第3話 鷲に襲われたが…落ち着け! 俺は魔法が使えるはず!
争っていたのは大きな猫と大きな鳥だった。
そして改めて、彼らの姿が
鳥は鷲のような姿貌であった。だが、地球のそれとは明らかに違っいていた。鷲は、体に炎を纏っていたのだ。
そして、鷲が空を飛ぶのはまぁ当然だが、なんと猫もまた空を飛んでいた。いや、空を
猫は空を駆けるだけでなく、爪を振り斬撃を飛ばしているようだ。流れ弾が眼の前の木を切り倒したので分かった。漫画のような光景が現実に展開してる。もう素直に受け入れるしかない。
ただ、切れ味抜群に見える猫の斬撃は、しかし鳥にはあまり
当たれば多少はダメージがあるようだが、同時にパワーアップもしているというか…。
まぁその理由はなんとなく見て分かる。これは、相性が悪いという奴だな。。。
猫の飛ばしている斬撃は、おそらく “風属性” 。ファンタジー小説あるあるの風刃と言うやつだろう。
だが、炎というのは風を受けると余計に強く燃える性質がある。つまり、猫の斬撃は鷲にダメージを与えると同時に回復もさせてしまっているようなのだ。
しかし、猫は風刃を大量に連発し、ついに鷲を撃ち落とす事に成功した。やるじゃん。
って、あのデカイ猫が自分の敵にならないという保証は何もないのだが、それでもなんとなく猫を応援してしまうのは、自分が猫の姿になったからか。
だが、鷲は一羽ではなかった。
別の燃える鷲が降下してくるのが見えた。一瞬俺が狙われているのかと身構えたが、どうやら目標地点は俺の居る場所ではないようだ。
慌てて猫が降下地点に向かって走って行くが、猫が到達する前に炎の鷲は再び空へ舞い上がった。見ると、足で何かを掴んでいる。子猫だった。デカイ猫の子供か?
鷲は子猫を一匹その爪で文字通り
猫は追いかけようと空を駆けたが、すぐに止まり、戻ってきた。よく見ると、さっき鷲が降下した場所には穴が掘られており、その中にまだ何匹か子猫が居るようだ。デカイ猫は連れ去られた子猫を諦め、残った猫を守る判断をしたのか。
なぜなら、まだ炎鷲が二羽、上空を旋回していたのだ。
鷲の一羽が急降下して攻撃を仕掛けてきたが、母猫がそれを撃退した。
飛ぶ斬撃ではなく、
ただ…炎の鷲に抱きついて押さえつけたため、母猫の体が一部燃えてしまっていた。肉を焼かせて骨を断ったわけか…。
母猫は燃える毛皮を消そうともせず再び子猫たちのところに戻ってきて炎鷲を威嚇する。
その気迫に押されてか、残った炎鷲は諦めて飛び去っていった。
捨て身の母猫の気迫の勝利だ。
……ん?
おい、鷲が戻ってきたぞ?
……んんん?
ちょ、こっち来んな!
狙いは俺か!
風猫と炎鷲の戦いを、身を隠しもせず呆けっと眺めていた俺が間抜けだった。
反省!
いや反省は後!!
逃げる!
必死で走る!
まっすぐ走っては駄目だ! 右へ左へ、なるべく鷲が動きづらそうな木の間を抜けるように走る!
だが、鷲、速い!!
炎鷲の急降下! 必死で走るが逃げ切れない。
鷲の爪が俺の体を掴んだ…
あっという間に地面が遠ざかる。
掴まれた爪の強さから分かる。今の俺の力では、この鷲から逃れる事はできない。食われる未来しか勝たん。
…せっかく異世界転生したのに、随分短い人生、いや猫生だったなぁ……
眼下には地平線まで広がる広大な森が見える。
綺麗だなと思った。
この世界での最後に見る景色としては悪くないか?
あとは、せめて苦しまないようにひと思いに殺してくれるといいんだが……
だがその時、鷲は突然俺を離した。高いところから落として殺してから食う気なのか?
だが違ったようだ。落下しながら体を捻って鷲を見る。
……さっきの風猫だ!!
おそらく鷲は俺を追いかけるのに夢中で風猫の接近に気づかなかったのだろう。猫の爪が鷲の太ももを大きく切り裂いていた。そのため、俺を掴んでいられなくなったのだ。
まぁ、この高さから落ちたらどっちにしろ死ぬけどねぇ!
だが、猫は鷲へトドメを刺す事より、俺を助けるほうを優先してくれた。(巨大猫は俺の味方だった。やっぱり猫だから!?)俺の落下速度より遥かに速く空を駆け降りた猫は俺の首根っこを噛み、少し離れたところに居た他の子供達のいる穴のところまで運んでくれた。
子猫の間に俺を放り込んだ風猫が再び空へを駆け上っていく。
炎鷲が怒った様子で母猫に向かって炎弾を放つが、母猫は風の
先程のダメージのせいか速く飛べない炎鷲はもはや風猫の敵ではなかった。鷲はあっさり猫に捕まり、地面に落とされ、トドメを刺された…。
助かった……
…のか? この後、あのデカイ猫に食われるって事はないよな? 周りには子猫が居るしな。
子猫達は、身を寄せ合って震えている。ただ、そのサイズは俺よりかなり大きい。
母猫が戻ってきた。俺は警戒して身を固くしたが……母猫に舐められて転がってしまった。
ほ…。
どうやら俺の事も自分の子供だと思ってるようだ。
だが、俺を含む子猫たちを舐め、無事を確認した母猫は、その場で倒れてしまった。
見ると、まだ体の一部が燃えているじゃないか!
どうにかしなきゃ!
俺は焦る。
焦るが、落ち着け。
『緊急時こそ冷静になれ』
昔、唯一、俺に良くしてくれた上司が教えてくれた言葉だ。
まず火を消さないと! 火を消すには水だ!
さっき小川があった、そこから水を汲んでくれば…!
いや待て小川にはウォータージェットの怪物が居た。危険だ。
それに、バケツも何も持っていない。どうやって水を運んでくるんだ?
落ち着け…考えろ。
そうだ、俺は魔法が使えるはず! 確か、全ての属性が使えると言われていたはずだろ!
「にゃぁっ!(水!)」
魔法の使い方なんか分からないが、無我夢中で水を出そうとしてみたら、なんか出た。ちょろちょろ手の先から水が出てる。慌ててそれを母猫の身体に掛けるが弱い。もっとだ、もっと強く! と念じると水流が強くなった。その水流で燃えていた母猫の毛皮はすべて消火することができた。
だが…
火は消えたものの、母猫は依然、重体っぽい。落ち着いて見れば全身火傷で酷い状態だ。所々毛が完全になくなり皮膚が爛れている。
…助けたい。俺を助けてくれたのだ、なんとかならないか。
そうだ、全ての魔法なんだから、回復系の魔法もあるはずだろ。
どうやって治癒魔法を発動したらよいのか分からないので、俺は母猫の体に触れ、必死で『治れ~治れ~』と念じた。
すると、何かが俺のからだから抜けていくような感覚があり、母猫の体が薄っすらと光った。
そして……
…母猫がゆっくり目を開けた…。
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