エピソードⅠ 遠距離オッケー男
プロフィールにはこのように明記してある。
・遠距離でも大丈夫です!
・本当に気になった人にだけいいねします!
別にタイプでもなかった。
しかし「本当に気になった人」という言葉に誠実さを感じてしまった。
その判断が大間違いだった。
一見、心が広そうに見える。
でも注目してほしい。
この男「移動する」とは、一言も書いていないのだ。
アプリでの一連のやり取りを終えると
「普段どこで会うんですか?」
「俺が住んでるところまで来れます?」
と、聞いてくる。
そして極めつけは
「俺たちの住んでる場所が遠いから…田中さんの両親が悪いですね。俺の住んでる場所で結婚してたらよかったのに。」
と、私の両親を責めてくる。
この時点で田中は違和感を覚える。
なぜならこの男は、私に移動させる前提で話を続けているからだ。
この男は自分で動く気がさらさらない。
試しに田中は
「他の人は私に会いにきてくれましたよ〜」と、しらを切る。
すると男は少し沈黙し、こう返す。
「遠距離大丈夫なんですけどね〜」
「ダイジョウブ」
大丈夫なのは「相手が会いに来るのみ」である。
さらに奇襲は続く。
「今まで何人と会った?」
急に敬語が外れる。
これは事実確認ではない。
これは
「精神的離乳前成人男性」(以降バブちゃんと呼ぶ)による、
「ママ適性チェック」である。
世話慣れしているか、
自分のためにどれだけ無性の愛を注げるか、
移動、調整、配慮を
どこまで一人で文句を言わずできるか
の確認である。
この時点で未来が見える。
遠距離オッケーバブちゃんの、最終形態の予測はこうだ。
・自分では絶対動かない
・決断もしない
・財布も出さない
・不安と文句は一丁前に言える
・でも責任は取らない
そして最後にこう言う。
「ん?」
理解できないわけじゃない。
理解する気がないという、わかりやすい意思表示である。
この瞬間、ユーザー女性は正式に「ママ登録」完了となる。
なお、このタイプの男は自覚がないため、自分がバブちゃんであることも気づかない一生である。
事件は今日も静かに増え続けている。
ーーーTo Be Continue…
実録マママッチングアプリー私はこうしてママになりかけたー 櫻 まこと @Sakurarose0928
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