星めぐり
@fujisawa-rolling
星めぐり
キーンコーンカーンコーン
「よし、授業も終わったし帰りにあそこに行こう。
最後の上映ならまだ間に合うかな。」
カバンを肩にかけて僕は席を立った。
「おーい、吉沢。帰りにカラオケ行こうぜ。」
「あ、宮田君。けど、今日は・・・。」
僕は彼の目を見れないまま俯いた。
「いいじゃんかよ。太田と井上も来るしさ。」
宮田君は僕に肩を組んでニッと笑った。
「うん、分かったよ。」
「よし、決まり。おーい、吉沢も行くってさ。」
僕は彼の後ろをトボトボと歩いた。
「いやー、歌った歌った。
もう声でねぇ。」
空がオレンジに染まる中、僕は宮田君と歩いていた。
「宮田君、歌上手だね。」
「いやいや、俺なんてまだまだだって。」
そう言いながらも、彼はニコニコしながら頭を掻いていた。
「そういえば、進路希望もう出したか?」
「え、まだだけど。」
「俺もだけどさ、ぶっちゃけ大学でしたいことなんてないよな。
とりあえずは入れるところに入って、いい仕事見つかればって感じ。
なあ、吉沢もそうだろう?」
数歩先を行く彼が、こっちに振り返る。
「僕は・・・。うん、同じ感じ。」
僕は視線を地面に向けて答えた。
ギュッとカバンの肩掛けを握ると、黄色いものが揺れた。
「吉沢、それいつもカバンに付けているけど何?
バナナか?」
「あ、これは。バ、バナナだよ。
美味しいでしょ、バナナ?」
その言葉は僕の胸をキュッと締め付けた。
「いくらバナナ好きでもぬいぐるみをカバン付けるのかよ。
面白いな、吉沢って。」
笑って再び歩き出す彼の背を見たまま、僕は立ち止まったままだった。
「それじゃ、俺はこっちだから。
また明日な。」
大きく手を振りながら宮田君は駅へと向かっていった。
「はあ、もう上映終わっているよ。」
僕はため息をついて、トボトボと近道の公園を進んだ。
「何で僕はいつもこうなんだろう。」
僕の視線はずっと地面を見つめたまま、アスファルトが動くのを見ていた。
オレンジに染まった道を、黒い影が何度も通り過ぎる。
「あれ、ここどこだ?」
ふと顔を見上げると行き止まりに来ていた。
「道間違えちゃったかな。」
僕は辺りをきょろきょろと見回す。
風で木々が揺らぎ、小さな音を奏でた。
「あれ、あんなところに。」
オレンジで染まる世界の中、ベンチだけは別世界になっていた。
真っ白なワンピースに、肩までかかる白い髪をした女性が座っていた。
そこだけは色に染まらず、真っ白な空間に見えた。
「あの、すみません。」
気が付けば、僕は彼女に声を掛けていた。
すっと見上げたその顔は、ぎょっとした顔をしていた。
「はい、どうかしましたか?」
「あ、いえ。すみません。」
自分でもどうして声を掛けたのか分からず、俯いてしまう。
「あ、そのカバンについているぬいぐるみ。」
彼女はカバンで揺れるそれを指さした。
僕の胸はドキッとした。
「三日月ですよね?」
「え?そうですけど・・・。」
「少しほつれているわね。ちょっと待ってね。」
彼女は三日月を手に取る。
そしてカバンから針と糸を取り出して縫い出した。
僕は開いた口が塞がらないまま、彼女の側に立ってそれを見ていた。
針は踊るようにぬいぐるみをなぞっていく。
ものの数分で三日月は綺麗になった。
「はい。これでもう大丈夫。」
「ありがとう、ございます。」
僕は手に三日月を乗せながら、こくんと頷いた。
「よかったら少し話さない?」
彼女はベンチをポンポンと叩いた。
言われるがまま。僕は彼女の隣に座った。
「ねえ、君高校生?」
「はい、2年です。」
僕は横目で彼女をチラチラ見ながら答えた。
「わぁ。まだ若い!!
