キュベルス~人類滅亡とたたかう者たちの笑うしかないデス・ループ~

泊波 佳壱(Kaichi Tonami)

プロローグ

 ありきたりの日常が好きだ。

 別に特別でなくていい。そんなに特別高価な何かや、驚きなんて無くていい。

たとえば、そう、

「涼しい部屋の中で暖かなコーヒーを飲みながら、気の合う人と『心地よく』談笑をしている」

 といった、そういう程度の事だ。


 ここで大切なことは「心地よく」なのだ、それは、大きな不安や心配が無いということだ。


 さいわい今、この部屋には信頼できる仲間が12名で集まって、重要な話し合いをしている。それ自体は良い。

「この世が終わってしまうような悲壮な顔をして」といった表現があるが、この場ではそれは比喩ではない。


人類は滅亡の淵にある。


     最悪、今年の夏。奇跡的にそれを乗り切れたとしても、


     来年の夏をもって、人類は滅亡する。



西暦2117年1月某日、北海道大雪山系に僅かに残る居住区より。

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