黒い男

飯田太朗

はじめに

 鉄の道はどこまででも続く。

 日本列島に一筋、背骨のように通った幹線は、やがて毛細血管のように支線に分かれ、山の間に、川の上に、街の隙間に、広大な野に、駆け巡っていく。

 細長い箱に乗ればどこにでも行ける。これってすごくないか? これから僕が話すのはそんな細くて長い箱がたどり着いた、あるいは流れ着いた先で見られた話。僕、飯田太朗が収集した。

 どんな話か? 

 怖い話さ。

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