青春真っ盛りだね!!」
白い髪をなびかせながら、彼女はニコっと笑った。
「あ、けど私もまだおばさんって歳じゃないからね。」
「そ、そんなこと思ってません。」
じっと見つめる視線に耐えられず、僕は俯いた。
「あの、その。すごく綺麗な髪の毛ですね。」
何を言っているんだとすぐに感じた。
「あーこれね。私アルビノなんだ。」
「アルビノ?それって色素がないっていう・・・。」
「そうそう、だからまつ毛も真っ白。」
振り返ると満面の笑みで彼女は僕を見ていた。
まるで雪で作られたような、ふわふわのまつ毛があった。
「ねえ、少年。夢とかはあるの?」
「少年ですか・・・。特には。」
「えー本当かな?お姉さんにだけ教えてよ。」
彼女はグイッと顔を僕のすぐ側まで近づけた。
「て、天文学者に。なりたいです。」
「なんだ立派な夢持っているんじゃん。」
その笑顔があまりにも眩しくて、僕は下を向いた。
「そんな立派なものじゃありません。」
「そんなことないよ。
やりたいことがある、それだけですごいことなんだから。」
彼女は声を落とし、空を眺めた。
「お姉さんは、何か夢とかあるんですか?」
「そうね。いっぱいあったけど、もう叶わないから。」
その目は遠くを見つめ過ぎて、何も見えていないようだった。
「ほら、少年。もう遅いから帰りな。」
「は、はい。失礼しました。」
「気を付けて帰りなよー。」
彼女は明るく手を振っていた。
僕はそれを見て、夕日が沈んだら彼女も消えてしまう気がした。
キーンコーンカーンコーン。
「よし、今日こそは。」
授業が終わり、カバンに手をかけて席を立つ。
三日月が大きく揺れ動いた。
「おい吉沢。今日はボウリング行こうぜ。」
宮田君が逃がすまいと、僕の肩に腕を回してきた。
「どうせ今日も暇なんだろう?
限りある青春を謳歌しようぜ!!」
「う、うん。」
「よし、そうと決まれば早速行くか。」
歩き出すと三日月がまた揺れ出した。
僕はそれをギュッと握った。
「ご、ごめん。宮田君。
やっぱり今日はやめておくよ。」
「え?なんか言った?」
彼は振り返ると、鋭い視線を僕に向けた。
「い、いや何でもないよ。」
「ならいいや。じゃあ、行こうぜー。」
僕は肩を落とし、彼の後ろについて行った。
「いやーハイスコア出なかったな。
腕痛てー。」
腕をぶんぶん揺らしながら、宮田君は先を歩く。
「お前もなかなかいい点数だったじゃないか、吉沢。」
「うん、ありがとう。」
「やっぱ、こうやって遊ぶのは青春だよな。
また遊びに行こうな!!」
「うん。」
僕は腕以上に、胸がキリキリと痛んだ。
「それじゃ、また明日な。」
手を振る宮田君を見送り、地面を見ながら歩き出した。
「あ、そうだ。」
ふと顔を上げ、僕はあの公園へと向きを変えた。
夕方の公園は犬の散歩や駆け回る子供で賑わっていた。
その奥の誰もいないところ、そこだけが何色にも染まっていなかった。
「こんにちは。」
「おや、昨日の少年じゃないか。」
白く輝く彼女が、顔を上げて微笑んだ。
「隣、いいですか。」
「どうぞどうぞ。」
隣に座ると、彼女から甘い香りがしてドキッとした。
「今日も青春してきたか、少年?」
覗き込むその顔にまたドキッとして、顔が熱くなった。
「はい。今日は友達とボウリングを。」
「それはよかったな。
けど全然楽しそうに見えないのはどうして?」
彼女が首を傾げると、白い髪がサラリと揺れた。
「い、いえ。そんなことはないです。」
「嘘だ。私には分かる。
お姉さんに行ってみなさい。」
彼女がじっと僕の顔を見つめる。
