不思議な風習【お題フェス11祝い】
高井希
第1話不思議な風習
僕の故郷の村には不思議な風習があった。
春分の日に1歳の子供を大きくて平たい岩の上に順番に乗せて、親が跪いてお祈りをするのが風習だった。
今年生まれた妹が、岩の上に置かれて、両親は跪いてお祈りを唱えた。
岩の上に置かれた妹は大声で泣き出した。
小学生の僕には意味が解らない。
「どうして?なんの為にするの?」
「子供が健康で育ちますようにって、神様にお願いしてるのよ」
「お医者さんに行って薬を貰わなくても健康になるなら、爺ちゃんも岩に乗せたらいいのに…」
「小さな子にだけお祈りするのよ」
「変なの…」
「どうしたの賢也、ふくれっ面をして?甘酒でも飲んで機嫌直せば?」
白金さんに甘酒を渡されて、僕は「まあいいか」と、大目に見てやることにした。
「甘酒美味しいね」
全く大人は融通が効かない。元気な妹じゃなくて、悪い所ばかりで薬をいっぱい飲んでる爺ちゃんが健康になれば助かるのに…
まあ、僕が大人になってから、みんなにそう教えてあげればいいかもね。
お正月に隣の村に住むいとこの和正が遊びに来た。
神社に沢山の屋台が出ていたので、2人で初詣に行ってから屋台で買食いをしながらとりとめのない話をしていた。
「そう言えば、この村、春分の日に赤ん坊を岩の上に置いて健康を願うんだろう?」
「うん、そうだよ」
「この前TVで泣き相撲ってやってた。赤ちゃんの泣き声を競わせて、一番大きな声で泣いた子が元気に育つって信じてるんだって。似たようなものかもね」
「そうかもしれないな」
「この村って、特に何にもない村なのに、みんな都会にでていかないんだな?ウチの村は若い人はみんな都会に出て行って、年寄りと子供しか残ってないんだ」
「隣の剛也兄さんも、白金さんも一回出ていったけどみんな村に戻ってきたんだよ」
「やっぱり都会には行くんだ。でも、都会から戻ってくるなんて、よっぽど村が居心地がいいんだな?」
「そうかもね」
きっとみんな、この村が大好きなんだ。
僕と同じだ。
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