マスケットぶぁさす機関銃

外レ籤あみだ

冷めやらぬ少女

 ニュースです。

 今日、未明、電車がうなぎ登りです。

 いきなり三両編成の電車が空へのぼりました。

 空にうかぶ人影も発見されたので、どうやらそいつの力のせいです。

 その後もうひとつ人影がふえ、力をつかいふたりで電車を綱引きしました。

 綱は引きちぎれ、なかからひとり女子高生が落下しました。

 しかしあとからきた人影にたすけられました。

 なお最初に電車をもちあげた人影は、去ってしまいました。

 電車のほうも少女とおなじく助けられました。

 少女はその人影の人物について

「たすけてくれた。惚れた」

 とうっとりしていたそうです。

 彼女をみた医者によれば

「まぁ、頭がおかしくなったんでしょうな。あんな迷惑行為をした連中に惚れるなんて、どうかしていますから」

 とのことです。

 調査機関によれば

「近ごろ迷惑ばかりかけている超能力者のふたりではないか。もっと罪をおかして世間から恨まれれば、実験体としてつかってもバッシングはこないだろう。あとは捕まえる方法さえあれば、こっちで秘密裏に……」

 と話しています。

 以上、偏見報道でした。


 この報道を聞き、ミニミはとてもうれしかった。

 あの人のすばらしさを知るのは自分だけ。

 ほかは迷惑きわまる超能力者くらいにおもっている。

 でも私だけは彼を知っている。

 キリッとして優しい眼差し。

 無難かつ単純なワイシャツ、長ズボンの私服。

 風になびく黒髪。

 なんてかっこいい。

 私の恋人にふさわしい。

 というわけで想い人を探しはじめた。

 彼がおこした事件はたくさんあった。

 高層ビルをポキッとやってもどしたり、山を逆さまにしたものをさらに逆さまにしたり、人を千人ほど押しくらまんじゅうさせて砲弾にしたり。

 しかし安心してほしい。

 ミニミの好きな彼は、これらをことごとく被害なしに片付けている。

 ちゃんと後片付けができるなんて、いい人にちがいない。

 内容から、もうひとりの人影がおこしたことを片付けているともとらえられるが、恋は盲目である。

 ミニミはどこだ、どこだと追いかけた。

 高校を休み、世界のつつうらうら股に掛けた。

 そしてたまたま彼をみつけた。

 それはスラム街でホテルに泊まったおりに窃盗にあってしまい、着ていたセーラー服しかなくなってしまったときのことだ。

 世界をまわれば、こういうことはよくあった。

 仕方がないからゴミ箱をあさって、金目のものをさがす。

 悪徳な街にはおよそゴミがのざらし。

 どこにでも煤けた金目のものが転がっている。

 金目のものを売る場所も、そこらで突っ立っている。

 なので漁って帰国費用をかせぐ。

 それで細い路地のゴミ箱をがさがさやっていると、となりでがさがさやっている同業者に気がつく。

 で、それこそ彼だった。

 やっと会えた。

 しかし恥ずかしい。

 ミニミはゴミでよごれて臭かった。

 彼もおなじありさまだが、感動はフィルターをかけて、そのあたりの落ち度をふき飛ばした。

 また恥もだいぶ吹っ切れた。

 腹を決めた。

 当たって砕けないように、まずは挨拶から。

「おはようございます。あなたのことが好きです」

 彼はあからさまに困るようす。

「好きって? 僕を知っているのか?」

「私をおぼえてませんか? ちょっと汚れて臭いけどこの制服とか、ポニーテールとか、助けてもらったときまんまでお送りしています!」

「助けた人なんて、いっぱいいるから」

「いっぱいのなかでもなんかこう熱い視線とか、感じませんでした?」

「わからないな。それより助けたなら、お金貸してくれない?」

 なんのためらいもない汚くも底に白さがのぞく手がさしのべられる。

 ミニミはたしかにこちらから好きだと、つきあうなら尽くすべきだと考えた。だいぶ危うい考えだが、それほどぞっこんだった。

 ざんねんながら金はない。

 いや、ありがたいことに金はない。

「お金がないので、私をこきつかってください。なんでも言うこと聞きます。そばにおいてください」

 頭の下げかたは一級品だった。だてに世界を旅してきていない。

 頭を下げて許してくれたら安いほうなのだ。

 命まで奪おうとしてくる連中なら、下げるまえにとんずら。

 また彼へはとんずらではいけない。

「嫌だよ。勘違いしているようだけど、僕は人助けをしているわけじゃない。尻拭いなんだから」

「尻拭い?」

「そうだよ。ここにだってあいつの……」

 言い終わるまえに、地震がおこった。

 倒れるほどではないものの、グラグラとしていた。

 遠くで黒い煙がのぼっている。

 彼を追うとよくみかけた被害の煙。

 気づけば、となりから彼はいなくなって空にいて煙へめがけて飛ぶ

 ここまで来て逃してなるか、すぐさまミクミは追いかける。

「待ってよ!」

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