「本当は、違うところに行きたかったんです。」
「ほう。それはどこだったの?」
「プラネタリウムです。
新しい上映が最近始まったので。」
僕は弱々しく答えた。
その視線の先にある気持ちを知るのが怖くなった。
「それは素敵だね。」
その言葉に胸が温かくなった。
横を見ると彼女がまだ顔をのぞき込んでいた。
「けど、どうして行かなかったの?」
「それは、言い出せなかったから。」
「それも青春か。
けどね、少年。行きたいなら行きたいって言っていいんだよ。」
「けど、それで嫌われたら。」
僕がまた視線を落とすと、彼女は僕の肩を掴んだ。
ハッと振り返ると、彼女は真剣な目をしていた。
「それでも君は、自分の気持ちを言うべきだ。」
彼女の瞳の奥に自分が見えた。
すると、心臓がドクドクと鼓動を加速させた。
「はい。」
「よろしい。」
彼女はそう言ってそっと微笑んだ。
ワンワン。
どこからか柴犬が走って来た。
犬は彼女の足の周りを執拗に嗅ぎまわっている。
「一体どこの子でしょうね。」
返事もなかったので見ると、彼女の顔は引きつっていた。
一通り匂いを嗅いだ犬は首を傾げた。
「あー。すみません。」
遠くからリードをぶら下げながら女性が走って来た。
「うちの子が急に走り出しちゃって。」
「いえいえ、元気な子ですね。」
僕が頭を撫でると、犬は大人しくお座りをした。
「すみません。お一人でくつろいでいるところを。
ほら、モフ。行くよ。」
「え?一人じゃないですが。」
返事も聞かないまま、女性は犬と共に走り去った。
横に座る彼女は胸に手を当て、ホッと息を吐いた。
「じゃあ、少年。君も遅くなる前に帰るんだ。」
ニコっと微笑んだ彼女は、僕の頭を撫でた。
それが心地いいのに、なおも心臓は鼓動を速めた。
「では、また明日。」
「うん。また明日。」
振り返ると彼女はまだ小さく手を振っていた。
その白が夜の闇に染まるのを見たくないと感じた。
キーンコーンカーンコーン。
僕はカバンを肩にかけ、宮田君の席に向かった。
「宮田君、今日の帰りなんだけど。」
「お、吉沢から来るの珍しいじゃん。
何?今日は行きたいところあるの?」
彼の輝く目が、僕の心臓をギュッと縮ませる。
「うん、今日はプラネタリウムに行きたくて。」
「はぁ?プラネタリウム?
星なんて見て何になるんだよ?
それより、駅前のラーメン屋行こうぜ。」
僕の心臓がさらに縮め、痛いと悲鳴を上げている。
けれど、僕は三日月をギュッと握り、
「ごめん、今日はプラネタリウムに行きたいんだ。
そういうことだから先に行くね。」
「あ、おい。」
僕は彼の顔を見ないまま教室を後にした。
「い、言えた!!」
僕の先ほどまでの強張った顔が、ほころんでいた。
足は自然とスピードを上げ、僕の行きたいところへ運んでいく。
道行く人も、景色も、あっという間に僕は置き去りにした。
「こんにちは。」
「おお、少年。今日は早いね。」
僕は公園の端っこにやって来ていた。
肩は上下で呼吸し、心臓はバクバクと言っている。
「僕、言えました。プラネタリウムに行きたいって。」
「おお、それはよかったな。
いい上映だったか?」
彼女はキラキラとした笑顔を僕に向けた。
「いえ、まだです。」
僕は三日月をギュッと握った。
「だから、一緒に行きませんか、今から。」
辺りの景色はどこかに置き忘れ、僕は彼女しか見えなくなった。
彼女は目を大きく開き、口を少し開けた。
その口角はキュッと上がり、
「いいよ。行こうか。」
優しく微笑んだ。
「まだ上映まで時間がありますが、お手洗い大丈夫ですか?
