ミイラとミイラ取りと…

うどんこんど

ミイラとミイラ取りと…

「ストーカーがいる」

 

 バイト先の後輩である結衣菜ゆいなからそんな相談を受けたのはクリスマスの翌日のことだった。


 偶然にも同じ大学で同じ学部の1つ歳下だった結衣菜とは何かと話す機会が多くそれなりに親しかったのでそんな相談を受けた俺は放っておけるワケもなく相談に乗ることになった。


「警察に相談したら?」


 とまずは誰もが思いつくであろう提案をしたが


「親とかに心配がかかるからあまり大事にしたくない」


 と彼女に言われ逆に


「しばらく一緒に帰りたい」


 と逆に提案された。話を聞くとどうやら彼女の住むマンションと俺の住むマンションの最寄り駅は同じようだった。


 ロクにスポーツ経験もない俺にそんな大役が務まるか不安だったが降って湧いたようなラノベの主人公のような境遇に不謹慎にもワクワクしてしまった俺はその提案を受け入れた。


 ちょうど年末に差し掛かり学校も休みだったのは好都合だった。


 最初は最寄り駅までだった付き添いは怖がる彼女の要望で自宅であるマンションの近く、マンションの前と徐々に近付いていき大晦日となる今日はついに彼女の部屋にお邪魔することになった。


「付き添ってくれているお礼もしたいしどうせなら一緒に年越ししましょう」


 なんて上目遣いで言われたら断れるわけがないのだ。


 なんせ俺も男だからな。

 

 とびきりの美人と言うわけではないが黒縁のメガネをかけてスラッと細身でどこかサブカルの香りのする結衣菜は充分に魅力的だった。


 ということで買い物を一緒にした俺達は今まさに彼女の部屋の前にいるのだ。


「どうぞ」


 と言う声を合図に俺は彼女の部屋に足を踏み入れる。


 ―その刹那―


 俺の後ろで「ガチャリ」と鍵が掛けられ続いてチェーンが掛けられる金属音が響く。


「やっと…」


 慌てて振り返った俺の目には良く知ったハズである女性が映っていた。


「やっと…二人きりになれましたね」

 

 今まで聞いたことのない声色でそう言うとメガネを外して振り切れた笑顔と見開かれた眼で結衣菜は俺から一切視線を外さない。


 マズい、ヤバい。逃げなきゃ。


 頭ではそんな言葉達が駆け巡るが裏腹に身体は硬直して全く動かない。


「ストーカは…ここにいますよ?」


 彼女は笑った。

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