第2話

「吸血鬼はあなたでしょ?」


その言葉が嫌味に対する反抗では無いことは分かっていた。


確信してる。

どこかで見られた…?


その瞬間、私は雲凪をどういう目で見ていたのだろう。

彼女は咄嗟に両手で首元を隠し、表情を強ばらせていた。


その反応を見て、私は思い出したかのように、

雲凪の肩を勢いよく壁に押さえつけ、躊躇いもなく手首を噛んだ。


「いたっ…!」


雲凪は華奢な力で必死に抵抗し、強く握った拳から血したり落ちた。


その血は私のまつ毛に触れ、頬を伝う。

彼女の控えめで浅い呼吸を感じる。

胸はドクドクと大きく鳴っていた。

そして彼女の細い手首から血を飲む。













……


…………


……………


…ま、、まずい、、、、



「不味すぎる…」


私は怪訝な顔で雲凪から手を緩め、離れた。

雲凪は痛そうに手首を抑え、壁に体重を預けながらズルズルとゆっくり地面に座る。


「どんな人間もこんなに不味くはならないのに…」


私は口元を抑え、顔面蒼白になる。

後味も悪い。気分が悪くなってきた。


「当たり前よ」


雲凪はまっすぐ私を見つめ、答えた。


「私の血は"k-bx型"だもの。」

「何それ……」

「特別な血よ。そそられなかったでしょ?」


確かに。噛むという考えがすぐに出てこなかった。…いや、何納得してんだ。


というか、不味い特別な血なら何故怖がったのか。


「そんなことよりも最近の血抜き死体は

全部あなた?」


雲凪に問われ、私は咄嗟に目を逸らし逃げようと体を翻す。

そんな私を逃がすまいと強く腕を掴まれる。


「離して…っ!」


力強く振り払うと、簡単に雲凪はよろけた。

でも、それでも雲凪は私の腕をまた掴んだ。


「花紙さんが吸血鬼って事は誰にも言わないわ」

「だって吸血鬼は血を飲まないと生きていけないんでしょ?しょうがないじゃない。」


ありえない言葉につい私は止まってしまう。


「私は人を殺してるんだよ」

「人と同じ価値観はあるのね。生きづらそう」


イライラする。何だこの女。

てかなんだよその血液型。

なんで何度も掴んでくるんだよ。

なんでずっと…………その目で見てくるんだ。



なんで、なんで、なんで、、なんで。。


段々と無意識に涙が出てきた。

それは"あの子"を思い出したからだった。


子を産みたいの。


思い出のあの子が笑う。

…なんでそんなこと言うんだよ。





続く

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