ここから出て右手奥にありますので。」
科学館のチケットを買った後、キョロキョロする彼女に言った。
「へー、君。詳しんだね。」
「ええ、よく来ていますから。」
「そっか、好きなんだね。星が。」
「はい!」
僕はクシャってなるほどの笑顔を向けた。
「おぉ、ドームの天井だ。」
まだほんのり明るい会場を、彼女はあちこち見渡している。
「ねえねえ。この椅子すごい後ろに倒れるぞ!」
まるで子供になったような彼女を見ると、笑顔がこぼれた。
「上映中ははしゃがないでくださいよ。」
「分かってるって。」
やがて白い彼女は闇へと消え、代わりに満点の星空が広がった。
「うわぁ。夜空ってこんなにも綺麗なんだな。」
横からこぼれたその声を、どんな解説よりも意味があると感じた。
「いやぁ、感動した。
プラネタリウムってこんなにすごいんだな。
特にあのバーッて星が一面に映る瞬間なんて最高!!」
近くのベンチで彼女は熱心に語る。
「そうですよね。星ってとても素敵なんです。」
彼女のキラキラとした目が、僕の心を満たしていく。
「これはハマるの分かるわ。
そういえば、少年が天文学者になりたいって思ったきっかけって何なの?」
「ああ、それはこのぬいぐるみがきっかけです。」
僕はカバンから三日月を手に乗せた。
「僕、小学生の頃に入院したことがありまして。
その時に会った人が、このぬいぐるみをくれたんです。
そこから星に興味を持ちまして。」
「へぇ。それは素敵な出会いね。」
彼女はにっこりと微笑んで見つめている。
「けど、昔のことだからどんな方か覚えてないんです。
ここにMoonって刺繍がありますが、それは何のヒントにもなってないですね。」
「いつか天文学者になって、その人に会えるといいね。」
「はい!!」
「あれ、吉沢。こんなところで何してるの?」
「あ、宮田君。」
チラッと横を見ると彼女は口をキュッとして俯いていた。
「さっきこの人とプラネタリウムを見に行ってたところ。」
「この人って、お前一人じゃないか。」
「え?けどここに。」
横を向くと、彼女は泣き出しそうな顔をしていた。
「いや、だから誰もいないじゃないか。
もしかしてお前、幽霊とか見えるの?」
彼の言葉で彼女はバッと立ち上がり走り出した。
「え、待って!!」
僕は慌てて立ち上がって彼女を追いかけた。
「おい、吉沢。大丈夫か?」
遠ざかる彼の声を背中で受け流し、小さくなっていく白を追いかけた。
「はぁ、はぁ。何で、逃げるの?」
誰もいない夕暮れの道。
彼女はその奥でこっちを向いていた。
いつもは真っ白な彼女が、夕日を背に、黒く影になっていた。
「ごめんなさい。私はもう一緒にいられない。」
「それってどういうこと?」
「言葉の通り。もう会えなくなってしまったわ。」
「そんな、嫌ですよ。せっかく仲良くなれたのに。」
僕は力なく、ゆっくりと一歩一歩彼女に近づく。
逆光で黒くなった彼女の表情は何も見えない。
「私も辛いけど、これは仕方がないことなの。」
「だからって、あまりにも突然じゃないですか。
まさか本当に幽霊だなんて言いませんよね?」
バクバクとうるさい鼓動を漏らすまいと、声の震えを押さえた。
「馬鹿ね。そんな訳ないじゃない。」
彼女はゆっくりと僕に向かってきた。
そして
「これでお別れよ。」
僕の頬に彼女は唇を置いた。
心臓の音も、夕日の温かさも、頬の小さな温もりがすべてを奪った。
そして、夕日の光で彼女の頬に水跡が照らされた。
「そんな・・・。」
遠ざかる彼女に何も言えないまま、僕は涙を流した。
やがて夕日は沈み、それとともに彼女は消えた。
キーンコーンカーンコーン。
「おい、吉沢。
今日はどこに行きたい?
