラとした丸い球体が

女神さまの胸元から生まれて

ゆっくりとわたしの前に飛んできた。


「えー…?

シャボン玉…?」


ふわふわと浮かぶそれは

ちっちゃい頃から見慣れていて。


だからさっき感じた怖い気持ちが

すーって消えたの。


『0。カウントダウン終了。』


「わっ…」


そうやって見惚れてる内に、

シャボン玉は私の胸の中へと

すぅっ、と吸い込まれて消えちゃった。


「……?」


何もない事を

はて…?って考えられる程度の時間のあと…


「?!!!わ、わ…!!!」


それは急にはじまった。


『ゲラの特技、「料理」


それに伴うユニークスキルの付与を開始します。』


わたしと女神さまを囲むみたいに、

キラキラと輝く魔法陣みたいなのが

急にたくさん現れて


その全部がクルクル回ったり

ピカピカと宝石みたいに光ったり。


まるでテーマパークの夜のパレードが

一気にわたしたちの周りに集まって

踊り出したみたいに

それは本当にきれいで…。


「わー…♪」


『ゲラの特技『料理』から

生成されたユニークスキルは……


「アップサイクル・クッキング」


付与プロセス、スタート。』


「わ、わ、っ…?!!」


わたしの足の下にある魔法陣が

まるでわたしの身体をスキャンするみたいに

すーっと下から上へと上がって行く。


…なんだか…あったかいかも…♪


嫌な感じは全然しなくて…。


まるでおばあちゃんの

小芋のコロコロ味噌煮っころがしを食べた時の

あの感じ。


ホクホクの小芋とバター…

お砂糖たっぷりの甘くとろけるお味噌…


大きく一口でかぶりついた時に感じる

あのあったかさが

口の中から全身に染み渡っていって

満たされてく幸せ。


おばあちゃん…。すっごくおいしい。


『付与完了。

次に、現在の衣服を

ユニークスキル専用装備に再構築します。』


「え??お洋服??」


女神さまの声に、いつの間にか閉じてた目を開け

自分の服を見下ろして


これ?って気持ちでスカートを

指先でつまむ。


『……。

クリエイターからの指示で

全身鏡を精製。


これによりユーザーによる装備過程の

確認が行えます。』


「…確認。…わ。」


さっきゲラって名前を登録した時と同じ感じで

今度はわたしの目の前にすっごく大きな鏡が

出てきた。


そこにうつるわたしは

学校指定のセーラー服の上に

オレンジ色のエプロン。

頭にはエプロンと同じオレンジの三角巾。


放課後になって、

調理室でお料理していた時そのままの姿。


「これの確認ってどういうこ…」


『それでは今から、

専用装備の再構築を開始します。』


「せんよう、そうび?」


わたしの疑問をそのままにして、

今度は私の頭の上に出てきた魔法陣が

ゆっくり…かなりゆっくりと

足元に向かって降りていく。


魔法陣が通り抜けていく場所にある

わたしのお洋服…


三角巾とエプロンは

キラキラした光の粒に包まれて

その他のお洋服…

セーラー服とか靴下とか…

そういうのには、薄いベールみたいなのが

ふわん、と巻き付いてる。


魔法陣が完全にわたしの足元まで降りて

ぱあっ、と光った瞬間


光の粒とかベールとかが

一気に取り払われて


「…えーーー?!」


見慣れたわたしのお洋服が

見慣れないものに変わっていた。


『再構築完了。


……。

クリエイターからの指示で

この先のプロセスを一旦停止。

ユーザーによる目視確認

時間とします。』


女神さまのそんな言葉は

今のわたしの耳には

全然入ってきていない。


だって…だって…っ…!!

大きな鏡にうつるわたしは…


プルプルと肩を震わせ

頬っぺたを真っ赤にした

今のわたしが着てる『服』ったら…


なんて…なんて…!!


「か……

か……!


かわいいーーーーーーーー!!!」


わたしの歓声があたりに響き渡る。


先ずはオレンジ色の三角巾から…!


可愛いバブーシュカみたいな三角巾は、

メインのオレンジ色をベースに

レースとお花の模様…!!


耳の上にくる辺りに、

お花型のキラキラした

ヘアピンみたいな石が飾られてて…


頭の後ろにくる結び紐にも

お花のモチーフがあったりして

すっごく凝ってる!



オレンジ色のちょっとシンプルなエプロンは

昔の外国ドラマに出てきた

農家の女の子がワンピースの上に着てる

エプロンドレスを短くした雰囲気…!


あのね?!

この形って前に見た時に、

かわいいー!って思ったやつなの!


ぽわん袖もあるし、

ちょっとおばあちゃんの割烹着っぽくも

見えるんだけど、

多めの布がフワフワと風を吸って

膨らんでる様子が

とっても柔らかそう。


色とか装飾とか…

バブーシュカと揃えてある所とか…!


とにかく…とにかく…!


「とってもかわいい!」


なにこれー!可愛すぎる!


わたし、よく調理器具とかエプロンとか…

とにかく色んなキッチングッズ

を見るのが大好きなんだけど


ここまで『だいすきー♪」って思える

三角巾とエプロンにはじめて出会えた!


外から見たら多分…

わたしの目の中は完全にハートマークに

なってたと思う。


かわいい…!かわいい…!


きゅーんと痛む心臓ごと

自分の身体を抱きしめたり


大きな鏡の前でクルクル回る事で

エプロンがフワフワするところとか

三角巾の結び紐についた宝石が

きらきらーってするところとか。


とにかくありとあらゆるかわいいを

わたしは繰り返し堪能し続けた。





————一方その頃——。


そんなゲラの様子を、丸い全身鏡を通して

見ている者がいた。


ゆったりとゲーミングチェアに腰掛け、

足を組んだまま


その者は堪えきれない笑いを

小さく漏らして肩を揺らす。


だがその笑いは次第に大きくなり、

やがてその者は勢いよく立ち上がった。


「…流石は朝日まひる…。

私が用意した可愛いに対してのあの反応。

ふふ…はははは!!まさに賞賛に値する…!!


いいぞ、いいぞ…!!!

それでこそ私が選んだウォリアーだ!!!」


ひとしきり言った所で満足したのか

再び椅子に座り直すとニヤリと笑う。


「だがまだだ…。まだまだまだ!!

これは第一話!!!


朝日まひる…いや、ゲラよ!!

油断するな??これはまだまだ序の口!!


私が用意した『かわいい』は

またまだこんなものではなぁい!!!」


再び立ち上がって高笑いすると、

その者は命令を下す。


「よぉし!!!

ここで次回予告っっっ!!!!!


次回!!!最強スキルは料理W(ワラ)!

「説明パートは長くて退屈って本当ですか?」


この物語ぃー、タイトルがすっごく長いので

良い略称あったらゲラに教えてくださいねっ♪



ふふ…ふふふ、ふふふふ…

ふはははははははは!!!」


その者の笑いは、いつまでも満足そうに響き渡っていた。

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