へっぽこ神の使いと、ツインのお願い
悠真
第1話 へっぽこ神の使いと、叶わないツインのお願い
神社でお願いするのは、
もう何度目だろう。
今回こそは。
本当に、今回こそは。
そう思って、
「よく当たる」と評判の神社までやってきた。
ツインレイと出会えますように。
ツインソウルでも、いいです。
できれば、結婚まで。
――ここは譲歩した。
これでいける。
いけるはず。
そろそろ神様も、
私の本気を理解してくれる頃よ。
深く頭を下げて、
目を閉じて、
手を合わせる。
――それなのに。
「えっと……そのお願いなんですけど。」
背後から、
明らかに神様っぽくない声がした。
振り返らなくても、
それが神様じゃないことだけは、
なぜか分かった。
「えっと……。」
恐る恐る振り返ると、
そこには見知らぬ青年が立っていた。
白い服。
困ったような笑顔。
場違いなくらい、
人間っぽい。
「あの、僕、天宮しおんといいます。
神の使いでやってきました。」
「……神の使い?」
きた―――――!
これで私の願いは叶うのよね。
そうよ。やり遂げたわ。
神様、ありがとうございます。
神崎みことは、
内心でガッツポーズを決めた。
「ええと……。」
天宮しおんは、
少しだけ視線を泳がせた。
……あれ?
「お願い、叶えてくれるんですよね?」
「はい。そのようになります。」
「ありがとうございます。」
「ただ、その……すぐには……。」
「え?」
私の声は、
さっきより少しだけ低くなった。
「でも、叶えてくれるんですよね?」
「はい。」
「じゃあ何が問題なんですか?」
「えっと……その……
調整とか……タイミングとか……。」
「どういうことです?」
天宮しおんは、
一度、軽く咳払いをした。
「簡単に言うとですね。
出会うには――
そこに行かないといけません。」
「……だから、
連れてきてくれるんじゃないんですか?」
「いや……
あなたが行って、
出会わないと……。」
「はい?」
神崎みことは、
一拍置いてから聞き返した。
「えっと……それって私が、
普通に生活して、普通に出会うってことじゃないです?」
「……はい。」
「それ、
今までと何が違うんですか?」
沈黙。
天宮しおんは、
困ったように笑った。
「僕、人間界担当なんですけど……
所属がですね。」
嫌な予感がした。
「恋愛成就課でして。」
……。
「恋愛成就課?」
「はい。」
「それで?」
「えっと……
僕たち、基本“補助”なんですよ。」
「補助。」
「出会いの可能性を提示したり、
タイミングを少しだけ調整したり……。」
「……連れていくとかは?」
「できません。」
即答だった。
神崎みことは、
しばらく黙ったまま空を見上げた。
そして、
ゆっくり息を吐いた。
「……じゃあ、
私は何のために
ここまでお願いし続けてきたんですか?」
天宮しおんは、
申し訳なさそうに言った。
「それは……
方向性の確認、というか……。」
「確認。」
「はい。」
「……へっぽこですか?」
「え?」
「神様側、へっぽこですか?」
「……否定は、できません。」
その瞬間、
神崎みことは悟った。
――これは、
楽に叶う願いじゃない。
しかも、
神様側も思った以上に
ポンコツだ。
(……でも)
ちらりと、
天宮しおんを見る。
困り顔の神の使いは、
なぜか目を逸らした。
(……まあ、
ここまで来たら、
やるしかないか。)
そう思った自分に、
神崎みことは小さくため息をついた。
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へっぽこ神の使いと、ツインのお願い 悠真 @yumastory
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