お前が行きたいところならどこでも付き合うぜ。」
宮田君がいつもの調子で肩を組んできた。
「ごめん。今日はそんな気分じゃないんだ。」
「吉沢・・・。」
彼の腕は僕の身体からするりと解けた。
僕は一人教室を後にした。
「やっぱりもう、いないんだな。」
僕の視線の先のいつものベンチには、白い姿はなかった。
風が葉を揺らし、誰もいない景色を虚しく歌った。
僕は彼女のベンチに座り、ゆっくりと彼女がいたところを撫でた。
「あれ、これって。」
すると、ベンチの隙間に紙が挟まっていた。
それは、手書きの手紙だった。
「これは、まさか彼女の。」
最初の一文を見て、僕の胸はドキッと音がした。
『やあ、少年。
元気にしているかな?
昨日は驚かせてすまなかったね。
けど、残念ながらもう会えないんだ。
あ、私は幽霊じゃないよ。
死んでいない。ちゃんと生きている。』
その文字を読んでホッと胸を撫でおろした。
けれど、心が温まるものでもなかった。
『実はあの真っ白なのは本当の私ではない。
あれは私が受けた罰の姿だ。
昔闘病生活していたせいで、家族が壊れてしまってね。
その罪悪感に耐えきれなくなって、真っ白になった。
私が受けた罰はね、誰からも見えなくなることだったんだ。
そして一生孤独で生きる。
それが私の運命になるはずだった。
そうしたらビックリ。君が現れた。』
僕は彼女と初めて会った日を思い出した。
あの表情を思い出し、そこから始まったのだと感じた。
『君との話はとても楽しかったよ。
プラネタリウムも最高だった!!
けど、君にだけは私が見えない存在だと知られてはいけなかった。』
あの夕日に消えていった彼女を思うと、胸がまた痛んだ。
『本当はあのまま消えてしまうはずだった。
けどね、君に会って自分も逃げちゃいけないんだって気づいた。
だから私は今も生きている。
アルビノだった記憶もなくなって、元の姿に戻っちゃうけど。
最後に君に会えてよかった。
立派な夢を叶えるんだぞ、少年!!
さようなら。
ありがとう。
最上 茜』
手紙を読み終えた時、僕の涙は止まらなくなっていた。
「そうか、そうだったんだ。」
必死に涙を拭うが、それでも次から次へと流れてくる。
「あの病院で出会った人は・・・。」
『やあ、少年。
君も入院しているのかい?
特別に私のお手製ぬいぐるみをプレゼントしよう。
私の苗字を文字ったサイン入りだ。受け取るがいい。』
病室での記憶がフラッシュバックする。
ベッドでいつも寝たきりの彼女は、何故かいつも明るかった。
その小さな触れ合いが、今鮮明に蘇った。
「ありがとう、お姉さん。」
僕は手紙をギュッと抱きしめ、ベンチでいつまでも泣いていた。
それから10年が経った。
俺は出張先の駅前を携帯片手に、足早に歩いていた。
「すまない、電車が遅れてね。
学会には間に合うようにタクシーでも拾うから。」
押し戻されそうなほどの人波をかき分けていく。
すると、カバンのぬいぐるみが引っ張られてしまった。
「あ、すみません。
カバンに絡まっちゃったみたいで。」
振り返ると女性が絡まったぬいぐるみを解いていた。
「これは、三日月のぬいぐるみですね。
懐かしい。」
その声にあの日の夕焼けが目に浮かんだ。
ハッと顔を見上げると、彼女は笑っていた。
「こんな偶然ってあるものなのね。」
「ええ、まさに天文学的確率だけど。」
俺は笑って答えた。
有り得ないほどの偶然が何度だって起こる。
俺らはそんな星の元に生まれたんだ。
星めぐり @fujisawa-rolling
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