ミュートされたリアル
桃里 陽向
ゆびきりげんまん
「これって顔デカく見えない?」
そんな独り言を呟きながら今日も自撮りを投稿する。いいながつかないと死にたい。てか死ぬ。
私はこの世の中で浮いてると思う。この世は浮世だ。こんな考え方だからだろうか。私は昔から「普通じゃない」と言われて友達ができなかった。でも、
「そういえば友達だった子がいたな」
----------------------
とある日の小学校の帰り道
「岬ちゃん一緒に帰ろ!」
私が振り向くとお日様のような笑顔で話しかけてくる咲がいた。
咲は誰とでも分け隔てなく接することのできる子で、おしゃれで、かわいくて、友達もたくさんいた。
「う、うん、、、」
私は糸のような声で返した。
「岬ちゃん今日のお洋服かわいいね」
「そ、そうかな」
私はまんざらでもなかった。なぜなら最近リボンや髪飾り、かわいいスカートなども履いて髪にも気を遣っている。咲の影響だろうか。しかし、今日の咲はいつもより静かだ。気のせいかもしれないけど。
「私達ずっと一緒だよ」
咲が突然そんなことを言い出すからびっくりした。
「どうしたの急に」
「いいから、ゆびきりげんまんしよ?」
咲から半ば強引に手を引かれて、私達はゆびきりげんまんをした。
「私も、ずっと一緒がいい」
そんな約束をした次の日だった。咲は引っ越してしまった。
----------------------
あれから時間がたって、私はもう高校生だ。お気に入りの髪飾りと、ミニスカートを履いて、化粧だってする。仕草の練習も忘れないようにして、学校に行く。今日から新学期だ。でも、私にはそんなことどうだっていい。
「昨日の投稿、伸びてないなあ」
投稿が伸びない、人に見られないということは、この世界では人権がないということだ。
最近では際どい投稿しか伸びなくなってきている。どうやら人々は刺激を求めているらしい。いままでのデッキでは通用しない。
私は学校ではそれほど目立っていない、と思う。しかし最近は視線を感じる。ネットでの私を知ってる人もいる。でも私は現実をミュートする。だって、ネットの方が誰かに求められてるし私も求めている。
朝のホームルームが始まった。まあ私には関係がない。
「転校生を紹介します」
先生が言った。
転校生?だが私はそもそもクラスメイトと話した内容なんて覚えていない。大事なのはネット
の海に居続けることだ。タイムラインに居続けること、タイムラインは流れが早すぎて、考える前に置いていかれる。だから、私は何かを投げる。よく見かける形に整えて、少しだけ尖らせて。
反応が来る。
数字が増える。
その瞬間だけ、存在が輪郭を保つ。
そんなことを考えていたら、先生が言った言葉が不意に、鮮明に聞こえた。
転校生の名前は
「白石 咲さんです。」
「--え?」
聞き覚えのある名前だった。
ミュートされたリアル 桃里 陽向 @ksesbauwbvffrs164ja
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ミュートされたリアルの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます