俺の部屋の風呂に誰かの髪の毛がある日常~学年一の汚少女が美少女になって懐いて来たのだが俺何かしましたか?

優香猫

浴槽に長い髪の毛とかホラーだろ!

「整う準備、出来てます!」


俺は入浴前の儀式ともいうべき一言を残し、湯船の蓋を開ける。

湯気とともに立ち上る入浴剤ラベンダーの香りだけが、俺を日常から切り離してくれる。


安っぽいプラスチックの浴槽は、今夜だけは俺専用の特等席だ。


「あ〜、命の洗濯だわ…」


お湯に浸かった瞬間、溜息とともに少し年寄り臭い言葉が漏れる。俺と同じ高校生ならリフレッシュとか言うのだろう。


​「いい湯加減に、いい人生」

​俺にはこだわりの温度設定がある。

​夏は三十九度、冬は四十二度と季節や体調に合わせて一度単位で湯温を調整する。


温度の番人だ!


ぬるめからだんだん熱くするのも好きだ。



​風呂上がりの一杯には牛乳やフルーツ牛乳ではなく、あえて『究極に冷やした炭酸水』をグラスで飲む儀式がある。


「くぅ~!これこれ!この喉が痛いくらいの刺激がたまらんのよ!」


炭酸水を飲みながら収集した入浴剤の入ったストック棚を眺める。至福のひとときだ。


ここには俺が集めた​ご当地の入浴剤や、ハーブ、岩塩など色々な入浴剤が棚を埋め尽くしている。


さあさあ、明日の朝風呂を楽しみにして寝るとしよう。

おやすみなさい。




翌朝、昨日の残り湯を追い焚きにして朝風呂だ!


「整う準備、出来てます!」


「あ~、いい湯加げ、ん?あれ?なんだか…ぬるい?」


温度の番人にかかればパネルを見ずとも一度や二度の温度の違いなど丸分かりだ!


気付かず温度設定に触ってしまったか。


ピッ♪ピッ♪


と温度を上げて入り直した。

朝風呂は少し熱いくらいがいい。目が覚めるから。


「いい湯加減に、いい人生」


ふぅ~。


温まった所で湯船の栓を抜く。

朝風呂の後に風呂掃除を済ませるのが俺のルーティンなんだ。


さてと、洗剤をスプレーして、ぎ、ぎゃ~!


「ぎゃ~!なんじゃこりゃ~!何、ホラー?ホラーなの!?髪の毛、長い髪の毛が…」


追い焚きの水流のせいなのか、湯船の底、右奥に長い髪の毛が何本も集まってこっちを見ている。まあ見てはいないのだが。


明らかに俺の髪の毛では無い。

俺は短髪だし。


あっ、アレか!


そういえばアパートの管理人でもある叔母さんが言ってたな。


「昨日から隣の部屋に新しい入居者が来る」って。


まったく、この不思議な間取りのアパートに入居者が来るなんてな。


俺は風呂場にあるもう一つのドアを見つめ、その奥に居るであろう人の気配を探したが、分からなかった。


そう、この風呂場には出入口が二つある。


俺の部屋に繋がるドアと隣の部屋に繋がるドアだ。


なんとこのアパートの俺の部屋だけは『風呂共同』なのだ!


亡くなった叔父さんの思い付きで二部屋の風呂場の壁をぶち抜き、一つにしてしまった。


その分、湯船は大人二人が横に並んでも入れるくらい広く、俺は気に入っている。


それにしても髪の長い男の人か。

ミュージシャンか何かなのかな?


そのうち会ったら挨拶しないとな。


あと今日の風呂、俺の残り湯だったのだが、そういうのは気にならなかったのだろうか?

俺も潔癖症では無いから気にしないが、髪の毛は少し萎える。


会ったらガツンと言ってやらないとな。


おっと、早く掃除して学校に行かないと!





俺、湯月ゆづきのクラスには二人の有名人が居る。


一人は学年一の美少女と呼ばれている美香みか


もう一人は学年一の汚少女と呼ばれている美夜子みやこ


俺がこの二人と一緒に風呂に入る事になるなんて、知る訳無いだろ!!




◇◇◇◇

あとがき


休止中に思い付いた話の第一話を色々投稿しています。

反応が良かった物を連載にしようと思っています。

続きが気になった方は☆や♡コメントお願いいたします。


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