独裁のアリエス
藤井悟将
始動編 第一話 力を授けし者
ある寒い日の夜、アルバイトから帰った、この物語の主人公、
黒髪のツインテールで、瞳の色は銀色。顔立ちは幼く見える。服装は黒のブレザーで、スカートの丈は膝下まで長くなっているようだ。この謎の少女、スピカ・ウォールズは開口一番にこう言った。
「今すぐに端末を持って、ここから離れましょう。でないと取り返しのつかないことになるわ」
「一体どういうことなんだ!?説明してくれ!!」
「ごめんなさい。説明している時間はないの!端末だけでも持って出てきて」
「端末っていうのはもしかしてあれのことか!」
和哉はテーブルの中央に置かれた携帯端末を手に取り、無意識に起動しようとするが、今は反応が無い。上着を着てから、貴重品と端末を持ち、外に出たところでスピカが言った。
「向こうから人が来る。反対側の階段を使いましょう」
築十数年の六階建てのマンションの五階に二人は居るのだが、確かに数人の足音が聞こえてくる。和哉はスピカの後に続いて階段を降りていく。一階まで降りたところで、五階のあたりを見ると、数人の戦闘服の様な服を着た、武装した集団がフロアの照明に照らされていた。
「アイツらは一体何者なんだ?」
「今は単なる敵だと理解していれば十分よ」
しばらく進んだ二人がたどり着いたのは、テニスコート一面分ほどの広さがある公園だった。二人共ここまではほとんど走って来た為、息が少し切れていた。しばらく休んだ後、和哉がスピカに恐る恐る《おそるおそる》質問した。
「そろそろアイツらの正体とか、君の名前とかを教えて欲しいんだけど……」
「そうね。まず、私の名前は……」
スピカが名乗ろうとした矢先、数メートル向こうから、四輪駆動の戦車の様な乗り物がやって来た。停止すると、スピーカーの様な部分から男の声が飛んで来た。
『今日の月は綺麗だな、スピカ・ウォールズ。そしてどこぞの馬の骨よ。例の端末を渡して貰おうか』
「それは出来ない相談ね。力づくでもということなんでしょうけど」
「こちらとしても穏便に済ませたいところだが、どうしてもと言うなら致し方あるまいよ」
「端末は渡さない!この人にも手出しはさせない!!」
「なら、二人共消え去るがいい!!!」
戦車の上方のミサイルランチャーから、次々とミサイルが発射される。だがその時。
『ディープフリージング!!』
スピカが魔法の様な名前を叫ぶと、発射されたミサイルが全て瞬時に凍りつき、地面に落下した。その光景を見ても、男は余裕の態度を崩さない。
「この程度なら想定の範囲内だ。だが、これならどうだ?」
男が戦車の何らかの装置を作動させたようだが、特に変化は見られない。
「……?故障かしら?なら、反撃といきましょうか」
『サンダーストライク!!』
スピカが叫ぶと、戦車の上空からゴオオオンという
「何故無傷なの!?まさかその機体には実験段階であるはずの……」
「そう、そのまさかだよ。この機体はな、先日ロールアウトしたばかりの、試作型エーテリウムジャマー搭載機なんだよ」
そこで和哉は素朴な疑問をスピカにぶつけた。
「エーテリウムジャマーというのは一体なんなんだ?」
「簡単に言えば私が使った術……現代錬金術を無力化する技術よ」
「それじゃあ今は大ピンチ中の大ピンチってことじゃないか?」
「いえ、まだ策はあるわ」
スピカが、持っていた携帯端末を起動すると、端末からなんと全身が黒い日本刀が
現れた。
「錬金術が効かないのなら、剣術で勝負するだけよ!」
黒い日本刀を手にしたスピカは猛然と距離を詰めていき、その刹那。
『軍式剣術 二式 落崩!!」
戦車の上方へ飛び上がった後に叩きつける技を繰り出すが、あまり効果が無かったようだ。
再び男の声が飛んでくる。
「どうした?もうネタ切れか?ならもう降参しちまえよ」
「錬金術も剣術も通用しないなんて……一体どうすれば……」
その光景を見ていた和哉は、部屋にあったあの端末のことを思い出す。
「例の端末ってこれのことか?ならこの中に何かヒントは無いのか?」
和哉は端末を操作しようとするが、何も反応が無い。
「クソッ、じゃああのメッセージは一体何だったんだ!?俺はこのまま何もできないのか!?」
その時、端末にメッセージが表示された。
『力を望む者か?望むならば問いに答えよ』
「望むさ!力をくれるなら何だってやってやる!!」
『良かろう。ここに契約は果たされた。
端末のメッセージの表示が終わると、端末から、スピカの時と同様に武器が現れた。
だが、スピカのものとは違う、白い日本刀だった。和哉がそれを手にすると、端末にまた意味深なメッセージが表示された。
『能力の第一封印解除。
始動編 第二話へ続く
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独裁のアリエス 藤井悟将 @frip-3150
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