神の転生 ー死後の神、転生したあとの創世記ー
@saznnbanana
第1話 相打ち
「……クソ、相打ちか!」
異界の大地に、怒気を帯びた声が叩きつけられた。
声の主はヴァンパイア――それも、数多の血族の頂点に君臨する始祖の一柱であった。漆黒の外套は裂け、身体から溢れる魔力は制御を失い、周囲の空間すら歪ませている。
「何故だ……何故なのだ! 何故、ここまでして相打ちを選ぶ!」
叫びの先に広がるのは、凄惨な光景だった。
数十、いや数百に及ぶヴァンパイアたちの亡骸。上位種や貴族種――そのいずれもが力尽き、二度と動くことはない。
だが、その死屍の山の中央。
ただ一人、異質な存在がいた。
人の姿をしたものがいる。
剣を地面に突き立て、それを支えに立っている。全身は傷だらけで、血が止まる気配もない。それでも、その瞳にはまだ闘志の光が宿っていた。
「所詮……この程度、か」
男は小さく息を吐き、かすれた声で呟く。
「だが、悪くない戦いだった。俺もオーラも闘気も、すべて解き放った。ここまで追い詰められたのは久しぶりだ」
始祖のヴァンパイアは、その言葉に歯噛みした。
「人の身で……我ら始祖をここまで……!」
「切り札は、まだあった」
男は静かに続ける。
「だが、使えば俺自身どうなるかがわからん。それは……最後まで取っておきたいと思っていた」
数百の屍を挟み、二人は向かい合う。
始祖と、天界の神王に最も近いと謳われた男。
本来、交わるはずのない存在同士だった。
「ここまでしても……お前には勝てないのか!」
始祖の声には、怒りだけでなく、初めて知る感情が混じっていた。
「無駄ではないさ」
男は微かに笑う。
「俺はもう長くない。戦わなくてもいずれ持病で死んでいた」
「……それは、誠か?」
始祖は信じられないものを見る目で問い返した。
「ああ。だからこそ正々堂々としたのだ」
しばし沈黙が流れる。
やがて男は、始祖の胸元を見て言った。
「お前も……もう限界だ。魔力の核が崩れかけている」
始祖は自嘲気味に笑った。
「不死と呼ばれていた我が……人にここまで削られるとはな」
そして、静かに告げる。
「だが、お前を一度でも倒せたこと……それだけで、誇りを持って終われる」
「そうかよ」
男の視界が、急速に暗転していく。
「……あれ、視界が……」
「……私も、だ」
二人は同時に力を失い、その場に崩れ落ちた。
勝者はいない。
ただ、全力を尽くした者同士が、同じ終わりを迎えただけだ。
「……悪くない、最期だな」
「……ああ」
そう言葉を交わし、二人の意識は、静かに暗黒の世界へと溶けていった。
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始祖のヴァンパイア
名前 アエテルナス
戦闘力 測定不能Lv66666(本気)
男=主人公
(次からは三人称ではなく主人公視点)
名前 ゼロ・アルカード
戦闘力 測定不能LvΩ(通常)
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