お祝い規制法
吉高 都司 (ヨシダカ ツツジ)
第1話
お祝いに関してそのあらゆる形態に置いて国家の秩序と個人の保護及び規制に関する法律
「・・・前条において、其の祝賀する者、もしくはその類似事象に置いては、その理由の如何を問わず、行政機関に置いてその許諾を受けなければならない。違反者には禁固十年、罰金百万円もしくはこの両方、教唆した者は禁固三年以内もしくは罰金五十万・・・」
『えっと、今度、結婚式がある?それで、ええ、それでしたら、そのお祝いする相手の住民票、あ、本籍付きね、えっと、マイナンバーはいらないから、ええ、そう、そこの印に冠婚葬祭のチエックを入れてね、あと、三番窓口で、印紙五千円分貼ってね、え、高い?役所が暴利を貪っている?いやー、そう言われましてもねえ、それが無ければ、ご祝儀一つ、出せないですよ、何でかって?そりゃあSNSのせいでしょう。ほら、この前もどこかの芸能人がほら、炎上で、そりゃすごい事になったでしょう。闇で無届で、お祝いしたから、そのお祝いが何と誰かと誰かが繋がっていて、なぜお祝いしたんだー!ってそりゃ大騒ぎになったでしょう。昔は悪い事っていうんですか?何かにつけて、炎上、炎上で、情報局の回線がパンクして国家安全機構が働いて、情報網がパンクするくらいでしたから。記憶に新しいと思いますが、パンクしている最中、その間に敵国がサイバー攻撃を仕掛けてきて国家存亡の危機だったでしょう。で、それに懲りて、情報局が法規制を掛けて今はもう誰もしなくなったじゃないですか。それはそれでよかったんですけどねえ。今度は慶事や、良い事に関して炎上しだして、人の営みの中で、お祝い事は無くならないじゃないですか。お祝い事、民間の事案には情報局は関与できませんからねえ、どちらかと言えば地方自治体主体で、総務省管轄として、そのお祝い事に認可を与えて。要はこのお祝いは正統の物だ、と言質が欲しいんでしょうねえ。行政が、国家が、個人のそう言ったところまで規制しなきゃいけないなんて世知辛いですねえ。まあ、役所の人間からすると、仕事が増えるばかりなんですけどねえ。おッと、長くなりましたね、くれぐれも、お控えは無くさないよう、五年間は保存義務がありますから。はい、はいそうです。そこの窓口ではい、お気をつけて、あ、それとお幸せに。』
お祝い規制法 吉高 都司 (ヨシダカ ツツジ) @potentiometer
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