募金

街を歩いていると時々、募金箱をもって呼びかけている学生を見かけることがあります。

基本的には「貧しい国の恵まれない子供たちへ」とか、「動物や自然を守るために」などの文言を掲げて彼らは活動しています。

その日私が遭遇した”それ”も上記のようなスローガンをあげているという点においてはよくある募金活動、ボランティア活動の団体だったように見えました。

大学生くらいの男性だったでしょうか、にこにことした笑顔で募金を街行く人たちへ促していました。

私はそれを見て、なんとなく募金しようと思い、彼に近づいていきました。

十円だけ募金しようと思って財布を取り出したのですが。

実のところ、今から思い返してもこのあたりの記憶が曖昧になっているんです。

気づけば私の手にはお札が握れていました。

というより財布のポケットを見るに私はすでにお札を何枚か募金箱に投入していたようなのです。

催眠術にかかったような気分だったのを覚えています。

ただなにか自分の意思に反した何かが起こっているのは理解できて、なので、

我に返った私は財布をしまい、あわててその場を立ち去りました。


募金を呼び掛けていた彼は、にやにやとした笑顔を浮かべていました。


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